経理事務とは|仕事内容や1日のスケジュール、向いている人は?

事務職からのキャリアアップを考えている方におススメの経理事務のお仕事。経理事務は、これまでの経験で培ったPCスキルや事務処理能力を活かしつつ、経理分野の専門性を高めることができる専門職種です。今回は、経理事務の仕事内容や1日のスケジュール、向いている人の特徴についてご紹介します。
- 目次
- 経理事務と他の事務職の違いって?
- 経理事務の仕事内容って?
- 経理事務に求められるスキル・資格って?
- 企業の規模で経理事務の仕事も異なる!
- 経理事務の1日のスケジュール
- 経理事務に向いている人とは
- 経理事務の魅力とやりがいについて
- 経理事務のお給料事情は?
- 未経験から経理事務への転職はできるのか
- 派遣転職で経理事務のお仕事にチャレンジしよう!
- よくあるご質問
経理事務と他の事務職の違いって?
まずは経理事務のお仕事について知るために、代表的な事務職である一般事務、営業事務との違いを比較してみましょう。
経理事務
経理事務は経理分野の事務業務を行うお仕事。取引・経費の出入金管理、伝票の仕訳といった日常業務に始まり、経験値を積むことで月次や年次で行われる帳簿作成、月次決算、年次決算などの業務にステップアップ可能です。
企業のお金を管理し、入出金の記録をするため簿記の知識は欠かせません。さらに仕事の幅を広げるには、より深い経済学・会計学のなどの専門知識が求められます。
一般事務
一般事務は、電話・来客対応をはじめとして、データ入力、文書作成、備品管理など、社内のさまざまな事務業務全般を担うお仕事。業務範囲は会社によっても異なりますが、オフィスワーク未経験から挑戦しやすい事務職のひとつです。
タッチタイピングはもとより、ExcelやWord、PowerPointなどOfficeソフトの操作などの事務処理スキルが求められます。
※関連記事:『一般事務とは|仕事内容や向いている人の特徴をご紹介!』
営業事務
営業事務は、営業部門のアシスタントとして営業活動に関する事務作業をサポートするお仕事。具体的には、顧客からの問い合わせ対応や受発注対応、在庫・納品管理などの業務を行います。営業担当者と二人三脚で目標達成を目指し、売上に貢献できるやりがいのあるお仕事です。
営業が不在の場合には、来客対応をする場合もあり、ほかの事務職に比べて顧客サービス・対人サービスの知識が必要です。
※関連記事:『営業事務とは|仕事内容は?給料・年収はいくら?実際に働く人の声もご紹介! 』
総務事務
総務事務は、各種社内規程の作成、申請書類の処理、社内資産・備品の管理など、総務(バックオフィス)部門の事務業務を行うお仕事。会社によっては社会保険事務など、労務分野の業務を行うこともあります。
※関連記事:『総務事務とは|仕事内容やメリット・デメリット、向いている人の特徴は?』
経理事務の仕事内容って?
経理分野の事務に特化したお仕事ですが、具体的にはどのような業務を行っているのでしょうか。仕事内容をイメージできるよう、業務の一例を確認していきましょう。
伝票の起票・整理
伝票とは、金銭や物品の出入りや取引の内容について、一定の形式に従って記録した書類のこと。経理事務のお仕事では、伝票を新しく書き起こしたり(起票)、伝票の整理を行ったりする業務も日々発生します。
仕訳入力
取引の内容を貸方・借方に分類し、入力する作業です。PCを使って会計ソフトなどに入力するのが一般的で、日付や金額と共に、勘定科目を記録していきます。
現預金管理
会社の現金や預金について、日々の出し入れ(出納)の履歴を確認し、記録していきます。出納の履歴を残し、帳簿上の金額と実際の現預金の金額が合っているかを確認する重要な作業です。
経費処理
請求書や領収書に基づき、各部門で発生する経費の確認や支払いの対応を行います。
月次・年次決算
多くの会社では、一定期間における業績や財政状況を確認するために、月次や年次での決算を行っています。決算の際、経理部門では試算表作成、総勘定元帳作成、棚卸表作成などを行うため、経理事務としてそのサポート業務に携わることもあるでしょう。
経理事務に求められるスキル・資格って?
