貿易実務者なら知っておきたい日本の貿易取引環境
貿易を取り巻く環境は、今大きな変化の中にあります。貿易業界でキャリアを積みたい方にとって、現状を把握するのはとても大切。取引の規模、手続きの変化、新たなルールなど、ぜひ知っておきたい「貿易実務を取り巻く環境」についてご紹介します(2018年5月時点)。
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日本の貿易取引の規模を知ろう
みなさんは現在、日本がどのくらいの貿易取引を行っているかご存じでしょうか?
2018年の輸出総額は約81兆4,788億円、輸入総額は82兆7,033億円。この金額は30年前と比べると右肩上がりに大きく増加しています。
しかしこの10年ほどを見れば、以前のように大きく伸びてはおらず、日本の貿易取引は、ある意味で成熟期を迎えたとも言える状況です。
もちろんこの10年の間には、輸出入ともに激減したリーマン・ショックや、輸出が減少した東日本大震災など、国内事情や国際情勢に影響を受けた変化もありましたが、右肩上がりの時期ではなくなったという意味で、成熟期に入ったと考えられています。
暦年 | 輸出 | 輸入 | 貿易額 |
---|---|---|---|
1985 | 42.0 | 31.1 | 73.1 |
1990 | 41.5 | 33.9 | 75.4 |
1995 | 41.5 | 31.5 | 73.0 |
2000 | 51.7 | 40.9 | 92.6 |
2005 | 65.6 | 56.9 | 122.5 |
2010 | 67.4 | 60.8 | 128.2 |
2013 | 69.8 | 81.2 | 151.0 |
2014 | 73.1 | 85.9 | 159.0 |
2015 | 75.6 | 78.4 | 154.0 |
2016 | 70.0 | 66.0 | 136.0 |
2017 | 78.3 | 75.4 | 153.7 |
2018 | 81.5 | 82.7 | 164.2 |
(単位:兆円)
変化する貿易取引環境
この数年で貿易取引の環境は少しずつ変化しています。とりわけ日本政府がさまざまな国やASEANなど地域共同体と締結している「経済連携協定(EPA)」は、各企業の貿易取引にも大きな影響を与えています。
現在、日本政府は、EUとの経済連携協定および、環太平洋11カ国との大型の経済連携協定(TPP:環太平洋パートナーシップ)の早期発効を目指し、協議を進めています。これが発効されると、日本の貿易取引環境は大きく変化していくことが予想されています。
※関連記事:『FTA、EPA、TPPの違い、わかりますか?』『日本のFTA、EPA相手国は何カ国あるか知っていますか?』
経済連携協定(EPA)は、締結国間の「モノ・ヒト・カネ」の移動の自由化、円滑化を図ろうという取り決めで、その内容には貿易取引に大きな影響を与える「関税の撤廃」も含まれます。
*厳密には、即時撤廃、段階的撤廃、一定数量内の低税率の関税適用など、いくつかの種類があります。
EPAを発効した国々との貿易取引は増加傾向にあり、EUとのEPA・TPPは関わっている国も多いだけに、日本の貿易取引を大きく変化させることは間違いないと言われています。
貿易関連手続きの変化、新たなルールを学んでいこう
一方、ここ数年で、国内の貿易業務システムも変化しています。
手続きの電子化
取り扱う商品によって各省庁に許可をもらわなければならないなど、輸出入通関にあたって何かと手続きが多い貿易取引。近年は、電子化・情報共有化によって、これまで以上に迅速かつ効率的に、手続きが進められるよう改良されているのです。
今後、国内の貿易実務者の業務内容も、こうしたシステムに合わせて変わっていくことが予想されます。
※関連記事:『貿易業務の電子化、情報共有を実現する「貿易EDI」を知ろう!』
新しいルールの導入
近年は、世界各国がこれまで以上に環境保護や衛生管理を考えるようになりました。例えば、電気電子機器の廃棄処理に関する「WEEE(ウィー)指令」、食品の衛生管理手法「HACCP(ハサップ)」など、新たな規準を導入している国も増えています。
そのため、日本の貿易実務の現場においても、相手国や取り扱う製品によっては、新しいルールへ対応しなければならない状況も生まれています。
※関連記事:『EUの化学品にまつわる規則「REACH(リーチ)規則」を知ろう!』
もちろん貿易の基本の流れは変わりませんし、基本を押さえることは、何より重要です。
その上で、これからの貿易実務者は、まず自身の会社で取り扱っている商品の通関事情などをしっかりと把握し、さらに自身の専門分野の知識を深めていくことが求められるでしょう。
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