日本はアメリカに何を輸出し、何を輸入しているの?
上の写真は、アメリカ合衆国の自由と民主主義の象徴である自由の女神像ですが、その向こうにうっすらとガントリークレーンが見えますか?
もしみなさんがニューヨークへ行くことがあれば、自由の女神像やマンハッタンのビルだけでなく、ニューヨーク港も遠くから眺めてみてください。今回は、そんなアメリカと日本の貿易関係についてご紹介します。
日本にとってアメリカは大きな貿易相手国ですが、アメリカにとっては?
戦後、日本とアメリカの間で貿易が盛んに行われ、1980~90年代のアメリカの大統領と日本の首相が対談した際には、アメリカの貿易赤字(日本にとっては貿易黒字)による貿易摩擦問題がそのトピックスに取り上げられたものです。
- 「貿易赤字」とは、輸入が輸出より上回る(お金を外国に支払っている量が多い)状態を指します。アメリカの対日貿易赤字は1991年がピークで、翌年以降徐々に低下しています。現在もアメリカの貿易赤字が続いていますが、かつてほどの差はなく、アメリカ国内では対中貿易の赤字の方が問題視されています。
現在アメリカは日本にとって最大の輸出相手国で、財務省の2019年度のデータでは、日本の対米輸出総額は約15兆2468億円、輸入相手国としても中国の次に取引が多く、輸入総額は約8兆円(全輸入総額の10.3%)となっています。
※出典:財務省「貿易統計」
では、この数字をアメリカから捉えてみましょう。日本はアメリカにとっても大切な貿易相手国のひとつですが、アメリカは隣国カナダやメキシコ、ヨーロッパ各国との貿易取引も多く、日本にとってのアメリカほど大きなウェイトを占めてはいません。
2018年度のデータでは、アメリカにとって最大の輸出相手国はカナダやメキシコ。この隣国への輸出がアメリカの全輸出総額の約34%を占めています。ちなみに、日本はアメリカの全体輸出総額の4.5%を占め、カナダ、メキシコ、中国に次いで4番目の輸出相手国となっています。
また、最大の輸入相手国は世界の工場とも呼ばれる中国(全体の21.2%)で、メキシコ(13.6%)、カナダ(12.5%)が続き、日本は4番目の輸入相手国(5.6%)になります。
※出典: 外務省「米国経済と日米経済関係(令和元年7月)」
日本とアメリカの輸出入品目から見えてくる国の特徴
ではここでみなさんに質問ですが、貿易取引の多い日本とアメリカがいったい何を売買しているのかご存知ですか? まずは、日本がアメリカに輸出している(アメリカが日本から輸入している)品目をご覧ください。
「日⇒米」貿易構造(2018年)
順位 | 輸入品目 | 金額(単位:億円) | 割合 |
---|---|---|---|
1位 | 自動車 | 45,241 | 29.2% |
2位 | 自動車部品 | 9,295 | 6.0% |
3位 | 原動機 | 9,140 | 5.9% |
4位 | 建設用・鉱山用機械 | 4,015 | 2.6% |
5位 | 航空機類 | 3,921 | 2.5% |
6位 | 科学光学機器 | 3,383 | 2.2% |
7位 | 半導体等製造機器 | 2,883 | 1.9% |
8位 | ポンプ及び遠心分離機 | 2,402 | 1.6% |
9位 | 金属加工機械 | 2,371 | 1.5% |
10位 | 半導体等電子部品 | 2,337 | 1.5% |
令和元年(2019年)に外務省が発表したデータでは、2018年のアメリカへの輸出額は約15兆4,702億円(前年比 +2.4%)で、品目別に見ると、自動車が約3割を占め、続いて自動車部品、原動機が上位3位を占めています。
では次に、日本がアメリカから輸入している(アメリカが日本へ輸出している)品目を見ていきましょう。
「米⇒日」貿易構造(2018年)
順位 | 輸出品目 | 金額(単位:億円) | 割合 |
---|---|---|---|
1位 | 原動機 | 7,122 | 7.9% |
2位 | 穀物類 | 4,825 | 5.4% |
3位 | 航空機類 | 4,757 | 5.3% |
4位 | 医薬品 | 4,635 | 5.1% |
5位 | 科学光学機器 | 4,598 | 5.1% |
6位 | 液化石油ガス | 4,339 | 4.8% |
7位 | 肉類 | 4,221 | 4.7% |
8位 | 有機化合物 | 3,223 | 3.6% |
9位 | 半導体等電子部品 | 2,996 | 3.3% |
10位 | 電気計測機器 | 2,275 | 2.5% |
2018年のアメリカからの輸出額は約9兆149億円(前年比 +11.4%)で、品目別に見ると①原動機 ②穀物類 ③航空機類 ④医薬品 ⑤科学光学機器 ⑥液化石油ガス ⑦肉類が上位7位を占めています。
特徴的な品目が第2位と7位の「穀物類」と「肉類」。アメリカは、世界有数の小麦・大豆・トウモロコシなど穀物類の産地で、日本はアメリカから相当量の穀物類を輸入しています。
穀物は人が食べるだけでなく、家畜用飼料としても必要なものですので、日本は国産品だけでなくアメリカなどからの輸入品で補っています。また「肉類」は、みなさんもスーパーなどで見かけていると思いますが、今やアメリカ産の肉はすっかり日本に定着しています。
※出典: 外務省「米国経済と日米経済関係(令和元年7月)」
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