「容積重量」を知っていますか?
今回は、貨物輸送の料金に大きく関わっている「容積重量」という基準(考え方)についてご紹介します。この基準は、物流の世界では常識と言っても過言ではなく、貿易事務の方ならしっかり頭に入れておきたい情報です。
「実重量」だけで料金が決まるのはアンフェア!?
容積重量と実重量
「容積重量(Volumetric Weight / Dimensional Weight)」は、容積を重量換算した物流業界ならではの「重量」です。例えば、あるクーリエ会社では、6,000立方センチメートルを1kgとして換算しています。
また、いわゆる一般的な重量のことは「実(じつ)重量(Actual Weight)」と呼ばれ、物流業者の輸送費は、通常「容積重量」と「実重量」を比較し、重い方が採用されています。
では、なぜ輸送業者が「容積重量」と「実重量」の二本立てをしているのか、お話ししていきましょう。
実重量で規定するとアンフェアになるケースも
貨物を運ぶ乗り物には、船・飛行機・鉄道・トラックなどがありますが、当然これらすべての乗り物には、積み込める重量や容量に制限があります。
例えば4トントラックは、4トンまでしか貨物を積めないトラックですが、載せる貨物がレンガやダンベル、飲料水などのように小さくて重いものを積むと、スペースに余裕があったとしても、重量オーバーで積めなくなるケースがあります。
*小さいのに重い貨物は、物流業界では「重量勝ち」「目方(めかた)勝ち」と呼ばれています
反対に羽毛や毛糸など、容積は大きいが軽いものは、4トントラックにめいっぱい積んでも1トンもいかないかもしれない…というケースも考えられます。
*軽いのに大きな貨物は、「容積勝ち」と呼ばれています
このように、さまざまな貨物があるにもかかわらず、輸送費を「実重量」だけで規定してしまうと、いろいろな不都合が生じます。
特に航空貨物のように、輸送スペースに限りのある乗り物は、仮に「実重量」で輸送費が決まってしまうと、重くて小さい貨物が、軽いがスペースを大きくとる貨物より輸送費が高い、というアンフェアな状況を生み出してしまいます。
そういうわけで物流業界では、よりフェアな輸送費設定のために、「実重量」の他にこの「容積重量」という尺度を設けているのです。
「容積重量」を計算してみよう!
では、実際に計算しながら「容積重量」を理解していただきましょう。
貿易で使われる輸送手段は船と飛行機がメインですが、実は船舶輸送と航空輸送とでは容積重量の換算が異なります。
- 船舶輸送と航空輸送の容積重量
- ▼船舶輸送なら
縦(m) x 横(m) x 高さ(m) を 実重量/トン と比較
*「容積重量」は、1立方メートルを1トン - ▼航空輸送なら
縦(cm)x 横(cm) x 高さ(cm) ÷ 5000 または6000 を 実重量/kgと比較
*5,000もしくは6,000立方センチメートルを1kgと換算
では、以下の貨物を航空便で輸送する時、「実重量」と「容積重量」のどちらが採用されるかを計算してみてください。
*6,000立方センチメートルを1kgと換算すること。重量は0.5kg単位で切り上げること
- 実重量 :15.0 kg
箱のサイズ:40cm×55cm×55cm - ↓ ↓ ↓ ↓ ↓
- 【容積重量の計算】
40×55×55 = 121,000立方センチメートル
121,000÷6,000 = 20.166…kg
このケースでは、「実重量<容積重量」ですから、20.5kgの料金になります。
今回取り上げたケースは大口貨物ではなく、どちらかと言えば小口貨物に必要な知識。航空輸送やクーリエの配送においては、上記の計算式がきっと役立つでしょう。
ただし航空輸送といっても、クーリエ会社や航空会社それぞれで、容積重量が5,000立方センチメートルで1kgか、6,000立方センチメートルで1kgのどちらを採用しているかは異なるようです、計算するときは事前に確認するようにしましょう。
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