ここにご紹介するスキル・資格を既に持っていれば、未経験から経理事務にチャレンジする際にも、大きなアピールポイントになります。どんなものがあるのか、ぜひ参考にしてみてください。
スキル
簿記の基礎知識
経理事務を目指すなら、日商簿記3級程度の簿記の基礎知識は身につけておきたいところ。資格を持っていなかったとしても、勉強中ということを伝えれば、アピールポイントになるはずです。
※関連記事:『経理は簿記何級が必要?簿記検定はどの種類を取れば良いのかご紹介』
事務処理能力
正確にスピード感を持って業務を行う「事務処理能力」も、経理事務に求められるスキルのひとつ。
月末や決算期などの忙しいときでも、落ち着いて冷静に対応し、ミスのない処理を行うことが大切です。正確かつ、速いスピードで事務処理ができるようになれば、周りからも信頼され、経理事務としてより評価されるでしょう。
PCスキル
事務職では必須とも言えるPCスキル。Office系ソフトを使うのが一般的ですが、特にExcelは経理事務のお仕事で使うことが多いため、基本操作を身につけておくと良いでしょう。表計算をはじめ、集計のときに役立つ関数やピボットテーブルをマスターしておくと、さらに業務効率が上がります。
資格
日商簿記検定
簿記関連の資格のなかで、最もメジャーなのが日本商工会議所主催の「日商簿記検定」。レベルは初級・3級・2級・1級の計4段階があり、実務に必要な簿記の知識や財務諸表を読み解く力が試されます。
経理事務を目指す場合は、まずは3級取得を取得し、簿記の基礎が身についてから2級へのチャレンジを目指すと良いでしょう。
※関連記事:『【簿記】日商?全商?全経?3つの簿記検定の違いを解説します!』
PASS(経理事務パスポート検定)
一般社団法人日本CFO協会が主催する「PASS(経理事務パスポート検定)」は、経理事務に求められる実務に則した経理知識が問われる検定試験。レベルは3級~1級まであり、比較的取得しやすい難易度が特徴です。
現預金管理や請求処理など、初級経理レベルの実務に役立つ内容が多く出題されます。
※関連記事:『【資格】経理や財務に役立つ資格「PASS」とは?』
MOS(マイクロオフィススペシャリスト)
Officeソフトの操作スキルを証明するマイクロソフト公認の資格で、試験科目は「Word」「Excel」「PowerPoint」「Access」「Outlook」の5つがあります。
試験形式は、筆記ではなくPC上での実技試験のみ。試験終了後のPC上にて、合否の結果がすぐに表示されます。転職活動の際に、PCスキルをアピールできる有効な資格です。
※関連記事:『【資格】経理・会計畑で役に立つ資格「MOS」の正体とは?』
給与計算実務能力検定
内閣府認可の一般財団法人職業技能振興会と一般社団法人実務能力開発支援協会が主催する、経理の基礎能力を測る検定です。業種を問わず必要な業務である給与計算の実務スキルがあることを証明するのに役立ちます。1級と2級がありますが、まずは2級の取得を目指しましょう。
電子会計実務検定
今やほとんどの企業で会計ソフトが導入されており、経理の業務もPCを使うものがほとんどです。こちらは企業の電子会計の実践力や対応力を高めるための検定で、会計ソフトを使用する問題も出題されます。1~3級があり、実務で役立つのは2級以上です。
ビジネス会計検定
財務諸表に関する知識や分析力を測る検定です。経理担当者だけでなく、大学生や幅広い職種のビジネスパーソンを対象としており、1~3級があります。経理の実務に活かすなら、会計用語や財務諸表の基礎知識を証明できるレベルの3級がおススメです。2級になると連結財務諸表が出題範囲に含まれ、よりレベルの高い財務分析力が問われます。
国際会計検定(BATIC)
英文簿記や英語での会計処理、国際的な会計基準の理解度を測るもので、東京商工会議所が主催しています。合否を判定するのではなく、1,000点満点でスコア別に4つのレベルに分けられます。グローバルに通用する会計基準を学べるため、外資系企業への転職を目指す方にもおススメです。なお、試験はすべて英語で行われます。
企業の規模で経理事務の仕事も異なる!
