派遣社員は産休・育休を取れる?取得方法・復帰方法や未経験から働きやすいお仕事をご紹介
出産は女性にとって、大きなライフイベントのひとつ。現在、派遣社員としてお仕事をしている女性のなかにも、出産や子育てを見据えている方がいらっしゃるのではないでしょうか。
働く人には、出産や子育てを迎える際に取得できる「産休」や「育休」の制度がありますが、
「制度について詳しく知らない」「派遣社員も産休・育休を取得できるの?」といった疑問をお持ちの方も多いようです。
今回は、産休・育休の制度概要から取得方法、関連する給付金制度、復帰におススメの職種まで、詳しくご紹介します。
※ご紹介した情報は、掲載した時点での情報です。掲載した時点以降に変更される場合もあります。
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- 目次
- 産休・育休の制度って?
- 産休・育休の取得方法って?
- 産休・育休中に申請できる社会保険の給付金制度って?
- 産休・育休取得前にやるべきこと
- 産休・育休明けに派遣でお仕事復帰するメリット
- 産休・育休明けのワーキングマザーが働きやすいお仕事3選
- 復帰する際のお仕事選びのポイントって?
- 育児のスキマ時間を見つけて、お仕事復帰の準備を!
産休・育休の制度って?
産休・育休は、子どもの出産や子どもの養育のために、法律で定められている休業の制度です。
それぞれの制度や、派遣社員が取得するための条件などについて、ご紹介します。
産休(産前・産後休業)とは
産休とは「産前・産後休業」の略称で、労働基準法の母性保護規定で定められている制度です。
産前休業は、出産予定日の6週間(42日)前*から、本人が休業を請求することで取得できます。
*双子の場合は、産前14週間(98日)前からとなります
また、産後休業では、出産翌日から8週間(56日)は必ず休業する必要があるため、就業することができません。ただし、産後6週間(42日)を過ぎた後、本人が請求し医師が認めた場合は、就業可能となります。
産前休業と産後休業はともに、雇用期間や雇用形態などの条件に関わらず、取得できるのが特徴です。
※引用資料:女性にやさしい職場づくりナビ『産前・産後の休業について』|厚生労働省
育休(育児休業)とは
育休は「育児休業」の略称で、育児・介護休業法で定められた(原則として)1歳未満の子を養育する男女の労働者のための制度です。
子どもが1歳になるまでの間で希望する一定期間、育児のための休業をすることができ、
子どもを保育所に預けられないなどの事情がある場合には、1歳6ヶ月までの延長も可能です。
また、2017年10月からは、1歳6ヶ月時点でも事情がある場合、再申し込みによって最長2歳になるまで休業を再延長できるようになりました。
育児休業も、雇用形態を問わず取得可能ですが、雇用期間に定めがある派遣社員などの場合、
次の条件を満たしている必要があります。
・子どもの1歳6ヶ月の誕生日以降も、労働契約(更新される場合には、更新後の契約)の期間が満了することが明らかでないこと
*そのほかに、労使協定の締結により引き続き雇用された期間が1年未満の方は除外できるという規定があるため、詳しくは派遣会社にご確認をお願いします。
※引用資料:育児休業や介護休業をすることができる有期契約労働者について|厚生労働省
なお、産休は出産する女性本人しか取得できない制度ですが、育休は子どもを養育する男女ともに取得可能です。また、2022年10月1日より産後パパ育休(出生時育児休業)が施行されました。
産後パパ育休とは、出生直後の子どもを療育するために、原則として出生後8週間以内の期間内で4週間(28日)まで、休業をすることができます。※分割して2回取得、育児休業とは別に取得可能です。
1歳までの育休の申請は、原則として、休業開始予定日の1ヶ月前まで、産後パパ育休は原則、休業予定日の2週間前までで、雇用契約期間中であることが条件とされています。
産後休業とは別の申請が必要となるため、手続きを確認し、忘れずに申請するようにしましょう。
産休・育休・出生時育児休業の取得方法って?
