知っていて損はない!海上運賃とサーチャージ
貿易船にはコンテナのみが積まれる「コンテナ船」と、コンテナでは対応できない多種多様な形状のものを輸送する「在来船」があります。今回は、海上輸送の主流となっている「コンテナ船」の「定期船」の運賃について解説します。
海上運賃の構成を理解しよう
定期船とは、船会社が運航ルートやスケジュールを決めて就航する船のこと。それに対して、荷主のリクエストに応じて随時就航する船を不定期船と呼んでいます。
コンテナ船はほとんどが定期船で、海上運賃は「基本運賃」と「割増運賃(サーチャージ)」で構成されています。
では、その「基本運賃」や「割増運賃」の内容について、具体的にご説明しましょう。
基本運賃
基本運賃には、「品目別運賃」と「品目無差別運賃」の2種類があります。
①品目別基本料金
貨物の特性(運送コスト、荷姿、材質など)に応じて、料金が品目別に設定される運賃。海上同盟で作成される運賃(タリフ)は、基本的にこの方法が採用されています。
②品目無差別運賃
貨物の品目・容積・価格を問わず、コンテナ1本当たりで設定される運賃。コンテナの輸送の発達とともに広まった運賃設定方法です。
割増料金(サーチャージ)
海上運賃は、基本運賃だけでなく、サーチャージと呼ばれる「割増料金」が加算されるのが一般的。では、コンテナ輸送での輸出入の際に見られる代表的なものをご紹介します。
BAF (燃料費調整係数/Bunker Adjustment Factor)
燃料(重量)の価格変動に対応して調整されるサーチャージ。一般的にトン当たり、またはコンテナ当たりで価格が決められています。
※航路によって異なる名称が使われることがあります。
例:BS(Bunker Surcharge)、EBS(Emergency Bunker Surcharge)、EFAF(Emergency Fuel Adjustment Factor)、FAF(Fuel Adjustment Factor)
CAF (通貨変動調整係数/Currency Adjustment Factor)
通貨為替レートの変動に対応して調整されるサーチャージ。一般的に、基本料金に対する割合で価格が決められています。
※東南アジア航路などでは、日本円の高騰に対して課徴するYAS(Yen Application surcharge)が適用されることもあります
PCS (船混み割増料金/Port Congestion Surcharge)
特定の港が荷役中の船で混み合い、滞船が長期化した場合に発生するサーチャージ。
PSS (Peak Season Surcharge)
クリスマスなどの貨物繁忙期に加算されるサーチャージ。サーチャージは課される期間やその額がしばしば変わり、正直わかりにくいもの。商品の輸出入にかかる見積もりを作成するなど、大まかな運賃を算出したいときは、フォワーダーや運送業者に相談し、確認することをオススメします。
その他のチャージ
最後に、保税地域でのコンテナ輸送に関わる追加料金についてもご紹介しておきます(割増料金の一種のため、サーチャージと呼ばれることもあります)。
T.H.C (Terminal Handling Charge)
港のターミナル内で発生するコンテナ取り扱い費用。
CFS Charge (Container Freight Station Charge)
他社の貨物と混載されているコンテナ(LCL貨物)の、CFSまでの輸送と仕分け作業の費用。
DDC (Destination Delivery Charge)
仕向け港に到着したコンテナをコンテナ・ヤードの所定位置まで運ぶために発生する費用。
貿易事務の基礎知識として覚えておこう
「海上運賃やサーチャージって、こんなにあるの!?」と、種類の多さに驚かれた方もいるかもしれません。ですが貿易事務に携わる方なら、取引にかかる費用として頭に入れておく必要のある費用です。アライバルノーティス(Arrival Notice/貨物到着案内/A/N)などで見たときにはぜひチェックしてみてくださいね。
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