最小ロットって?製造会社が管理のためにつける「ロット番号」とは
今回は、製造会社との貿易取引書類などで使われることの多い「ロット(Lot)」についてご紹介します。
「ロット」とは、同じ条件のもとに生産(製造)する製品の「生産(製造)数量、出荷数量の最小単位」を意味する言葉。物流・貿易取引に関わるお仕事の方は、特に覚えておくと便利ですよ。では、早速はじめていきましょう。
製造会社とのやりとりで使われる「ロット(Lot)」の意味を知ろう!
貿易の現場では、穀物や果物などの自然物を取り扱う「物産会社」、車や電化製品、化学品など人が製造(加工)する商品を取り扱う「製造会社(メーカー)」など、さまざまな会社と取引を行います。「ロット(Lot)」という言葉は、その中でも製造会社とのやりとりのなかでよく使われます。
一般的に製造会社は、たった1個の注文に対して応えて、製造したり出荷したりするようなことはありません。少ない単位の製造・出荷だとコストがかさむため、注文数量や出荷数量の「最小単位=ロット」を取り決め、取引先に提示するのです。
たとえば、1箱に入る数量が1ダース(12個)で、1箱から出荷することが可能な商品は、出荷数量の「最小ロット」を12個とします。そのため、「24個や36個の注文には対応できるが、10個や20個という注文には応えられないない」といったように、最小単位の基準を決めるのです。
また商品の中には、100個以上、100kg以上など「●●以上」という数量でなければ採算に見合わないものもあります。その場合、製造会社はその生産能力に合わせて、最小注文数量=「最小ロット」を取り決めることもあります。
このような形で「ロット」という言葉は使用されますが、「最小ロット」の他に「小ロット」という言葉もよく使われます。
「小ロット」は、最小ロットに近い数量を指すことが多く、「小ロットでの生産が可能です」といった形で、少量生産できることをアピールする際などに使用されます。
輸出者から発行される価格表(プライスリスト)には、Lotという表記で最小注文数量や最小単位が明示されていることがありますので、その内容(文脈)を見て判断しましょう。
製造会社が管理のためにつける「ロット番号」
ここまでご紹介したロットの使い方以外に、よく使われるのが「ロット番号」というもの。
製造会社によっては、同じ商品でも製造年月日ごとに番号をつけたり、原材料が変わるタイミングで別の番号をつけたりして、管理することがあります。
塗料などの化学品を製造している会社では、同一環境・同一条件で、化学品を製造しても、化学反応次第で内容物が微妙に異なる場合があります。
たとえば、ある物質が60%〜75%の主成分を占める化学品で、今日製造したものが62%の主成分だったとしても、翌日製造したものは71%になっている可能性もあります。このように、一部の内容物が変化する商品は、通常ロット番号をつけて管理されています。
*このような商材を購入する輸入者もまた、成分に微妙な差があることを理解した上で、まずロット番号違いの複数サンプルを入手し、試験をした結果、一番適合するロット番号を指定して輸入することがほとんどです。
「ロット番号」というのは、ロットナンバー、シリアルナンバー、製造番号など会社によって呼ばれ方が異なりますが、意味していることは同じです。「ロット」にはこうした使われ方をするということも覚えておきましょう。
「ロット」の意味や使われ方について、ご理解いただけましたでしょうか。
「ロット」は貿易特有の言葉というよりは製造会社(メーカー)で使われる言葉ですが、商社や貿易会社の多くは製造会社と取引しているので、今は使っていないという貿易事務の方も、知っておいて損はないですよ。