ホワイト国って何ですか?
こんにちは!貿易女子のゆにです。ここのところ、会社帰りに新社会人を見かける機会が多くて「私もきっとあんな感じだったんだろうなぁ…」と懐かしく思い出しています。私はもう4年目なのですが、貿易業務は奥深く、まだまだ学ばないといけないことがあるんだなと感じています。今日も、ちょっと気になることがあって喫茶カイコクへ。ここのマスターは元商社マンで貿易実務に詳しく、しかも丁寧に教えてくださるので、私はとっても頼りにしているんです♪
お待たせしました。カフェラテです。
ありがとうございます。マスター、今日もちょっとお聞きしたいことがあるんですが、いまお話しても大丈夫ですか?
ええ、もちろんですよ。
今日、先輩が上司に「輸出先がホワイト国じゃないから、申請しなくちゃいけないかも…」というような内容のことを話されていて、聞きながら、ホワイト国って何だろう?と思ったんです。私もそのときに質問すればよかったんですが、バタバタしてて帰りに思い出しちゃいまして…(苦笑)。マスターはご存じですか?
ホワイト国はわかります。ただ、ひとことで言い表すのはちょっと難しいんです。そうですね、ざっくりいうと“貿易の輸出管理体制が厳格に行われていると日本政府が認めている国”で、さらにいえば“大量破壊兵器や通常兵器の製造に使われる物品、技術や部品が内蔵されている製品が軍事転用されるおそれの少ない国”のことをいいます。
へぇ…。兵器の製造に使われるおそれ…ですか。
そうなんです。たとえば、パソコンやスマートフォンなどコンピュータや通信機器は高度な技術、部品が用いられているので、兵器などに使用されるおそれがあるんですよ。
えぇ!? でも、たしかに私の頭で理解できないくらい優れた装置ですし、私は軍事転用なんて考えたことないですけど、技術的には利用できるのでしょうね…。
ええ。現在、世界では、ゆにさんもご存じのように、多くの国家が大量破壊兵器や武器を所有していますね。でも、兵器や武器がむやみに増えるような事態は、多くの国が望んでいません。
それはそうですよね。私も望んでいません。
ええ、私もです。ただ、この問題が難しいのは、国際的に輸入国に規制させることができないので、兵器の開発や拡散を防止するには、輸出国側が関連品の輸出をきちんと管理する規制するしかないということです。もちろん、今では、国際的に兵器の開発や拡散を防ぐためのいくつかの条約やレジーム(制度)があって、望ましい貿易の輸出管理体制についても細かく取り決められています。
へぇ〜。そんな取り組みが国際的に行われているんですね。
そうなんです。兵器拡散を防止する条約のもと、4つの主要な「国際輸出管理レジーム」が発足されていて、日本もすべてに参加しています。そして、国内法においても、リスト規制やキャッチオール規制という輸出管理、輸出規制を行っています。ホワイト国というのは、いってみれば、日本も参加している4つの主要な「国際輸出管理レジーム」に参加している国、つまりは、日本とと同様の貿易管理体制が整えられている国のことをいうのです。
なるほど~。
よかったです。ちなみに、覚える必要はないのですが、ホワイト国は、日本の「外為法(外国為替及び外国貿易管理法)」のもとに定められた「輸出令(輸出貿易管理令)」の「別表第3に掲載されている国」の別称で、現在27カ国あります。
※2018年2月時点
日本の法律ではそのように定められているんですね。ホワイト国のことがわかってきました。ところで、先輩が上司に話していた内容に戻るんですが、ホワイト国に輸出するときと、そうでない国に輸出するときでは何か異なるのでしょうか?
ホワイト国でない国を非ホワイト国というのですが、ホワイト国への輸出は非ホワイト国への輸出と比較して、規制対象がゆるやかになるんです。たとえば、キャッチオール規制では、食品・革製品・木材以外のほぼ全品目が対象となっているのですが、ホワイト国への輸出では規制対象にならないんです。また、非ホワイト国への輸出では、許可申請をしなければならないものでも、ホワイト国への輸出のときには不要だったりするわけです。詳しくは、フォワーダーや税関に確認するのをオススメしますが…。
なるほど。先輩は非ホワイト国への輸出だから上司に話していたんですね。
そうかもしれませんね。
マスター、ありがとうございました。ホワイト国のこと、だいぶわかった気がします。スッキリしました。
いえいえ、どうしまして。ゆっくりしていってくださいね。