日本は石油をどの国から輸入している!?
今回ご紹介する「貿易雑学」のテーマは石油。ニュースなどで価格上昇が取り上げられたりすることもありますが、どんな国から輸入しているかを詳しく説明できる方は少ないのでは?今回は、石油がどんな用途で使われているかや、輸出国についてご説明いたします。
石油には様々な種類がある
今日は、日本最大の輸入品、石油についてお話をしますが、みなさんは石油がどんなものにカタチを変え、何に使われているか説明できますか?
石油は、現代の生活には欠かせないもので、色々なところで使われていますが、急に聞かれるとパッと答えが出てこないかもしれません。
石油についてお話する前に、先にご説明しておきたいのは「石油」という言葉のこと。石油は、<海底や湖底など地層の中で自然に生成された液体状の化石燃料>の総称なので、よりわかりやすく説明するために石油以外の言葉も使っていきますね。(たとえば、「砂糖」は総称ですが、上白糖やグラニュー糖、三温糖など砂糖にも種類があるように、ひとくちに石油といっても色々な種類があります。)
まず、油田から産出されたそのままの状態の石油を「原油」といいます。そして、この原油を精製してできるのが、火力発電や船の燃料として使われる「重油」、自動車の燃料である「ガソリン」、トラックの燃料である「軽油」などの種類があります。(このあたりのものは、すべて石油とか石油燃料とかと呼ばれることが多いですね。)
また、原油を精製して作られるものに「ナフサ」と呼ばれる液状のものがあり、プラスチック、合成繊維、合成ゴムなどの石油化学製品が作られています。
石油はどうやって作られている?
ちなみに、原油はいろんな成分が混じったものですが、この原油を温めて気化させることで各成分を分離させ、それぞれの温度で蒸留したものを、用途に合わせて使っています。
知っているようで知らない石油精製のしくみをイラストにしたので、ぜひご覧ください。(港に多くある石油コンビナートで、日々、精製が行われています。)
石油はどの国から輸入している?
石油精製のイラストにもあるように、石油は、火力発電などの「エネルギー源」、乗り物の「動力源」、プラスチックなどの「原料」と、さまざまな用途で使われています。しかし、日本は資源に乏しいことから、石油の消費量の99.7%を輸入に頼っているのが実情です。
※輸入される石油は精製されたものではなく、「原油または粗油」の状態で運ばれています。
実際、石油は、日本にとって最大の輸入品で、2014年の輸入総額 85兆8,865億円のうち16.2%をも占めています(金額ベース)。そして、その多くの輸入先は中東地域になっています。
このグラフを見てお気づきになった方もいらっしゃるかもしれませんが、今後の石油輸入量については、ロシアに注目です。実は、ここ数年でロシアからの輸入量は増えており、2012年に5%、2013年6.9%、2014年に8.1%となっています。距離が近い国でもあり、今後も輸入量が増えていくのではないか?と予測されていますよ。
まとめ
石油製品は、みなさんの身の回りにはたくさんあるにも関わらず、なかなか意識することはなかったと思うのですが、少し興味を持つ機会になったら嬉しいです。
■独立行政法人 製品評価技術基盤機構(nite)/世界と日本の石油消費量
■石油学会/石油豆知識 用語一覧
■一般社団法人 日本貿易会(きっず・サイト)/日本の主な輸出入品
■ロシアNOW/ロシアからの石油輸入増加