日本の中にあるのに日本ではない!?「保税地域」のこと
みなさんは、「保税地域」という言葉をご存知ですか? 実は「保税地域」とひとくちにいっても、日本には5種類の「保税地域」があります。まずは、もっとも一般的な「保税蔵置場(以下、保税地域)」についてご紹介しましょう。
すべての輸出入貨物は「保税地域」を通っている
「保税地域」は通常、外国船や飛行機の国際線が発着する港湾や空港の近くに設置され、輸出入の許可が下りるまで貨物が蔵置される特別地域のことです。
「保税」とは、外国貨物に課す関税(輸入税)を一時留保される(関税を支払わなくても良い)、という意味。
貨物が「保税地域」にある時は関税を払わなくても良いのですが、逆に言えば「保税地域」から輸入貨物を引き取る際には、原則的に関税を支払わなければなりません。
つまり、みなさんの身のまわりにある外国の商品は全て
①港や空港に到着したあと
②「保税地域」に搬入され
③輸入許可が下り(通関手続きが完了し)
④関税が支払われ
⑤「保税地域」から引き取る
という経緯を経ています。そう考えると、「保税地域」のことが少し身近に感じられるのではないでしょうか。
ちなみに日本の「保税地域」は、財務大臣の指定、または税関長の許可により設置され、輸出入の貨物を蔵置するだけでなく、税関による審査や検疫、禁制品のチェックなども行われています。
「保税地域」は日本だけれど日本ではない!?
ここで、海外旅行に行かれたことのあるみなさんは、入国審査のことを思い出してみてください。
飛行機が渡航先の空港に到着したとしても、入国審査を通らなければ、その国を自由に旅行することはできませんね?「保税地域」というのは言うなれば、“飛行機で到着してから入国審査までの間”と同じなのです。
貨物(モノ)は人のように話せるわけではありませんから、審査には少々時間がかかります。だから貨物はいったん「保税地域」に入れて、その間に輸出入者(または、彼らが依頼した専門業者/フォワーダー)が税関に貨物の内容を申告するのです。
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