スポット契約、スポット価格、スポットレート…「スポット」の意味は?
今回ご紹介するのは、「スポット」という言葉。日常生活でスポットというと、「(特定の)場所」や「スポットライト(の略)」の意味で使われることが多いと思いますが、貿易取引をはじめ、ビジネスの現場では違った意味で使われています。
「スポット=点」を少し拡大解釈して考えると見えてくる「スポット」のニュアンス
ビジネスで使われる「スポット」という言葉は「点、地点」の解釈を少し広げると理解しやすくなります。例として、身近なテレビCMの話をご紹介しましょう。
みなさんは「スポットCM」という言葉をご存知でしょうか。これは番組内や番組と番組のあいだで流れる“一定の期間”、“一定の時間帯”、“一定の地域”の中で、テレビ局が設定した時間に流れるCMのこと。
*余談ですが、一見「スポットCM」のように見えるCMでも、特定の番組に流れるCMは「タイムCM」と呼ばれ、CMを流す番組を指定するためにはスポンサーにならなければならないようです。つまり、「○○○○はご覧のスポンサーの提供でお送りします」のCMは「タイムCM」。それ以外が「スポットCM」に相当します。
ここで汲み取っていただきたいのが「スポット」のニュアンスです。
スポットは、一般に「(特定の)点、地点」と“一点”を表す言葉ですが、そこから派生して少し幅を広げた「(特定の)期間、地域」を指すこともあるのです。また、一点という元来の意味から派生して、「一回限り」を意味することもあります。
スポット契約とは
貿易の現場では、売買取引を行うときや契約時には「スポット契約」という言葉が時折使われます。
本来「スポット契約」といえば、一回限り、あるいは単発での契約(売買取引)を意味していますが、代理店契約や販売店契約の場合には、「特定の期間」を意味することもあります。
文脈によって異なるのは少々複雑ですが、貿易事務も経験を積めば交渉の現場の話を聞く機会も増えてくると思いますし、「スポット」の意味やニュアンスはぜひ覚えておきましょう。
スポット価格とは
長期契約などで定めた(期間/ターム)価格ではなく、“一回の取引ごとに”交渉で取り決めた価格のことを指します。特に、原油やLNGなどの取引ではターム価格とスポット価格があるため、その価格をはっきりさせるために「スポット価格」という言葉がよく用いられます。
スポットレートとは
金融においてまったく異なる2つの意味があるようですが、貿易の現場で使われる「スポットレート」は2つのうちの1つ、外国為替取引において外貨を買う、または売る“当日(その時間)のレート”を意味します*。
*現実には、当日すぐに外貨とその対価の受け渡しが行われるわけではなく、通常は、そのレートが採用された日の2営業日後に行われます
貿易会社や商社の多くは外貨預金口座を持ち、外貨で支払いがある場合にはその口座から支払うか、現在の為替レート(スポットレート)で外貨を買って支払うか、など支払い方法に選択肢があります。
そのため、口座に入っている外貨のレートより現在のレートの方がお得なときは、「スポット(レート)で支払いますか?」などと話に出るケースがあるのです。
どの方法で支払うかという判断を、貿易事務担当が行うことはまず無いでしょう。しかし、経理担当者や社長や部長など外貨の支払いに関わる人が使うこともあるので、その会話を理解するためにも、スポットレートの意味は押さえておきましょう。
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