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2016/03/07

「原産地証明書」を入手して関税をゼロ%に

著者: パソナ キャリアコーチ(貿易担当)

「原産地証明書」を入手して関税をゼロ%に

今回は、関税が免除されたり、通常よりも低い税率が適用されたりする「特恵関税」についてのお話です。合わせて必要になる「原産地証明書」についてもご説明します。

「特恵関税制度」と「原産地証明書」

通常、海外との貿易取引で輸入した商品には関税が課せられるのですが、その商品の原産地によって、関税が免除されたり、通常課される税率よりも低い関税率の適用を受けたりして、輸入できる制度があります。

それが、「特恵関税制度(GSP: Generalized System of Preferencesの略)」です。

輸入者側からすると、関税を支払わずに済むお得な制度のように感じられるかもしれませんが、この制度は、開発途上国または地域を原産地とする特定の輸入品について、一般の関税率よりも低い税率または無税(関税0円)にすることで、これらの国々(または地域)からの輸入を促進させ、経済発展を支援する目的で設けられています。

ちなみに、特恵関税が適用される原産地の「対象品目」、「関税率」、「国または地域」は、法令※によって定められているのですが、「対象品目」には、農水産品や鉱業品があります。(すべてではありません。「関税率」は品目ごとで異なります。)

※関税暫定措置法及び関税暫定措置法施行令といいます。

ちなみに、この特恵関税の対象となる国は、「特恵受益国(または地域)」と呼ばれ、2016年3月現在、137の国と7つ地域がその対象となっています。また、その中でも、49カ国の後発開発途上国(LDC:Least Developed Countryの略)からの輸入については、ほぼすべての品目が無税になります。(これを「特別特恵関税」といいます。)

※対象国および地域は、文末の資料をご参照ください。

ただ、これらの特恵関税の適用を受けるためには、原則として、輸出国で発給された「原産地証明書(C/O: Certificate of Originの略)」が必要です※。

※「原産地証明書」に加えて、その貨物が他の国・地域(非原産国・地域)を経由せず、直接、日本へ向けて運送されること(直送条件)も必要です。

ちなみに、日本で適用される原産地証明書は「一般特恵制度原産地証明書様式A(Generalized System of Preferences Certificate of Origin Form A)」という名称のため、フォワーダーや貿易に携わる業者のあいだでは、「Form A(フォーム・エー)」ともよく呼ばれます。もし、近いうちに、貿易業務に初めて就く方がいらっしゃったら、ぜひ覚えておいてくださいね。

輸入業務に携わるなら知っておきたいこと

輸入業を行っている商社や貿易会社でも、取引先の国、取り扱っている商材によって、輸入通関時に「原産地証明書」が必要かどうかは異なりますが、ここでは必要な場合について、輸入者が注意すべきことをご紹介しましょう。

一般的に、「原産地証明書」は、船積書類とともに輸出者からメールなどで送られてくるのですが、船積書類より遅れて届くこともよくあります。(通常、「原産地証明書」はB/Lが発行された後で商工会議所などに申請する必要があるため。)そのため、「原産地証明書」が必要なのに届かない!というときは、輸出業者に催促または確認しておきましょう。

また、特恵関税の適用を受けるためには、「原産地証明書」は原本の提出が必要になります。「原産地証明書」の記載内容は、B/Lやインボイスの記載内容と一致していなければならない箇所もあり、間違いがあれば、特恵関税は適用されません。そのため、輸入者は、原本を送ってもらう前に「原産地証明書」のスキャンをメールで送ってもらい、記載内容をあらかじめチェックするなどで確認しておくと、スムーズに通関に臨めます。

※もし、日本で記載内容の間違いに気付いた場合は、輸出者に修正発行をお願いして、送ってもらうという時間がかかるため、あらかじめチェックしておいた方がスムーズです。

みなさま、いかがでしたか?後半は、実務のお話でしたので、これから貿易事務に就きたい!という方には、ピンと来ない話だったかもしれません…。ただ、輸入業を行う貿易会社や商社では、「原産地証明書」を取り扱うことも多いので、実務内容についてもお話ししました。貿易初心者の方も、いつの日か、参考になればと思います!では、また来週お会いしましょう!

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