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2017/11/09

アジアとヨーロッパを結ぶ「ユーラシア横断鉄道」中国の「一帯一路」構想を知っていますか?

著者: パソナ キャリアコーチ(貿易担当)

アジアとヨーロッパを結ぶ「ユーラシア横断鉄道」中国の「一帯一路」構想を知っていますか?

今回の貿易雑学は、ユーラシア大陸を横断する貿易の新たなルートについてご紹介します。今後の貿易にも関わる話なので、ぜひ覚えてくださいね。

いくつもの国の鉄道を利用し、アジアとヨーロッパを結ぶ「ユーラシア横断鉄道」

みなさんは、ふだん「アジアとヨーロッパが陸続きにつながっている」ということを意識することはありますか?

日本は島国で、アジアに行くにしてもヨーロッパに行くにしても、飛行機(または船)を利用する必要があるので、「アジアとヨーロッパが同じユーラシア大陸にある」ということは、知識として知っていても実感することはあまりないかもしれませんね。

ですが、今後の貿易実務では、もしかするとアジアとヨーロッパがつながっていることを実感する機会も増えるかもしれません。というのも、実はここ数年で、ユーラシア大陸内陸部に敷かれた鉄道が貿易貨物の輸送に対応しはじめており、アジアとヨーロッパの新たなルートとして注目を集めているからなんです。

では、実際どのようなルートかを下図でご説明します。

いくつもの国の鉄道を利用し、アジアとヨーロッパを結ぶ「ユーラシア横断鉄道」

みなさんは、このように各国をまたがって鉄道が走っていることをご存知でしたか?

この鉄道ルートは、中国が内陸部の国々とも連携しながら整備を進めたもので、6年前ほど前から本格的に貿易貨物の輸送をスタートさせました。

地図には中国とヨーロッパを結ぶメインルートを描いていますが、まだつながっていない鉄道も含めて、今後は数多くの内陸国と鉄道でつながっていく可能性があります。

ちなみに、この記事ではユーラシア大陸を横断する列車ということから「ユーラシア横断鉄道」という名称で紹介していますが、「アジア横断鉄道」と呼ばれることもあります。また、国際物流業界では「新ユーラシア・ランドブリッジ」といわれたり、かつて中国と西洋を結んだシルクロードに並行することから「鉄のシルクロード」「シルクロード鉄道」とも呼ばれていたりもします。

新たなルートの出現でユーラシア内陸国・地域の経済発展が予想されている

先ほど、この鉄道ルートは中国が主導して整備したと話しましたが、この国家政策を「一帯一路(政策・構想)」といいます。そして、中国とヨーロッパを結ぶこの路線を「中欧斑列」というそうです。

このルートができたことにより、中国やドイツの内陸都市、中央アジアのカザフスタン、東欧のポーランド、ベラルーシなどの沿線地域には、商社や物流会社、製造会社など、さまざまな企業が関心を寄せているようで、すでに各地の経済発展にも寄与しています。(インフラと経済発展の結びつきの強さを感じますね。)

ちなみに、鉄道輸送のメリットは、航空便よりもコストが安く済むこと、船便よりも輸送が早いことです。輸送コストは航空便の5分の1、日数は船便の4分の1といわれています。

ただ、貨物列車が一度に運べるコンテナは50前後と限りがあり、大型のコンテナ船は一度に1万を超えるコンテナを運べることを考えると、輸送手段として単純な比較はできませんが、空輸や船便を補完する新たな輸送手段として活用されることは間違いありません。

2016年には、年間で約1,600本の貨物列車が中国・ヨーロッパ間を走ったそうですが、鉄道の老朽化などもあり、物流を本格化させるにはさらなる整備が必要とのこと。ですが、内陸国・地域の経済が発展し、さまざまなニーズが増えれば、ルート沿いにある中国やヨーロッパの企業はもちろんのこと、日本や他国の企業にとっても、中央アジアや東欧に進出しやすい環境になるので、今後、ユーラシア大陸では、鉄道貿易がどんどん活発化していくと考えられます。

まとめ

余談ですが「ユーラシア横断鉄道」で利用されている各国に敷かれた線路は、左右の幅(軌間)が異なるために鉄道の乗り入れができない…などさまざまな問題があったそうです。(現在はコンテナを移し替えて輸送しています)しかし、中国政府がこうした困難を解決してでもチカラを入れたということは、それだけ、この未開の地が魅力的であったということ。中国政府が何を考えて「一帯一路」構想を掲げているのか、という視点から考えるのもまたおもしろいですね。

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