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2016/04/08

協賛金の損金算入と消費税の取り扱いについて知りたい!

著者: パソナ キャリアコーチ(経理担当)

協賛金の損金算入と消費税の取り扱いについて知りたい!

会社として地域のお祭りなどへの協賛が決まり、協賛金を提供することになった場合、処理方法によって、経費を全額損金算入できるケースとできないケースがあるのをご存知でしょうか?

そこで今回は、経理パーソンが知っておきたい協賛金の仕訳や、消費税の取り扱いについてご紹介します。

目次
協賛金の勘定科目は3種類ある!
協賛金の種類と損金算入について
協賛金の種類と消費税の取り扱いはどうなる?
正しく処理すれば節税になることも!

協賛金の勘定科目は3種類ある!

協賛金というのは、お祭りなどのイベント・催し物や、何かしらの事業に賛同した場合に支払うお金のこと。協賛金は、その目的や協賛者としての立ち位置によって、会計上の処理方法などが異なります。

具体的に言うと、協賛金を仕訳する際の勘定科目には「広告宣伝費」「交際費」「寄付金」の3種類があります。

3種類の勘定科目について、損金算入*の可否や消費税の課税・不課税について、詳しく解説していきましょう。

*法人税を計算する際に、収益(益金)から差し引くことのできる費用=損金にできること

協賛金の種類と損金算入について

勘定科目を「広告宣伝費」として処理する場合は、全額損金算入できるため、問題はありません。ですが、「交際費」または「寄付金」として処理する場合は、注意が必要です。

1.勘定科目を「交際費」として処理する場合

たとえば、協賛するイベントなどの主催者が顧客や取引先の場合、今後の取引の円滑化などを目的にした協賛金となると、「交際費」の扱いになる可能性があります。

交際費は、原則、損金不算入になります。ただし、資本金(出資金)1億円以下の中小企業に関しては、年間800万円まで損金算入できるという特例があります。適用時期や詳細は、下記、国税庁のHPもご参照ください。

※参考:国税庁「No.5265 交際費等の範囲と損金不算入額の計算」「No.5262 交際費等と寄附金との区分

2.勘定科目を「寄付金」として処理する場合

寄付金の場合は、金額の計算が必要になるケースがあります。まず、国や地方公共団体、特定公益増進法人へ寄付をする場合は、全額を損金算入できます。

ただ、それ以外の場合は、損金算入できる限度額が定められています。その限度額は以下の計算式で求めることができるので、計算してみてください。

損金算入の計算式

協賛金の種類と消費税の取り扱いはどうなる?

続いては、消費税の取り扱いについて。協賛金に消費税が課税されるかどうか気になるところですが、「寄付金」としての協賛金は、対価性のない取引にあたるため、不課税仕入れになります。

また、お祭りなどの主催者が取引先で、「交際費」として処理する場合も、対価性のない取引とみなされ、不課税仕入れになります。

ですが、協賛に「広告・宣伝効果」という対価がある場合は課税仕入れとなり、消費税が課税されます。

正しく処理すれば節税になることも!

少々複雑になりましたが、協賛金の処理について、理解は深まりましたでしょうか。いずれにしても、適正な処理をすることで法人税や消費税の節税につながる可能性があるので、それぞれの違いについて、しっかり覚えておきましょう。

 

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