「値引き」と「割引」の違いを知っていますか?経理業務上の取り扱いについて
商品の価格を安くする方法には「値引」と「割引」がありますが、この2つの違いをご存知ですか? 日常的では同じ意味で使っているかもしれませんが、これらはまったく別の意味を持つ言葉。そこで今回は、「値引」と「割引」の違いと、会計上の取り扱いについて解説します。
「値引」と「割引」を区別する理由
値引も割引も、取引をする際に商品の値段を安くするという意味では同じです。ただ、会計処理をする上では区別をする必要があります。なぜなら、その区別は税務に関わってくるから。では、それぞれの意味と違いについて解説していきましょう。
値引とは?
値引とは「品質を理由にして、モノやサービスの代金を安くすること」。具体的には、以下のようなものが「値引」に該当します。
・賞味期限が近づいてきた食品の値段を下げる
・陳列の際に糸がほつれてしまった衣服の値段を下げる
・商品を包装しているダンボールに傷がついてしまい、値段を下げる
割引とは?
一方の割引は、「支払期日よりも早く支払ってもらうことで、モノやサービスの代金を安くすること」。早くお金を払ってもらえることで資金繰りがスムーズになった、その見返りとして利息相当の代金を減額するのです。
割引と「現在価値」
お金は、時間によって価値が変わるもの。会計には「現在価値」という概念がありますが、これは一定の割引率を用いて、将来発生する価値を現在の時点での価値に相当させたもののことを言います。
例えば、年利5%の1万円は、1年後には1万500円になります。反対の言い方をするならば、1年後に1万500円になるはずのお金は、現時点では1万円の価値しかないということ。
この差額の500円は、1年という時間の「価値」というわけです。つまり、時間によって生まれる価値の分を安くしましょう、というのが「割引」の考え方なのです。
会計上の取り扱い
値引の場合は、「仕入」「売上」の額から控除します。つまり、逆仕訳を切って処理します。
一方割引の場合は、値引いたお金は「利息」としての側面を持つお金です。そのため、営業外損益として処理します。つまり「仕入割引」は営業外収益、「売上割引」は営業外費用とすれば良いでしょう。
さらに「割戻」もある
割戻(わりもどし)とは、「量を理由にして、モノやサービスの代金を安くすること」。いわゆるボリュームディスカウントで、まとめ買いをすることで安くするという方法です。経理処理は値引と同様で、仕入や売上の額から控除すればOKです。
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