【資格】ちょっと特殊な建設業界でのスキルアップを考える
どんな業種の会社でも、経理・会計・財務はなくてはならない存在です。そういう意味では安定した職種とも言えますし、スキルを活かして努力次第でキャリアアップも望めるでしょう。
しかし、中には業務が特殊なゆえ、新たな知識を習得する必要のある業種もあり、そのひとつが建設業界とされています。今回は、建設業経理の知識が得られる資格についてご紹介いたします。
経理にとって建設業界は何が特殊なの?
まずは、経理担当者にとってなぜ建設業界が少々特殊なのかをお話しておきましょう。
ひとつ目は、製造業と違って受注から納品(引き渡し)までの期間が長く、受注者が注文者に対し、一定の業務を完了した時点で対価が支払われる請負契約であるという点です。
本来なら引き渡しまで売上として計上できないのですが、工期が長いために、進捗に合わせた工事収益の一部を当期損益計算書に計上するやり方(期間損益計算)が採用されています。この考え方や仕組みを、正しく理解しておく必要があるのです。
もうひとつは、他の業種とは異なる勘定科目を使用する例が多い点です。例えば「売上原価」は「完成工事原価」、「売掛金」は「完成工事未収入金」、「仕掛品」は「未成工事支出金」といったように。
一般簿記を理解していれば名称を覚え直すだけですので、心配する必要はありません。
建設業経理って?
建設業経理というのは、財団法人建設業振興基金が主催する検定試験をクリアした資格所有者のこと。上記のような、少々特殊な業界の経理事情を理解し、適切な処理能力や経営改善能力を持った者が取得できるようになっています。
資格は4種類
資格は4級から1級まであり、4級と3級の合格者は「建設業経理事務士」、2級と1級の合格者は「建設業経理士」を名乗れます。
4級
建設業にかかわる簿記の初歩的な知識を習得しており、初歩的な実務処理が遂行できます。
3級
建設業に必要な簿記に関する基礎知識を習得しており、かつ簡易な実務処理が遂行できます。
2級
実践的な建設業にかかわる簿記・原価計算に関する知識を習得しており、建設業における決算の実務処理を遂行できます。
1級
建設業にかかわる簿記・会計学・原価計算・決算処理を習得しており、企業会計に関する法規を理解したうえで経営分析ができます。
建設業経理の受検者層
4級と3級を受験するのは学生が多く、対して2級と1級を受験するのは社会人が多いです。というのも、経理として求められる能力を満たしているのは2級以上だから。
経理や財務部門で建設業界へのキャリアアップを考えるなら、2級以上を持っておきたいところです。ちなみに、1級は「原価計算」「財務諸表」「財務分析」という3科目の試験がありますが、これを5年以内にすべて合格しなければなりません。
建設業経理の合格率
建設業経理は4級から1級まで、令和元年11月11日現在で821,185人が合格しています。建設業経理の1級・2級の資格保有者が多い会社ほど自治体からの評価が高く、大きな仕事を受注しやすくなります。よって会社によっては、資格を取得することで「特別手当」が支給されることもあるようです。
ちなみに平均合格率は、4級で約78%、3級で約64%、2級で約44%、1級で20~30%前後となっています。
※出典:『過去の実施状況|建設業経理検定』
建設業経理を取得する方法
大きくわけると「独学」「スクール」「特別講習」の3パターンがあり、スクールには「通学」と「通信教育」の2種類があります。
特別講習とは、建設業経理の検定試験を実施している財団法人建設業振興基金が行っている講習のこと。数日間にわたる講義を受け、最終日に行われる試験に合格するだけです。もちろんプラスで費用はかかりますが、より知識を身につけやすくなるので、お金と時間をかけてでも確実に取得したい方にはオススメです。
■「経理」関連記事一覧
「シゴ・ラボ」では、他にも経理の方々のスキルアップに役立つ記事を多数ご紹介しています。その他の記事を探しているかたは、こちらからチェックしてみてください。
■ 【経理用語集】実務で役立つ!頻出・経理用語100
「実務で役立つ!頻出・経理用語100」は、経理初心者の方や経理としてステップアップしたい方のための経理用語集です。業務やイベントでよく使われる基本的な用語を100個ピックアップし、わかりやすく用語の解説をしています。こちらからダウンロードして、ぜひ利用してみてくださいね。
参考サイト:
- 知っておきたい建設業経理士特有の経理用語|シゴ・ラボ
- 建設業経理士資格を取得するメリットとは?|シゴ・ラボ
- 建設業経理士と日商簿記、どちらが良いの?|シゴ・ラボ
- 知っておきたい経理関連オススメ資格|シゴ・ラボ
- 経理を学ぶ|株式会社パソナ