経理でよくある失敗談は?同じミスを繰り返さないヒント、教えます
大切な会社のお金を管理すると言う立場上、細かいミスが許されない経理のお仕事。常にミスがないか目を光らせ、重大なリスクを回避すべく対策を練って、「ミスゼロ」を目指したいものですよね。
とはいえ、長年経理業務に携わり、どんなに優れた経理の知識・スキルを持っていても、どんなに注意を重ねていても、ミスをしてしまうのが人間というもの。ミスゼロ対策に加えて、うっかりミスをしてしまったときの対処法も知っておく必要があります。
今回は「経理パーソンのミス・失敗あるある」に合わせた解決のポイントやヒントをご紹介します。今後の経理業務におけるミス回避の参考に、チェックしてみてくださいね。
- 目次
- 経理ミスあるある①「入力ミス」その解決策は?
- 経理ミスあるある②「二重計上」その解決策は?
- 経理ミスあるある③「貸方と借方を間違えた」その解決策は?
- 人間はミスをするものだと認識し、常にミス対策を心がけましょう
経理ミスあるある①「入力ミス」その解決策は?
数字の入力ミスは、経理パーソンなら誰しも経験があるのではないでしょうか。特に、「3」「6」「8」「9」は、全体のフォルムが似ているので見間違えやすいうえ、テンキーの上下左右に位置しているため、特に注意が必要です。さらに、手書きの領収書や、営業から回ってきた経費精算書の入力の際には、“そもそも書類の数字が合っているか”を確認することも大切。
あらゆる注意点をふまえて入力したのに、なぜだか数字が合わない…。そんなときには、次のポイントをチェックしてみましょう。
「桁数」を間違えているケース
「0」を続けて入力する場合、ゼロが1つ多かったり少なかったりと、1桁単位の桁数間違いはよく起こってしまいがちなミス。1桁単位の桁数ミスが疑われる場合、正しい合計金額と誤った合計金額の「差額」を「9」で割ることで、間違った箇所を見つけ出すことができます。下記の例を参考に、計算してみましょう。
<例>
正しくは5,000円のところを誤って500円と入力していた場合、「正しい合計金額」と「誤った合計金額」の差額は、「5,000-500=4,500円」となります。1桁の桁数誤りの場合、この差額は9の倍数であることから、「4,500」を9で割った「500」が、今回間違えて入力した金額だと分かります。
「勘定科目」の金額を別のものと間違えて入力しているケース
勘定科目を見間違えて、別の勘定科目の金額を入力してしまうのは、きわめてシンプルなミス。元データと照らし合わせて、合わない勘定科目の金額を探せば、スムーズに間違いの箇所を発見できるでしょう。
「位」を間違えているケース
例えば、3,985円を3,895円と間違えるなど、隣どうしの位を逆にしてしまう入力ミスも意外と多いものです。この場合も、合わない差額の金額を「9」で割ってみることで、間違っている場所のヒントを見つけることができます。
<例>
3,985-3,895=90で、「正しい合計金額」と「誤った合計金額」の差額は「90円」となり、これを9で割ると「10」。この数字の上1桁である「1」は、誤った箇所の「8」と「9」の差額となります。
また、差額を9で割って出た数字(この場合は「10」)を以下のルールに当てはめて、間違えている位の場所を割り出します。例の場合は、10の位と100の位が逆になっていることがわかります。
上記方法で、間違っている箇所の候補を探すことができるでしょう。
差額を9で割った数字 | 逆になっている位の場所 |
---|---|
1~9 | 1の位と10の位が逆になっている |
10~99 | 10の位と100の位が逆になっている |
100~999 | 100の位と1000の位が逆になっている |
1000~9999 | 1000の位と10000の位が逆になっている |
以下、ルールにあてはめて続く… |
経理ミスあるある②「二重計上」その解決策は?
同じ取引を別のものとして二度計上してしまう「二重計上」は、さまざまなケースで、日常的に発生しやすいミスです。よくある二重計上の例をもとに、原因解決のヒントを探ってみましょう。
請求書の計上ミス
取引先から仮の請求書と、正式な請求書が2枚来ていた際に、どちらも計上してしまうというのが「請求書の計上ミス」です。また、社内で発行した請求書については、書き損じた請求書と正式な請求書の両方を、売上として計上してしまうケースも考えられます。
これを防ぐためには、計上する際「請求書番号」や「請求内容」を記載しておくことが重要です。
クレジットカードの計上ミス
通常、クレジットカードを利用した際は、口座からの引き落としが発生するため、「未払金」などの科目で仕訳を行います。しかし、クレジットカードの領収書を通常の領収書と勘違いして、「小口現金」で計上し、二重計上となってしまう場合があります。
これもよくあるパターンですが、必ず明細を残しておくことで二重計上を防ぐことができます。または、現金出納帳と実際残高の管理をキチンとしておくことで、防げるでしょう。
未払金の計上ミス
備品の購入代金を翌月に支払うために、いったん「未払金」として経費計上していたのに、翌月の支払い時にも「経費」として二重計上してしまうケースも考えられます。月をまたぐような期間であれば気づきやすいですが、支払いのタイミングが先の取引は、ミスも起きやすくなります。これを防ぐために、社内で未払金計上の明確なルールを設け、未払金の残高管理を徹底することが大切です。
二重計上を防ぐ方法は、とにかくチェックあるのみ!セルフチェックだけで済ませている場合は、ぜひ他の人にも確認してもらうダブルチェックの仕組みを導入しましょう。また、自分で入力したデータを画面上でチェックした後、入力データをプリントアウトして再度確認するなど、セルフチェックの精度を高めることも大切です。
経理ミスあるある③「貸方と借方を間違えた」その解決策は?
振替伝票を作成する場合は問題ありませんが、入金伝票や通帳などを見ながら入力するときは、借方と貸方を逆にしてしまうことが多々あります。このミスは、金額の間違いよりも見つけにくいという厄介なもの。でも大丈夫!ちゃんと解決策はあります。借方と貸方を間違っていると差額が2倍になるため、合わない金額を2で割って、数字の貸方と借方を逆にしている可能性を探りましょう。
<例>
300円合わない→300円を2で割ると150円。帳簿の中から150円という数字が見つかったら、貸方と借方を逆にしている可能性があります。
人間はミスをするものだと認識し、常にミス対策を心がけましょう
経理にとって永遠のテーマとも言える、数字のミスとの闘い。「最大限注意を払っていても、うっかりミスは起きる」という前提のもとに、ケースごとの解決策を覚えておきましょう。
今回ご紹介した、金額の差異が出たときや、位を間違えたときのヒントの探し方、借方と貸方を逆にしたときのチェック方法を覚えておくと、業務ですぐに活用できますよ。ミス回避のために、よくあるミスをまとめた「ヒヤリハット」マニュアルを作成して、チーム内で共有することも対策のひとつ。今回のような解決策を参考に、重大な「もしも」のミスに備え、ミスを回避できるように心がけましょう。
参考サイト: