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2018/03/08

アジア圏において存在感を増している「ASEAN(東南アジア諸国連合)」

著者: パソナ キャリアコーチ(貿易担当)

アジア圏において存在感を増している「ASEAN(東南アジア諸国連合)」

ASEAN(東南アジア諸国連合)は、もともと東南アジア諸国の政治的安定のため1967年に設立されましたが、時代とともに協力目的が変化しています。

近年は地域内の経済交流活性化に注力している、ASEANの経済面における取り組みについてご紹介します。

経済共同体としての側面が強まり、日中韓にも大きな影響力を増したASEAN

1990年から2000年代にかけて、シンガポールやタイ、インドネシアなど、東南アジア諸国は経済的に急成長。共同体としての活動も世界的に注目されるようになり、とりわけアジア圏において大きな存在になりました。

そのASEAN10カ国に、日本、中国、韓国が加わった「ASEAN+3(アセアンプラススリー)」は、ASEANの存在感が大きくなったためにできた枠組みのひとつです。

ASEAN+3 誕生のきっかけ

当初は、アジア通貨・経済危機が取りざたされた1997年のASEAN首脳会議に、日中韓の首脳が招待される形でスタートしました。その後恒例となり、今でも毎年開催されています。

また、この首脳会合をきっかけに、閣僚会合(外相、経済、財務、運輸、観光など)も随時「ASEAN+3」のメンバーで開催されるように。

それぞれが自国の経済発展のために、各国間の交流が促進されるよう共通ルールなどを定めています。

日中韓との関係

ASEANの貿易主要相手国を示した下図をご覧いただくと、ASEANにとって、中国、日本、韓国との関係が重要なのがうかがえます。

日中韓との関係

すでに東南アジアには、日中韓の企業がたくさん進出しています。ASEAN各国は、外国企業が地域内で自由に経済活動を行うのを認めることで、自国の経済成長および発展へとつなげたいと考えています。

ASEAN+3では、経済連携が着々と進められているので、この会合で取り決められた内容は、ときに商社や貿易会社の将来を左右することもあるのです。

ASEAN地域内の経済協力を進める「ASEAN経済共同体(AEC)」

その後、ASEAN諸国内において更なる経済協力を目指そうという機運が高まり、経済に特化した共同体を立ち上げました。

それが、2015年12月31日に発足した「ASEAN経済共同体(AEC:ASEAN Economic Community)」です。

これは、EPA(経済連携協定)が掲げる“人的交流、投資の自由化、競争政策におけるルールの整備、関税の撤廃など”を推進するもので、発足開始時点で9割超の品目において関税を撤廃する(関税率をゼロ%とする)という約束を交わし、各国首脳が署名しています。

※関連記事:『FTA、EPA、TPPの違い、わかりますか?

AECを発足させた要因とは

ASEAN各国が経済共同体を発足させた要因のひとつとして、世界経済を俯瞰して見たときに「ASEANの経済規模はまだまだ小さいため」ということが挙げられます。

ASEANの総人口は日本の約5倍ですが、シンガポールのような先進国もあるものの全体で見ればGDP(国内総生産)は日本の半分、一人あたりのGDPは約10%の経済規模しかありません。

同じ地域経済統合のEU(欧州連合)、NAFTA(北米自由貿易協定)、MERCOSUR(南米共同市場)と比較しても、人口においては他3つを上回るものの、経済規模ではEUやNAFTAを大きく下回っているのです。

AECを発足させた要因とは

こうした現状のなかで、ASEAN経済共同体は、これまで以上に地域内でのモノやサービスの自由化、活性化を促すことで経済発展を目指しています。

また、日中韓をはじめとした地域外の外国企業の力を自国の経済成長につなげていこうと、さまざまなルールを見直して、規制緩和を進めています。

今回は「ASEAN+3」のご紹介にとどめましたが、「ASEAN+6」「ASEAN+8」という枠組みもあり、今後、ますます話題となってくることでしょう。

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参考サイト

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