日本のFTA・EPA相手国は何カ国あるか知っていますか?
2017年1月、トランプ氏がアメリカ大統領に就任後、すぐにTPPを離脱したことは当時のニュースでも大きく取り上げられました。このTPPもEPA(経済連携協定)のひとつですが、今回は日本が締結しているFTA・EPAにクローズアップしていきましょう。
※関連記事:「FTA、EPA、TPPの違い、わかりますか?」
発効済の日本のEPA相手国は全部で18カ国ある
まず、本題に入る前にご質問ですが、みなさんは、FTA(Free Trade Agreement/自由貿易協定)と、EPA(Economic Partnership Agreement/経済連携協定)の違いを説明できますか?
上図のとおり、FTAは特定の国や地域間での貿易に係わる障壁の削減(関税の撤廃など)を目的とした協定であるのに対し、EPAはもっと大きな枠組みにおける、経済活動の連携を目指したものです。
一般的に、FTAはEPAに比べて取り決めることが少なく、締結しやすいということもあり、EPAよりも多く発効されています。EPA、FTAを合わせると、世界にはおよそ300以上もあります*(EPA含む)。
*参考:ジェトロ:「世界と日本のFTA一覧(2019年12月)」、税関:「EPA交渉の状況(2019年1月)」
日本では、国際的に経済連携の交渉がスタートした2001年当初から、FTAよりも幅広い分野で連携するEPAを推進してきたという経緯もあり、現在は18 カ国との間でEPAが発効されています。
- 日本とEPA(経済連携協定)を締結している国(2019年1月現在)
- シンガポール、メキシコ、マレーシア、チリ、タイ、インドネシア、ブルネイ、ASESAN(10カ国)*、フィリピン、スイス、ベトナム、インド、ペルー、オーストラリア、モンゴル、TPP12(署名済)、TPP12(CPTPP)、日EU・EPA
*ASEANはシンガポール、インドネシア、タイ、フィリピン、ブルネイ、マレーシア、ベトナム、カンボジア、ミャンマー、ラオスの10カ国。カンボジア、ミャンマー、ラオスについては2カ国間のEPAはありません
これらのEPAは、日本と相手国の往復貿易額(輸出入額)の約90%前後の品目(商品)に対して、関税を撤廃または10年間など期限を設定して段階的に撤廃することに双方が合意しており、その後の貿易取引を促進させる内容になっています。実際EPA発効後、どの国とも貿易取引が増えています。
日本のEPAの今後はどうなるの?
2019年現在、日本はコロンビア、トルコとの間でそれぞれ2カ国間のEPAを交渉中で、太平洋をとりまく国々で話し合われているTPP、日中韓3カ国でのEPA、RCEPなど複数国とのEPAについても話し合われています。現在はGCC、カナダ、韓国とは交渉が中断されています。
かつてTPP離脱を表明したアメリカが、2カ国間での経済連携協定に軸足を移すといったように、複数国の間での協定は(とくに国が増えれば増えるほど)合意するのは難しく、現在交渉中のEPAが成立するかどうかはわかりませんが、上のグラフが示す通り、日本は主要な貿易相手国とのEPA合意を目標としているのです。
日本にとって、海外との貿易は国民の生活を支える重要な経済活動。各国との連携を強化していくことは重要ですし、日本政府はその政策のひとつとして、今後も2カ国間にせよ、複数国間にせよ、EPAは推進されていくでしょう。
日本政府がFTA、EPAという取り組みをスタートさせたのは今から10数年前で、現在もまだまだ試行期間にあります。これから通商摩擦が発生すこともあるかもしれませんが、その時は締結した国同士で話合い、見直しながら、最終的にお互いがメリットを実感できるようになれば良いですね。
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