ここまで、産休・育休制度の概要についてご紹介してきましたが、具体的にどうすれば取得できるのでしょうか。
取得方法は、雇用元(派遣会社)によって異なりますが、ここではパソナを例にして、詳しい取得条件や取得方法をご紹介します。
取得条件
産前休業
雇用契約期間中の出産予定日42日前(双子の場合は98日前)から取得可能です。産前休業は、42日前以降であれば、何日前から取得しても構いません。
産後休業
雇用契約期間中の出産翌日から、産後56日までが産後休業期間となり、必ず休業する必要があります。
ただし、産後42日経過後、本人の請求によって医師が認めた場合は、お仕事に復帰することも可能です。
育児休業
以下の1~3をすべて満たす場合に取得可能です。
1. 申請日時点で、1年以上継続してパソナでのお仕事をしている(週3日以上のお仕事であること)
2. 休業終了後に引き続き、パソナでのお仕事を希望している
3. 産前休業開始まで(産前休業を取得しなかった場合は出産するまで)、パソナでお仕事に就いている
育児休業期間は、産後57日から子どもが1歳になる誕生日前日までとなります。ただし、やむを得ない場合、1歳6ヶ月の前日まで延長ができ、更に1歳6ヶ月時点でも事情がある場合は2歳の誕生日前日まで延長することが可能です。
出生時育児休業(産後パパ育休)
以下の1~2をすべて満たす場合に取得可能です。
1. 申請日時点で、1年以上継続してパソナでのお仕事をしている(週3日以上のお仕事であること)
2. 申請日時点で、出生後8週間を経過する日の翌日から起算して6ヶ月以上パソナでのお仕事に就くことが決まっていること
取得方法
パソナの登録スタッフ専用の「MYPAGE」から申請します。
産休・育休・ともに休業開始1ヶ月前までの申請が必要になります。ただし、契約期間満了後の申請はできません。産後パパ育休は原則、休業予定日の2週間前までで、雇用契約期間中であることが条件とされています。
パソナの「MYPAGE」のホーム画面から【申請手続き】→【産休・育休 新規申請(女性)】・【男性育休等】育休新規/延長/短縮申請に進み、申請内容の各項目を入力しましょう。
産休・育休中に申請できる社会保険の給付金制度って?
産休・育休の取得期間中の賃金については、法律上定めがありません。その代わり、健康保険やハローワークから支給される給付金があります。
それは「出産育児一時金」「出産手当金」「育児休業給付金」の3種類。
それぞれ詳しくご紹介していきます。
出産育児一時金
出産に伴う費用の補助として、健康保険から支給されるもので、金額は一律42万円(産科医療補償制度の対象外となる出産の場合は40万4千円)です。
出産育児一時金は子どもの人数に応じて支給されるため、双子であれば倍の金額が支給されます。
出産する医療機関で直接支払いの申請を行えば、健康保険から医療機関に対して出産育児一時金が支払われます。
出産育児一時金よりも出産費用が多かった場合は、本人が差額分を医療機関に支払います。
出産手当金
出産のために休業し、給与の支払いを受けなかった場合に、健康保険から支給されるものです。
出産予定日もしくは実出産日の早いほうの日付より42日前(双子の場合98日)から産後56日までの合計98日間のうち、休業していた期間が出産手当金の対象となります。
支給額は、お休みに入る前の1年間の標準報酬月額を平均した金額÷30×3/2×支給日数となります。
【例】報酬月額平均が24万円の場合の出産手当金
240,000÷30=8,000円
8,000円×2/3=5,333円(円未満四捨五入)
5,333円×98日=522,634円
*標準報酬月額の決め方については、全国健康保険協会のHPをご参照ください。
育児休業給付金
育児休業給付金は、雇用保険に加入している人の育児休業期間を対象として、ハローワークから支払われる給付金です。育児休業開始前の雇用保険加入期間2年間のうち、11日以上出勤している月が12ヵ月以上ある方が申請可能です。
産後57日から1歳の誕生日前々日までの休業していた期間が対象となりますが、申請により1歳6ヶ月の前日、2歳の誕生日前日まで休業を延長した場合は、終了日の前日までが支給対象となります。
支給額は、休業開始時の賃金日額×支給日数×67%(休業開始6ヶ月経過後は50%)で計算します。
