【業務改善】経理・会計なら覚えておきたい決算早期化の考え方
みなさんは「決算早期化」という言葉を聞いたことはありますか?「決算早期化」は2000年前後から経理・会計分野で話題にあがるテーマで、経営判断の迅速化やコスト(労務費)の削減などの理由から、近年は業務改善策としても取り上げられることが多くなってきました。
そこで、今回は「経理・会計なら覚えておきたい決算早期化の考え方」についてご紹介します。
決算早期化への貢献で価値のある経理・会計を目指す
会社法では「法人企業は事業年度の終了から2ヶ月以内に決算申告書を提出し、3ヶ月以内に決算報告をしなければならない」ということが定められています。この期限に間に合わないとペナルティ(加算税)が発生するため、大抵の企業は提出期限に間に合うように決算業務や報告資料作成を行うはずです。
とはいえ、この時期の経理・会計は多忙。「加算税を取られる前にやればよい」と考え、作業を後ろ倒しにしてしまっているところもあるかと思いますが、決算業務の遅延にメリットはありません。
決算業務が後ろ倒しにすると、以下のようなデメリットがあることを覚えておきましょう。
決算の遅延が招く主なデメリット
コスト(労務費)がかかる
決算業務が遅れてしまうと、期限が近づいてからの作業が増え、単純に働いているスタッフの労務費が高く付くことがあります。前もって進めていれば業務時間内に済んだ作業でも、「残業代」や「休日出勤手当」という形になれば、当然コストがかさみます。また、高コスト体質の部署はリソースが足りない場合であっても、人材を採用してもらいにくくなることも。
付加価値を提供しにくい
最近は、バックオフィスの価値向上に取り組んでいるところも多いのではないでしょうか。しかし、決算業務が終わらないと、経理・会計部門ならではの価値の高い仕事に取り組む時間が限られてきてしまいます。そうなれば、会社から部門の評価を高めることも難しくなってくるでしょう。
スタッフがGWを満喫できない
3月決算の会社の場合、年次決算がゴールデンウィークをまたぐというところもあるようです。しかし、ゴールデンウィークをまたぐと休日出勤が増え、スタッフが十分に休みを満喫できない可能性も十分に考えられます。
決算早期化を成功させるポイント
決算早期化対策の正解は一つではありませんが、どんなプロジェクトを立ち上げるとしても、意識しておきたいポイントがあります。ぜひ以下のポイントを参考にしてみてくださいね。
経理部だけのプロジェクトにしない
決算早期化を実現するには、他の部門・部署との連携が欠かせません。関連する部署に協力を仰ぐこともありますし、無駄がないかを確認してプロセスの変更を求めることもあるでしょう。すべての関連部署に自分事として取り組んでもらうことが、成功への近道と言えるでしょう。
プロジェクトを社歴の浅いスタッフに任せる
ルーチンワークが多い経理・会計の業務の場合、業務に慣れている中堅・ベテランのスタッフの方が無駄に気付けなかったり、問題意識が希薄になってしまっていたりすることも考えられます。思い切って、歴の浅いスタッフにプロジェクトを任せるというのもひとつの手です。
少しの頑張りで実現可能な数値目標を設定する
数値目標の設定は、「曖昧な目標を可視化して、現実的なところへ落とし込める」という点で非常に有効です。自分の目標を継続的に追っていくという目的もありますが、例えば同僚と成果を競い合うといったこともできるでしょう。また、目標とする数値は大きすぎず、少しの頑張りで手が届くところに設定するというのもポイントのひとつです。
やるべきことはシンプル
遅れがちになってる決算業務を早期化する方法は、シンプルに2つしかありません。
一つは、スタートを早めてゴールを前倒しにすること。もう一つは、業務の中の無駄を取り除いて期間を短縮することです。
この2つはどちらも大事なのですが、コスト(労務費)の削減やバックオフィスの価値向上という点では、特に後者が重要だと言えるでしょう。会社の決算早期化に貢献し、経理・会計としての価値を高めていきましょう。