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2015/09/14

L/C(信用状)を買い取ってもらえなかったときの「ディスクレ」の対処法

著者: パソナ キャリアコーチ(貿易担当)

L/C(信用状)を買い取ってもらえなかったときの「ディスクレ」の対処法

L/C(信用状)」を使用した取引では、輸出者は、L/C条件通りに商品を船積みし、その船積書類と為替手形を買取銀行(通知銀行)に提出し、手形を買い取ってもらって代金を回収します。

ディスクレ(Discrepancy)とは、このL/C条件と船積書類の記載内容が「不一致(=Discrepancy)」であることを指し、このディスクレが発生した場合、買取銀行は手形が不渡りになる(輸入地の開設銀行に支払ってもらえない)可能性があるため、買取りを拒否します。

今回は、もしこのディスクレになった場合の3つの対処法について、ご紹介します。

ディスクレ=L/C(信用状)と船積書類の内容の不一致にはこう対応する

① L/C条件の変更(アメンド)

輸出者が輸入者にL/C条件の変更を依頼し、開設銀行、通知銀行(買取銀行)を通して、L/C条件そのものを変更する方法です。船の到着やL/C条件の期限まで、時間に余裕がある場合は、この方法で対応するのがベストと言えるでしょう。

① L/C条件の変更(アメンド)

※関連記事:『「L/C(信用状)」の内容に問題があったときはどうするの?

② L/G(エルジー)ネゴ

L/Gネゴとは、輸出者がL/G(Letter of Guarantee)と呼ばれる保証状を買取銀行(通知銀行)に差し入れ、ディスクレがある状態のまま、為替手形の買取りを依頼する方法。L/Gというのは、輸出者が買取銀行に対して、“もし、輸入地で支払拒否があった場合には、買い取った為替手形を輸出者が買い戻す”と約束した念書のことです。

貿易実務では、ディスクレの内容が軽度で、時間的に余裕のない場合によく利用されています。

② L/G(エルジー)ネゴ

しかし、ここで注意していただきたいのは、このL/Gは、輸出者と買取銀行間の念書に過ぎず、開設銀行に支払義務はないということです。つまり、上図④の段階で、支払いを拒否される可能性があるということです。もし、開設銀行に支払拒否された場合は、L/Gに書かれた通り、輸出者は買取銀行に対して、手形金全額を弁償しなれければなりません。ですから、輸出者はこのことを十分に承知したうえで、買取りを依頼することになります。

③ ケーブルネゴ

ケーブルネゴは、買取銀行(通知銀行)が開設銀行にケーブル(電信照会)で買取りの可否を問い合わせ、代金支払いの承諾を依頼する方法。買取りが承諾されたら、通常のL/C決済と同じ扱いになります。

③ ケーブルネゴ

ケーブルネゴは、L/C金額を超えて船積した場合、L/Cの有効期限を超えて船積した場合など、ディスクレの内容が重大で確実に支払を拒否されるような場合に利用されます。

また、照会を受けた開設銀行が、輸入者の同意を得なければならないため、日数を必要とし、輸出者がその間の資金負担を負わなければなりません。

通知銀行と買取銀行の違い

最後に、「通知銀行」と「買取銀行」について、補足説明をしておきましょう。

これまで「L/C(信用状)」のご説明で、主に輸出者がやりとりを行う輸出地銀行を「通知銀行」、または「買取銀行」と表現してきましたが、この2つの銀行は同じである場合も、異なる場合もあります。名称がその役割を表していますが、「通知銀行」はL/Cを輸出者に通知する銀行で、「買取銀行」は手形の買取りを行う銀行。

輸出者が、通知銀行に買取りを依頼すれば、通知銀行と買取銀行は同じなのですが、輸出手形の買取りが特定の銀行に指定されている「買取銀行指定信用状」というL/C(信用状)もあり、これを使用するケースなどでは、両者が一致しないこともあります。実際の取引では、通知銀行が買取銀行になるのが一般的ですが、必ずしもイコールではないことをご留意ください。

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