【例】休業開始時賃金月額が24万円で、子どもの1歳の誕生日前日まで休業した場合の育児休業給付金
・産後休業終了後~6ヶ月間
240,000円×67%=160,800円×6ヶ月=964,800円
・7か月目~子どもの1歳の誕生日の前日
240,000×50%=120,000円×4か月=480,000円
→合計1,444,800円
*休業開始時賃金月額=育児休業開始前6ヵ月の賃金÷180×30
産休・育休取得前にやるべきこと
これまでご紹介してきた通り、産休や育休を取得できる期間には、定めがあります。
派遣社員が産休・育休を取得するにあたり、必ずやっておくべきことは次の3つです。報告や申請のタイミングを確認し、早めの行動を心がけましょう。
派遣会社への報告
妊娠が分かったら、早めに雇用元となる派遣会社の担当へ報告をしましょう。
早い段階で報告することに抵抗がある方もいらっしゃるかもしれませんが、妊娠初期は体調も不安定で、人によっては早くからつわりが始まる場合もあります。
出産予定日や休業の予定を早めに申し出ることで、就業先への報告や産休・育休に向けたスケジュールを派遣会社と一緒に調整していきましょう。
なお、就業先への報告は、派遣会社の営業担当が行うので安心してくださいね。
妊娠報告の方法など詳しく知りたい方は、以下の記事もご覧ください。
引継ぎの準備は余裕を持って進めておく
妊娠期間中は、体調が不安定になることが多く、さらにお腹が大きくなってくると身体の負担も大きくなります。
定期検診や体調不良などで、勤務時間を短縮したり、お休みしたりする日が増える可能性もあります。
「後任者が決まる前から、引継ぎ資料の作成をはじめておく」など、スケジュールに余裕を持って産休・育休に入る準備を進めておきましょう。
産休・育休明けの働き方やビジョンを明確にしておく
産休・育休中は、出産準備や育児で、自分のために使える時間は少なくなってしまうもの。そのため、産休に入る前から、産休・育休明けの働き方について考えておくことが大切です。
産休・育休取得後もスムーズにお仕事復帰ができるよう、復帰後の働き方の希望やスキルアップのビジョンなども明確にしておきましょう。
また、時間の余裕があるときに、近隣の保育所の情報や地域のサポート制度など、利用できる子育て支援サービスについても情報収集しておくと良いですよ。
産休・育休明けに派遣でお仕事復帰するメリット
一人ひとりのライフスタイルに合わせたお仕事を選びやすい派遣は、子育て中の方にもメリットが多い働き方。育児と仕事を両立するために、産休・育休明けに派遣で働きはじめる方も増えています。
出産や育児を経て、派遣でのお仕事復帰をする場合、ワーキングマザーにとってどのようなメリットがあるのでしょうか。
ここでは、派遣未経験の方が産休・育休明けに派遣社員として働くメリットについて、ご紹介します。
効率的な転職活動ができる
派遣の場合、派遣会社があなたの希望に合ったお仕事を案内してくれるほか、顔合わせから就業までの手続きのほとんどを派遣会社が行ってくれます。
求人サイトでお仕事を探したり、応募や面接の調整をしたりする手間を省くことができるため、子育て中でもスムーズな転職活動ができるはずですよ。
勤務日数・勤務時間・勤務地を選べる
「子どもが小さいので、時短勤務のお仕事を希望している」「子どもが通う保育所から近い場所で働きたい」など、育児と両立しながら働くために、さまざまな希望があるでしょう。
派遣の場合、フルタイムだけでなく、週数日の勤務や時短勤務、残業なしなど、さまざまな勤務日数・勤務時間のお仕事があります。
また、地域差はあるものの、希望に合った勤務地のお仕事も見つかりやすいはずですよ。
未経験から始められるお仕事もある
転職市場において、正社員の未経験者募集は相対的に求人数が少なく、求人への応募者も多くなる傾向にあります。
しかし、派遣ならオフィスワークを中心として、未経験OKの求人が豊富にあるため、未経験職種でのお仕事復帰も夢ではありません。
幅広い求人を多く扱っている大手の派遣会社を選べば、未経験職種で働ける可能性は、さらに広がるでしょう。
産休・育休明けのワーキングマザーが働きやすいお仕事3選
子育て中の方におススメしたい派遣という働き方。
