膨大な経理書類を電子化して保存?どうすればいい?
経理担当者の悩みといえば、領収書・見積書・現金出納帳など、日々増えていく経理書類の保存についてではないでしょうか。また、保存もさることながら、欲しい書類を探し出すのもひと苦労…という状態も困りものですよね。今回は、経理書類を取り巻く状況を打開するためのヒントをご紹介します。
電子データで保存できる書類を活用する
「増え続ける経理書類の管理が大変!」とお悩みの経理担当者にオススメしたいのが、書類の電子データ化。そこで、データ保存する際に知っておくべきことをまとめました。
電子帳簿保存法をチェック!
まず知っておいてしてほしいのが「電子帳簿保存法」です。これは1998年に施行された法律で、一定の条件に従えば、国税関係の帳簿・書類を電子データで保存しても良いと定められています。
従来は紙でしか保存が認められていなかった書類が、この法律のおかげで、紙の書類をスキャナで取り込んでデータ保存することが可能になりました。
スキャナ保存する際の条件
次に、経理書類をデータ保存する際の「一定条件」についてご紹介します。
1.スキャナ保存の準備
書類をスキャナ保存するには、まずスキャナ保存を開始する3ヶ月前までに税務署に申請をする必要があります。
つまり、今から申請してもスキャナ保存ができるのは3ヶ月後ですので、できるだけ早めに進めておくことをオススメします。詳しい申請方法は、国税庁のWebサイトを確認しましょう。
スキャナの解像度は「200dpi」以上が必要で、ハンドスキャナやデジタルカメラは使用できません。PCには、カラーディスプレイかカラープリンタを備えておきましょう。
2.スキャナ保存できるものとできないもの
先ほど「国税関係の書類を電子データで保存できる」とお伝えしましたが、何でも保存できる訳ではありません。国税庁の「適用条件~スキャナ編」に、スキャナ保存できる対象書類が明記してあります。
対象書類
契約書領収書、預り証、借用証書、小切手、請求書、納品書など
契約書や領収書のスキャナ保存は、以前は3万円未満のものに限られていましたが、平成27年度の税制改正時にスキャナ保存制度が見直されたことにより、金額の制限がなくなりました。
ただ、帳簿や決算報告書などはスキャナ保存できないため、注意が必要です。上でもご紹介した国税庁のサイトに詳しく記載されているため、併せてチェックしておきましょう。
電子署名とタイムスタンプ
電子データで保存するうえで、気をつけなければならないことが「セキュリティ面」です。
電子化した文書は痕跡を残すことなく、「改ざん」「コピー」「データの作成日時変更」などができるという、紙の書類にはない特性を持っています。
だからこそ、電子化した文書が事故などによって消去されることを防止するとともに、改ざんなどがあった事実を把握できるようにしておく必要があります。
そこで、スキャナ保存の際に義務づけられているのが、「電子署名」と「タイムスタンプ」です。
電子署名
電子署名とは、電子文書に付与する電子的な署名のことです。データ作成者の証明や、改ざんの有無の確認ができる仕組みを持っています。
タイムスタンプ
タイムスタンプは、電子文書に付与する時刻の情報です。当該文書の作成時刻(文書の存在証明にもなる)や、その時刻以降の非改ざん証明(改ざんされていないこと)を確認できます。
タイムスタンプがあることで、世界基準の正確な時間で、いつから書類が存在していたかを証明することができるのです。
電子署名とタイムスタンプの方法
ちなみに、電子署名は認定認証事業者による特定認証業務、または商業登記法に規定される電子署名を使用する必要があり、タイムスタンプは、電子署名が行われている電子化文書に対して、「一般財団法人日本データ通信協会」に認定されたタイムスタンプを付与することと定められています。
スキャナ保存ではPDFデータにすることも多いため、PDF表示のデファクトスタンダードである「Acrobat Reader」における電子署名と、タイムスタンプの方法を以下でご紹介しています。ぜひ参考にしてみてください。
>>PDFファイルへの電子署名の追加
>>PDFファイルへのタイムスタンプの追加
電子データにも紙と同様の保存期間が適用される!
上記のように細かいルールはありますが、しっかりルールを把握して活用すれば、書類を保存するうえでこんなに便利なものはないでしょう。もちろん、電子データにも紙の書類と同様の保存期間が適用されるため、しっかり覚えておいてくださいね。
※関連記事:『増え続ける経理書類……保存期間はいつまで?』
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