秋も要注意!その不調、もしかして熱中症かも!?
地球温暖化や都市部のヒートアイランド現象などにより、夏の暑さは年々厳しさを増すばかり。熱中症にかかる人も増加傾向にあり、消防庁の報告によると年間4万人以上が緊急搬送されているそうです。一番暑い時期が過ぎ、季節が秋になったからといっても安心はできません。たとえ屋内にいたとしても、熱中症になる可能性があるのです。引き続き、十分な対策を取っていきましょう。
なぜ、夏以外の季節や室内でも熱中症にかかるのか
熱中症とは「高温環境下で、体内の水分や塩分(ナトリウムなど)のバランスが崩れ、体温調整が機能しなくなることによって発症する障害の総称」を言います。めまい・けいれん・頭痛など、さまざまな症状を引き起こし、最悪の場合は死に至る可能性も。熱中症は、次の3つの要因が重なったときに発症するとされています。
●環境による要因
気温や湿度が高い
風が弱い
日差しが強い
●行動による要因
水分補給をしていない
長時間におよぶ屋外での活動
激しい運動や、慣れない運動
●身体の状態による要因
体調不良(寝不足・二日酔いなど)
下痢などによる脱水症状
低栄養状態
糖尿病などの持病
参考:環境省「熱中症予防情報サイト」
注意したいのは、日陰や夜間、室温が30度未満でも、湿度が高い場合は熱中症にかかりやすいということ。条件が揃えば、季節を問わず発症する可能性もあります。秋は夏の疲れが出やすい時期でもあるため、油断は禁物です。
こんなときは熱中症を疑ってみて
環境省の「熱中症環境保健マニュアル」では熱中症を、重症度によって以下のⅠ~Ⅲ度に分けています。少しでも体調がおかしいと感じたときには、決して無理をしないことが大切。涼しい場所で身体を冷やし、水分や塩分をとりましょう。
Ⅰ度(軽度):現場での応急処置で対応できる軽症
めまい・顔のほてり・失神・立ちくらみ・筋肉痛・こむら返り・手足のしびれ・気分の不快
Ⅱ度(中等度):病院への搬送を必要とする中等症
頭痛・吐き気・倦怠感・虚脱感・判断力や集中力の低下
Ⅲ度(重度):入院して集中治療の必要性のある重症
Ⅱ度の症状に加え、言語障害・けいれん・手足の運動障害・高体温
参考:環境省「熱中症になったときには」、厚生労働省大阪労働局「熱中症の症状と重症度分類」
オフィス周りは熱中症の危険スポット!?
オフィスが密集したビル街は、エアコンが排出する熱や日光の照り返しで、気温が高くなりやすい特徴があります。たとえ真夏のピーク時よりは気温が下がっていたとしても、冷房の効いたオフィスと屋外の気温差で身体に不調をきたし、熱中症になることも十分に考えられます。朝の出勤時にも注意しましょう。
適切な水分・塩分補給と体調管理で熱中症を防ごう
熱中症予防には、こまめな水分・塩分補給が有効です。軽い脱水症状では、のどの渇きを感じないため、のどが渇く前からこまめに水分を取るようにしましょう。汗をかくと、水分だけでなくナトリウムなども排出されるため、塩分やミネラルも摂取することを忘れずに。塩味のキャンディやスポーツドリンクを、引き出しに常備しておくのもオススメです。また、コーヒーや紅茶、緑茶などに含まれるカフェインには利尿作用があるため、熱中症予防には適していません。飲みすぎに注意し、カフェインの含まれていない水やお茶なども飲むようにしてください。
そして、熱中症予防には体調管理も欠かせません。睡眠不足や二日酔いなどで体調が悪いと抵抗力が落ち、熱中症にかかりやすくなります。夜はしっかり眠り、朝食を摂って出かけましょう。休みの日は、無理のない範囲で屋外での活動をするなど、暑さに身体を慣らしておくことも大切です。
熱中症になってしまったら、水分補給と涼しい場所での休息を
めまいや筋肉の硬直などの異変を感じたら熱中症のサイン。一刻も早い応急処置が必要です。すぐに水分・塩分を補給して、日差しの届かない涼しい場所で衣服をゆるめ、身体を冷やしましょう。保冷剤や冷たいペットボトル、濡らしたタオルなどで首の周りや脇の下、足の付け根を冷やすと効果的です。しばらく休んでも症状がおさまらないときは、医療機関を受診しましょう。
まとめ
熱中症は、適切な対策や応急処置を知ることで予防でき、重症化の回避にもつながります。環境省のホームページに掲載されている「熱中症環境保健マニュアル』をチェックして、正しい知識を身につけておきましょう。忙しいとついつい忘れがちですが、常日頃から十分な水分摂取と無理のない行動を心がけたいものですね。