経理は企業の規模によっても担当業務が変わってきます。中小企業、大企業や上場企業、また外資系企業で働いた場合の違いを比較してみましょう。
中小企業
大企業に比べて経理部門の人員が少ないため、業務範囲が広いのが特徴です。少ないメンバーで一連の経理業務を担当するため、すべての経理業務を経験できるメリットがあります。覚えることは増えますが、短期間で多くのことを学べるでしょう。
大企業・上場企業
企業の規模が大きくなるにしたがって経営規模も大きくなり、連結会計や複雑な仕訳などの高度な知識を求められることも。日々処理しなければならない日時業務の量も多くなります。ただし、業務量が増えるものの分業化が進んでいるケースが多いため、中小企業よりも担当範囲は狭まります。
外資系企業
日本企業と外資系企業の経理の違いは、通貨や決算期、会計基準などです。為替の動きによる損益への影響や、本国の親会社の決算期に連結決算が行われるなど、日本企業との違いはさまざま。英語で書かれた書類を読んだりチェックしたりする機会も増えるでしょう。
経理事務の1日のスケジュール
続いては、経理事務の1日のスケジュールについて、一般的な例をご紹介していきます。
なお、月末・月初には月次決算関連業務、期末・期首には年次決算関連業務が発生する可能性がありますが、基本的なスケジュールの例として参考にしてみてください。
9:00 | 出勤。1日の予定や連絡事項の確認、メールチェック |
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9:30 | 売上の入金・支払い状況の確認、出入金確認、銀行での通帳記帳 |
11:00 | 取引伝票の起票・整理 |
12:00 | お昼休憩 |
13:00 | 経費精算処理、現金小口確認 |
15:00 | 仕訳業務(会計ソフトへの入力) |
17:00 | 書類のファイリング(処理が終わった請求書や領収書など) |
18:00 | 明日の予定の確認や準備をして、退勤 |
経理事務に向いている人とは
一般的にどのような人が経理事務に向いているのでしょうか。経理事務に向いている人の特徴をいくつかご紹介しますので、当てはまる項目があるかどうか確認してみてください。
数字の入力や計算など、コツコツした業務が得意な人
伝票の起票や会計ソフトへの入力(仕訳)作業など、コツコツと行う業務も多い経理事務のお仕事。ミスがないよう高い集中力を持って数字と向き合う、細かい作業が得意な人は経理事務に向いていると言えるでしょう。
データの集計・分析が好きな人
経理事務は、取引による会社のお金流れを把握し、適切に管理するお仕事。Excelなどを使ったデータの集計・分析が得意な人は、経理事務でも重宝されるでしょう。
計画立てて物事を進めるのが得意な人
経理分野では、経費処理や決算をはじめとして、月次や年次で定期的に発生する業務がある程度決まっています。そのため、期日までに計画的に物事を進めるのが得意な人は、経理事務に向いていると言えるでしょう。
細かいところに気を配れる人
現預金の管理や経費処理をはじめとして、細かい確認業務も多い経理事務のお仕事。記載されている日付や金額、取引内容の間違いには特に注意が必要です。細かいところに気を配り、ミスを発見するのが得意な人は経理事務に向いています。
※関連記事:『【適性診断】経理未経験の方必見!経理職が向いているのはこんな人』
経理事務の魅力とやりがいについて
経理分野に特化した事務職として人気の高い経理事務のお仕事ですが、その魅力とやりがいとはどのようなものなのでしょうか。具体例をご紹介します。
知識・スキルを磨くことで、着実なステップアップができる
経理分野に特化した事務職である経理事務は、専門知識やスキルを磨くことで、着実にステップアップできるお仕事。
最初は、伝票の起票や仕訳といった基本的な業務が中心ですが、知識・経験を増やすことで、年次決算のサポートなど幅広い経理業務を担当できるようになります。
スキルアップによって自分の成長を実感できるほか、知識・経験に応じた給与アップも叶うはずです。
創意工夫しながら業務を効率化・体系化していく楽しさがある
ルーチンワークも多い経理事務のお仕事ですが、繰り返して行う業務の効率化・体系化を追求することにやりがいを感じている人も多いようです。
例えば、よりスピーディーに書類へ目を通すコツを見つけたり、フローの見直しによる作業時間短縮を実現したりと、自分の取り組みによって成果を出せたときには、大きな達成感を得られることでしょう。
会社のお金の流れを把握することで、経営に関する知識も深まる
会社全体のお金の流れを管理する経理事務では、数字の動きを追うことがやりがいのひとつにもなるようです。
社長や役員以外は知ることのできない会社の数字を管理し、俯瞰して見ることは、経理事務だけが味わえる醍醐味とも言えるでしょう。
※関連記事:『経理のルーチンワークを楽しむ方法って?経理職のやりがいをご紹介!』
経理事務のお給料事情は?
