用語

2019/11/05

【経理用語】「直接費」「間接費」って何?製造業の原価計算について

製造業は、自社で材料を仕入れ、工場で製造した製品を売って利益を得ています。製造業の経理にとって、「製品を作るのにいくらかかったのか」=「製造原価」の把握・管理は、とても重要な使命。そこで必要になるのが原価計算の知識です。

製造業以外で働く経理パーソンであれば、「そういえば、日商簿記2級の勉強で工業簿記を勉強したなぁ…」という程度の認識かもしれません。しかし、製造業の経理にとって、原価計算の知識は必須!製造業におけるコスト管理や原価計算について、知っておきたい基礎知識をまとめました。

目次
原価計算の基礎知識
製造原価の分類って?
3STEPで行う原価計算の流れ
原価計算をする目的って?
まずは原価計算の大切さを理解して、日々の業務に取り組もう

原価計算の基礎知識

製造業に馴染みのない方にとっては、「原価」という言葉自体、あまりピンと来ないかもしれません。まずは、「なぜ原価計算を行うのか」「製造原価って何?」といった原価計算の基礎知識をご紹介しましょう。

原価計算を行う理由

卸売業などであれば、仕入れ値がそのまま商品の原価となりますが、製造業の場合、製造の過程かかるさまざまな費用(材料費、人件費、消耗品費など)を計算して、原価を出す必要があります。この計算手続きを「原価計算」と呼びます。製品の原価は予算管理や財務諸表の作成においても必要となることから、製造業の企業にとって原価計算は欠かせない作業と言えるでしょう。

製造原価とは

製品を製造するためにかかった費用のこと。製造原価に販売費および一般管理費を加えたものを「原価(総原価)」と呼ぶこともありますが、製造原価には販売費および一般管理費が含まれません。

製造原価の分類って?

製品を作るためには、工場などの設備や材料費、人件費などのさまざまな費用がかかりますが、それらをまず項目別に分ける必要があります。その基本となる分類(形態別分類)を「原価の3要素」と呼び、「何を消費することで発生した費用か」という観点で原価を分類していきます。

原価を発生形態によって分類した「形態別分類」

  • 材料費…材料を消費することで発生
  • 労務費…労働力を消費することで発生
  • 経費…材料や労働力以外のものを消費することで発生

さらに、原価は「特定の製品を製造するために、直接的に使用された費用かどうか」という観点で2種類に分類されます。これが、「直接費」と「間接費」です。

製品との関連による分類

  • 直接費…特定の製品を製造するために使われたことが明らかな費用
  • 間接費…特定の製品を製造するために使われたことが不明確な費用

たとえば部品などの材料費は、どの製品に使われたかが明確なので「直接費」に分類できますが、さまざまな製品を製造している工場設備の減価償却費は、他製品の製造にも関わるため「間接費」となります。

なお、間接費は、どの製品にどれだけ消費されたのか判別しづらい原価です。そのため、何らかの基準を設けて製品ごとに費用を振り分ける必要があり、これを原価計算では「配賦(はいふ)」と呼びます。生産量や機械の稼働時間などに応じて、企業ごとに基準を設けて配賦を行っています。

まとめると、製造原価を構成する費用は、以下の3分類×2種類の計6つになります。

・直接材料費 ・直接労務費 ・直接経費
・間接材料費 ・間接労務費 ・間接経費

3STEPで行う原価計算の流れ

原価計算は、①費目別計算②部門別計算③製品別計算の3STEPで構成されています。それぞれを詳しく見ていきましょう。

①費目別計算

費目別計算は、一定期間に消費した原価を、先ほどご紹介した製造原価の分類にもとづいて費目別に分ける手続きです。日商簿記2級の「工業簿記」の範囲でもつまずく方が多い難所と言われていますが、「直接費」と「間接費」を正確に見きわめられればスムーズに処理ができるでしょう。材料費、労務費、経費の順にポイントをまとめました。

材料費

材料費は、製品の製造のために消費した物品の原価を指します。たとえば、製品が自動車の場合、材料費は以下のように分類されます。

直接材料費
  • 直接材料費…特定の製品のために消費した量を明確に認識できるもの
  • 主要材料費…車体となる剛板など
  • 買入部品費…計器類やタイヤなど
間接材料費
  • 間接材料費…製品ごとの消費量が不明確なもの
  • 補助材料費…塗料や染料、製造機械の燃料費など
  • 工場消耗品費…製品製造の過程の消耗品の原価。機械油など
  • 消耗工具器具備品費…固定資産として扱わない工具器具備品

