派遣社員は残業を断れる?派遣の残業の仕組みや残業代についても解説
残業を希望する場合でもしない場合でも、繁忙期や、やむを得ない事情により、就業先企業から残業を依頼されることがあるかもしれません。そのような場合、残業を断っても良いのか、残業した場合の残業代はどうなるのか、派遣社員の残業について詳しく解説していきます。
派遣社員は残業を断れる?
就業条件として「残業あり」と提示されているお仕事でも、育児や介護などプライベートで優先事項がある場合、残業が難しいこともありますよね。その場合は、就業先企業との契約前に派遣会社の担当者に必ず伝えておきましょう。通院などで定時退社したい日があらかじめ決まっている場合は、残業を指示される前に就業先企業の上司に伝えておくとスムーズに残業を断れることが多いです。
また、労使協定の定める範囲を超えそうな残業を指示されているときには、派遣会社の担当者へ相談しましょう。
残業を断るときのコツ
普段は残業が可能でも、急な依頼には困ることもありますよね。そんなときのために、スムーズな断り方を覚えておきましょう。
「残業はできません」と一言で断るのではなく、代案を出して承諾してもらう方法があります。
「予定があり、どうしても残業ができません。明日の朝一番に着手して、10時までに仕上げるのはいかがでしょうか」など、相手の立場を考えた代案を付け加えて、自分の意思を伝えると良いでしょう。
また、「今やっているお仕事が明日の対応でも構わなければ、依頼されたお仕事を先に済ませます」など、優先順位を入れ替えることで、残業をせずに済むケースもあるかもしれません。
業務時間外に、急な会議が入ることもあります。そのようなときは、議題を事前に確認して自分の意見を議事録に記入しておくと良いでしょう。なお、残業ができない日があらかじめわかっている場合は、事前に上司に伝えておくのがマナーです。
派遣社員の残業時間の上限
「36協定」を結んでいる場合の残業時間の上限は「月45時間」「年360時間以内」と定められています。原則として、これを超える残業はできません。
ただし、繁忙期や、やむを得ない事情など特別な理由がある場合、「特別条項付き36協定」を結ぶことで、残業時間の上限は「月100時間未満」「年720時間以内」となります。
この場合も「月45時間を超えるのは、年に6ヶ月まで」「2~6ヶ月ごとの時間外労働の平均が、80時間以内」とされています。
残業時間の上限についても雇用契約書で判断できるので、内容をしっかり確認しておきましょう。
派遣社員の残業代の計算方法
残業代は、「1日8時間」「週40時間」の法定労働時間を超える場合、残業手当として25%以上の割増賃金が支払われます。
残業手当の計算式は「1時間あたりの基礎賃金×1.25(割増率)×残業時間」となります。
派遣社員の場合、お給料は時給制が一般的ですから、1時間当たりの基礎賃金=時給と考えて計算すると良いでしょう。
残業時間が22:00~5:00の深夜におよぶと、割増率はさらに25%以上を上乗せする必要がありますので、深夜残業は50%以上の割増賃金となります。
【例】雇用契約書で、時給1,500円の人が1時間の残業をした場合
残業手当:1,500円(時給)×1.25(割増率)×1(残業時間)=1,875円の割増賃金が支払われる
深夜残業手当:1,500円(時給)×1.5(割増率)×1(残業時間)=2,250円の割増賃金が支払われる
ここで注意しておきたいのが「法定労働時間」と「所定労働時間」の違いです。所定労働時間とは、会社が独自に決めた労働時間のことを指します。派遣社員の場合には、契約書に定められた1日の労働時間となります。そして、残業手当がつくのは法定労働時間を超えたときのみです。
たとえば、「午前10時から午後3時まで(休憩1時間)、1日4時間」の労働時間で契約している派遣社員が、午後5時まで残業したケースでは、実際の労働時間は6時間となります。この場合、所定労働時間は2時間超えていますが、労働時間は法定労働時間(1日8時間)を超えていないので、残業手当は発生しません。
残業で困ったときには派遣会社の営業担当者へ相談
残業の有無や頻度は、就業先企業によってさまざまです。雇用契約書を確認すると、残業の有無や上限時間を判断できますが、不明な点があったら、派遣会社の営業担当に確認しておきましょう。
また、残業ができる環境や条件であったとしても、所定の時間内でお仕事を進められる工夫をしていきたいですね。
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