財務諸表を社員に公開しないのはなぜ?
一般的に、貸借対照表(B/S)や損益計算書(P/L)などの財務諸表(決算書)の内容を社員に向けて公開しない風潮がありますが、その理由はどこにあるのでしょうか。
企業会計には「明瞭性の原則」があります。これによると「企業会計は、財務諸表によって利害関係者に対し必要な会計事実を明瞭に表示し、企業の状況に関する判断を誤らせないようにしなければならない」とされているのです。
そこで今回は、なぜ社員には財務諸表を明瞭に表示しないのか、について解説します。
表示するかしないかは経営者判断に委ねられる
結論から言えば、財務諸表(決算書)を社員に公開する決まりはありません。公開する・しないは経営者の判断に任されているので、もし公開すべきだという意見があるとすれば、「明瞭に表示」という言葉の意味を勘違いしてる可能性があります。
「明瞭に表示」は「分かりやすくハッキリ書く」ということ
「明瞭性の原則」とは、確かに「利害関係者に対し、必要な会計事実を明瞭に表示する」ということ。ですが、「すべての利害関係者に、公平に見せなさい」ということではありません。
明瞭とは「はっきり」「分かりやすく」という意味。もし、「公明正大」という意図で汲み取ってしまうと、「関係者なら誰しも平等に見せてもらえるべき!」という答えに行きつくのです。
見せても良いし、見せなくても良い
「明瞭性の原則」でいう「利害関係者」は、一般的に出資者や債権者のことを指します。「投資判断を誤らせないために、財務諸表(決算書)は分かりやすく書こう」という意味合いであり、「社内の関係者にもオープンにしよう!」とは言っていないのです。
もちろん、見せてはいけないわけでもありません。例えば、「オープンブック経営」をご存知ですか?「経営の見える化」として、財務諸表や経営数値を社員に開示することで、社員の経営参加意識を高める経営手法があるのです。
しかし、これはあくまで経営者判断で開示しているだけに過ぎません。「明瞭性の原則」に従っているわけではないことを、頭に入れておきましょう。
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