労務費

労務費とは、労働によって発生する原価のこと。製品の製造には、直接工、間接工、バックオフィスを担当などの多くの従業員が関わっています。そのうち、直接労務費は直接工が製品の製造に関わった直接作業時間分の消費賃金を指し、それ以外はすべて間接労務費に分類されます。

ここでのポイントは、直接工に支払われる賃金が、すべて直接労務費ではないということ。たとえば、諸手当や福利費など、直接作業とは別に支払われるものは間接労務費となります。

経費

経費は、材料費や労務費以外の原価を指します。

直接経費

外注費など

間接経費

福利施設負担額、原価償却費や光熱費、貸借料、保険料など

②部門別計算

費目別計算によって分類された原価要素を部門ごとに分け、それぞれどれだけ消費されたのかを計算します。部門別計算の対象となる原価部門は、「製造部門」と「補助部門」の2種類に分けられます。

  • 製造部門…製品の製造を直接行う部門(加工部門、組立部門など)
  • 補助部門…製造部門のサポートを行う部門(修繕部門、工場事務
    部門など)

③製品別計算

原価計算の最終STEPとなる製品別計算では、原価を一定の製品単位で集計し、一製品当たりの製造原価を計算します。製品の生産方法に応じて、「個別原価計算」と「総合原価計算」のいずれかを選択して、製品別計算を行います。

個別原価計算

顧客の注文に応じて、製品を製造する「個別受注生産形態」に適用される原価計算。

総合原価計算

同じ規格の製品を大量に製造する「大量見込生産形態」に適用される原価計算。

  • 単純総合原価計算:1種類の製品
  • 等級別総合原価計算:1種類の製品だが、大きさなどの等級ごとに区分がされている場合
  • 組別総合原価計算:異なる種類の製品

*会計期間と原価計算期間

製造業であっても、財務報告の対象となる「会計期間」は1年(または半期・四半期)ですが、原価計算における「原価計算期間」は、一般的に月初から月末までの1ヶ月です。

原価計算をする目的って?

製品の製造にかかった費用を知るための原価計算は、そもそも何のために必要なのでしょう。

原価管理のため

企業は、あらかじめ「いくらで製品を製造するか」を定めた「標準原価(目標原価)」を設定し、実際にいくらかかったかを計算した「実際原価」と比較・分析します。これは「原価管理」を行う方法のひとつで、適切な原価計算やコストダウンには欠かせません。

製造業が利益を上げるための方法は、売上アップか原価低減の2種類。ムダをなくし、利益を増やすための原価管理は、製造業の経営にとって非常に重要なのです。

価格の計算・決定のため

販売価格は、原価を正確に把握し、利益が出る金額を設定する必要があります。原価を把握していなければ、「作ったものをいくらで売るのが適切か」を計算することもできません。

予算管理および経営計画のため

販売計画や利益計画に基づく予算管理・予算編成のためには、計画の根拠となる原価計算が必要不可欠です。例えば、それぞれの製品の原価を比較することで、今後どの製品の生産強化をするか、または縮小するかといった計画を立てることができるでしょう。このように、原価は経営方針の意思決定にも影響を与えると言えます。

財務諸表作成のため

株式会社は、一定期間の経営成績や財務状況を明らかにする「財務諸表」を作成する必要があり、この財務諸表作成でも原価は必須となります。なお、製造業の場合は、主要な財務諸表である貸借対照表や損益計算書の他に、「製造原価報告書」も作成する必要があります。

※関連記事:『【経理用語】原価計算の基本を改めて理解しよう!

まずは原価計算の大切さを理解して、日々の業務に取り組もう

製造業の場合、ひとつの製品ができあがるまでに、多くの人やモノが関わった分だけ、多くの工程が発生します。区分けが細かい製造原価ですが、正しい原価計算のために、今回ご紹介した基礎知識をぜひ頭に入れておきましょう。

製造業の原価計算は、利益や経営計画にも影響を与えるだけに、「正確な原価計算が経理としての腕の見せどころ」とも言えるでしょう。会社の現状を把握するという意識を持ちながら、日々の経理業務に取り組んでみてくださいね。

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