経理の給与は仕事内容や勤務先の企業、勤務年数によっても変わります。一般的には経理の業務レベルは日次業務、月次業務、年次業務の3つに分けられ、レベルが上がっていくごとに給与も高くなっていきます。経理関連の資格を取得して転職でキャリアアップを実現したり、中小企業で働いて
幅広い実務スキルを身に付けたりすることで、年収アップも実現しやすくなるでしょう。
※関連記事:『経理職の平均的な年収って?実際の給料・時給をご紹介!』
未経験から経理事務への転職はできるのか
経理のお仕事に魅力を感じても、未経験で転職できるか不安に思われる方がいるかもしれません。30代以上の方が経理事務へチャレンジする際に知っておきたいことをご紹介します。
年齢は転職に関係するのか
年齢が関係することはさほどありませんが、年齢が上がるにつれて即戦力が求められる傾向は見られます。20代ならポテンシャルを考慮して採用される可能性がありますが、30代、40代になると未経験での転職はやや難しくなってきます。転職活動と並行して、資格取得を目指すなどの自助努力が必要なほか、給与面などの希望条件を再考する必要が出てくるかもしれません。
30代や40代は簿記2級は必須
30代や40代で未経験の方が経理事務にチャレンジする際、日商簿記2級を取得すればチャンスが広がります。日商簿記2級に合格するには相当の努力が必要であり、取得すれば簿記や財務諸表についての一通りの知識があると評価されます。また工業簿記の知識も身につくので、メーカーの工場部門での経理事務も選択肢に。
企業側も未経験の30代や40代に即戦力として活躍してもらうために、日商簿記2級取得を採用基準にしているケースが増えています。
派遣転職で経理事務のお仕事にチャレンジしよう!
経理事務は、経理分野に特化した事務職として、簿記をはじめとした専門知識・スキルを活かし、ステップアップできる人気のお仕事。未経験からのスタートであっても、スキルアップすることで、着実なキャリア形成ができるでしょう。また、業界を問わず常に一定数の求人があることや、経験を積むことで給与アップに繋がりやすい特徴もあります。
派遣なら自分のスキルに合ったお仕事や、未経験でもチャレンジできる求人にも出会いやすいでしょう。経理事務の転職を考えているなら、派遣を選択肢に加えてみてはいかがでしょうか。
パソナでは、未経験から挑戦できる経理事務のお仕事も多数ご案内しています。経理事務を目指す方は、ぜひ一度パソナにご相談ください。
よくあるご質問
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Q.経理事務の仕事内容って?
A.伝票の起票・整理、仕訳入力、現預金管理、経費処理、月次年次決算などがあります。 -
Q.経理に求められるスキルは?
A.簿記の基礎知識や事務処理能力、PCスキルなどが求められます。日商簿記3級程度の簿記の基礎知識は身につけておくとアピールポイントになります。参考:経理は簿記何級が必要?簿記検定はどの種類を取れば良いのかご紹介 -
Q.どんな人が経理に向いてる?
A.数字の入力や計算などコツコツした業務が得意な人、データの集計・分析が好きな人、計画立てて物事を進めるのが得意な人、細かいところに気を配れる人は経理に向いていると言えるでしょう。