特に、産休・育休明けでお仕事復帰を考えている場合、「育児との両立がしやすい事務職やオフィスワークのお仕事を選びたい」と考える方が多いのではないでしょうか。
そこで今回は、未経験からの挑戦が可能で、お仕事復帰にも向いている派遣のお仕事を3つご紹介します。お仕事復帰の際は、以下の3職種をお仕事探しの選択肢に加えてみてくださいね。
一般事務・営業事務
一般事務や営業事務は、未経験OKの求人も多いため、お仕事を見つけやすいでしょう。
久しぶりのお仕事には不安がつきものですが、基本的なPCスキルやビジネスマナーが身についていれば、すぐに一般事務・営業事務として、現場で活躍できるはずですよ。
経理
経理は、専門性の高い事務職としてハードルが高いイメージがあるかもしれませんが、
未経験からのチャレンジも十分可能。簿記の基本的な知識や資格を持っていれば、実務経験がなくても挑戦できるお仕事もありますよ。
経理は、常に一定の求人数があるため、スキルを磨き、経験を積むことで、長く続けられるお仕事。
未経験から経理を目指す方は、産休・育休中の日商簿記3級取得を目標にしてみてくださいね。
受付
接客や販売の経験がある方にとって、オフィスワーク未経験からでもチャレンジしやすいのが、受付のお仕事。土日祝日休みで、残業の少ない就業先が多いのもワーキングマザーに人気の理由のひとつ。
これまでの経験で身につけたビジネスマナーやコミュニケーション能力を活かして、復帰後もすぐに活躍できるでしょう。企業の顔としてさまざまな人と接することで、育児とも両立しながら、自分らしく働けるはずですよ。
復帰する際のお仕事選びのポイントって?
産休・育休からお仕事復帰をする際は、どのような基準でお仕事を選ぶのが良いのか、どんなお仕事を選べば育児との両立がしやすいのか、お仕事選びに悩むことも多いでしょう。
そこで、復帰時の「お仕事選びのポイント」についてご紹介します。
復帰後の働き方やキャリアプランについて考えておく
「育休からの復帰後しばらくは、時短勤務をしたい」「子どもが幼稚園に入ったら、フルタイムで働きたい」「専門スキルを身につけて、将来的に専門性の高い職種を目指したい」など、これから自分がどんなキャリアを築き、どんな働き方をしていきたいのか、お仕事選びの前に考えてみてください。
子どもの成長に合わせて、理想のキャリアを築いていくための勤務形態や職種を選ぶことが大切です。
就業条件について確認しておく
子どもが小さいうちは、勤務日数や勤務時間など、就業条件が限られる可能性があります。
無理なく育児と仕事を両立できるよう、お仕事選びの際は勤務日数や時間、残業の有無、勤務地などの就業条件を、事前にしっかりと確認しておきましょう。
派遣会社や就業先の企業に相談しておく
あらかじめ、子育て中であることを派遣会社や就業先の企業に伝え、相談しておくことが大切。また、子育てサポートが充実している派遣会社を選ぶのもひとつの方法です。
パソナでは就業中のスタッフの方々が無料で利用できる「パソナファミリー保育園」や、福利厚生サービスであるベネフィット・ステーションの「育児ステーション」のお得な優待特典など、さまざまなサポートをご用意しています。
育児のスキマ時間を見つけて、お仕事復帰の準備を!
産休・育休の取得にあたっては、前後でさまざまな準備が必要になるもの。
これから出産や子育てを考えている方は、今回ご紹介した内容を参考に、産休・育休の制度や申請・取得方法、関連の給付金制度について、しっかりと理解しておいてくださいね。
また、産休・育休前の準備から、休業期間を経て、お仕事復帰までの大まかなスケジュールを立てておくこともオススメしています。
出産後しばらくは、慣れない育児に忙しい日々が続きますが、生活リズムが整ってきたら徐々にお仕事復帰へ向けた準備をはじめてみてはいかがでしょうか。
最初は、なかなか余裕がないかもしれませんが、子どもがお昼寝をしているときなど、スキマ時間を見つけて準備を進めてみてくださいね。
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参考サイト
- 女性にやさしい職場づくりナビ『産前・産後の休業について』|厚生労働省
- 育児休業や介護休業をすることができる有期契約労働者について|厚生労働省