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2018/02/08

国際輸送で「危険物」と定められているものをまとめてみました

著者: パソナ キャリアコーチ(貿易担当)

国際輸送で「危険物」と定められているものをまとめてみました

貿易取引では、日々あらゆるものが輸送されています。その中には、取り扱いに注意が必要な「危険物」も含まれています。みなさんは「危険物」と聞くと、どんなものを思い浮かべますか? 今回は、船や飛行機で輸送をする際に「危険物」として扱われるものを、一挙にご紹介しましょう。

国際輸送の安全を確保するため、国連が危険物を定めている

例えば、みなさんにとっても身近なもので言えば、引火すると爆発するおそれのあるライター、直接触れると皮膚などに害をおよぼす塩素系の薬品、素手で触ると危険な刃物などは、イメージしやすい危険物ではないでしょうか。

また、身近ではないかもしれませんが、何かを製造する上で使用される工業用化学品には、取り扱いに注意が必要なものもたくさんあります。

貿易取引ではこのような危険物の売買も行われていますが、現在危険物の輸送について安全を確保するためのベースとなっているのが、国連の「危険物輸送に関する勧告(通称『オレンジブック』)」というガイドラインです。

この勧告では、危険物を輸送するときの細かいルールを定めており、危険物に対して番号をつけ(国連番号/UN番号)、9つの危険物クラス(Hazard Class)に分類。

また、輸送するときに使用すべき品名、危険物クラスごとに表示すべきラベル、輸送用容器に関する要件(容器の種類や材質)なども取り決められており、海上輸送の規則(IMDGコード)や航空輸送の規則(IATA)はこの勧告内容がベースになっています。
*もともと国や地域によって、何を危険物とするのか、取り扱いをどうするのか、という定義にはばらつきがあり、輸送手続きがうまく進まない、事故が起きるといった事態が発生しました。そのため、国連が国際的な統一ルール作成のために勧告を発した経緯があり、それが現在もベースとなっています

身近なモノも国際輸送時には「危険物」に!?

ちなみに、現在は3,000以上もの物品が国連の定める危険物リストに挙げられているので、ひとつひとつ細かく話をすることはできませんが、国連が分類する9つの危険物クラスとその具体例についてご紹介しましょう。

1.火薬類(Explosives)… 花火、発煙筒など
2.高圧ガス(Gases)… 燃料ガスボンベ、消化器、スプレー缶など
3.引火性液体類(Flammable liquids)… ガソリン、灯油、塗料など
4.可燃性物質類(Flammable solids; substance liable to spontaneous combustion; substances which, on contact with wter, emit flammable gases)… 活性炭、マッチ、硫黄など
5.酸化性物質(Oxidizing substances and organic peroxides)… 漂白剤、過酸化ソーダなど
6.毒物類(Toxic & infectious substances)… 殺虫剤、農薬など
7.放射性物質類(Radioactive material)… 核燃料物資など
8.腐食性物質(Corrosives substances)… 蓄電池、水銀、硫酸など
9.有害性物質(Miscellaneous dangerous goods substances and articles, including environmental hazardous substances)… リチウム電池、ドライアイス、磁石など

この一覧を見て、思いのほかみなさんにとって身近なものも、国際輸送時には「危険物」とされるものがあると感じた方も多いのではないでしょうか。変わったところでは、ガソリンを燃料にして走る自動車やバイクなども危険物(有害性物質)になります。

商社や貿易会社では、経験上どのような商材が「危険物」にあたるのか、どのように包装・輸送しなければならないのかを知っていることが多いのですが、不安に感じるときは、フォワーダーや船会社や航空会社にご確認ください。

ちなみに貿易実務に携わっていても、業界によってはまったく危険物の取引に縁のない方もいらっしゃるはず。とはいえ、最低限こうした危険物の輸出入では守らなければならないルールがあることを、この機会にぜひ知っておいてくださいね。
*航空輸送の規則は、貨物船での輸送に比べて厳しいため、危険物の中には飛行機への積載が禁止されているものもあります

 

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参考サイト

 

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