輸入に関わる法律・規制を知っておこう
貿易とは国際間での売買取引を指しますが、どんなものでも売買できるわけではなく、「輸入してはならないもの」「輸入する量に制限を設けているもの」「輸入時に検査を必要とするもの」など、各国でさまざまな規制が設けられています。今回は、日本の輸入に関する法律や内容をご紹介します。
※関連記事:『輸出に関わる法律・規制を知ろう!』
知っておきたい!輸入に関わる法律・規制
輸入に制限を設けているのは、外国からの輸入貨物の中で、日本の産業・経済・保険・公序良俗に悪影響を及ぼすものを国内に入れないようにするため。
日本には輸入を規制する多くの国内法令がありますが、中でも最低限知っておきたい法律とその内容を取り上げます(詳しく掘り下げると専門的な話になるので、当コラムではサラッとご紹介します)。
関税法
関税の確定・納付や貨物の輸出入など、税関手続きの基本的な内容が規定された法律です。
第69条11項では、「輸入してはならない貨物*」として、麻薬や覚せい剤、拳銃、爆発物、火薬類、化学兵器に関する物質、偽造貨幣、児童ポルノ、公序良俗に反する物品など、輸入できないものを定めています。
*麻薬や拳銃、爆発物や火薬類などは、日本政府の許可を受けた者は特別に輸入することができますが、偽造貨幣や児童ポルノなどの物品は、いかなる場合でも輸入が許可されません。関税法では、これらの貨物の対処法(没収・廃棄・返送)や罰則なども定められています
また第71条では、貨物の「原産国を偽った表示がされているもの」、または「その誤解を生じさせるもの」(インド製にもかかわらず、ロゴにイタリアの国旗を描いているようなもの)についても、輸入を許可しないと定めています。
*実際に、このような貨物があった場合には、ラベルやロゴを消去(廃棄)し、貼換えると作業をすることで輸入通関を許可されることもありますが、膨大な手間と費用がかかりますので、そうならないように注意が必要です
外国為替及び外国貿易法(外為法)
外為法(がいためほう)は、日本と外国の間の資金やモノ・サービスの移動などの対外取引が正常に発展するよう、必要最小限の管理または調整する内容を定めた法律で、輸入に関する品目についても制定されています。
例えば、多くの水産物が非自由化品目に指定されており、ニシンやブリ、海苔や昆布などの水産物は輸入割当(わりあて)*が必要になります。また、クジラやマグロなどは、経済産業大臣による承認が必要になります。
*輸入割当制度は、諸々の事情で定められた特定品目の輸入数量を、経済産業大臣に申請した各社に分配し、その限度内での輸入を承認する制度。原則1年に1回、輸入発表(申請手続などの発表)が行われ、輸入承認を得た者(法人)だけが輸入できます
その他の法令
関税法、外為法のほかにも、輸入を規制する法律がたくさんありますが、ここではみなさんの身近にあるもの、目にするものの輸入規制・法律についてご紹介しましょう。
食品衛生法
飲食物や添加物の検査はもちろん、食べものを入れる食器、小さな子どもが口に入れる可能性のある玩具などの輸入にも、検査が必要になる物品があります。
酒税法
アルコール飲料を輸入販売するには、酒類販売業免許が必要。
薬事法
医療機器や医薬品、化粧品などの輸入販売は、各種の製造販売業許可が必要。医療機器には、老眼鏡のような病院が取り扱わないようなもの含まれています。
植物防疫法
原則、全植物が検査対象になり、輸出国政府機関の発行した検査証明書を提出する必要があります。ドライフラワーなどの加工品も、度合いによって植物検疫を受ける必要があるため、事前に加工工程を記載した書類とサンプルを植物防疫所に提出し、確認してもらうのがオススメ。
また、輸入については特段規制がなかったとしても、国内で販売するにあたって、消防法や電気用品安全法、工業標準化法(JIS法)など、各法令に基づいた届け出や表示が求められる物品もあります。
このように、輸入や販売にはたくさんの法令があり、規制されていることがあります。こうした商品を扱っている会社はすでにその内容を知っていることも多いので、貿易初心者の方は知らないことを恥ずかしがらずに、社内の人に確認してください。
国際的なルール
最後に、国際的に輸入規制されているものを紹介しましょう。
モントリオール議定書とワシントン条約は、多くの国が締約し、日本も締約している輸入規制のルール。モントリオール議定書というのは、オゾン層を破壊する物質の取引の制限を取り決めたもの(日本では輸入割当品目に)で、ワシントン条約は絶滅の恐れのある野生動植物の取引を禁じたものです。
ワシントン条約では、毛皮や象牙、漢方薬など、取引制限の対象となっている動植物の加工品も、取引が規制されています。
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