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2016/11/07

チャーター便の海上運賃の条件「Free In(FI)」「Free Out(FO)」「Free In Out(FIO)」

著者: パソナ キャリアコーチ(貿易担当)

チャーター便の海上運賃の条件「Free In(FI)」「Free Out(FO)」「Free In Out(FIO)」

今回は、チャーター便の海上運賃の条件についてご紹介します。「チャーター便って何?」「海上運賃の条件って何?」と疑問に思っている貿易初心者の方にも向けて、少し噛み砕いてご説明していきましょう。

海上輸送には船を借り切るチャーター便もある

みなさんは貿易に使われる船を見たことがありますか? いったいどれだけの貨物を詰んで走っているのだろう…と思うほど巨大な船もありますが、実は不特定多数の荷主の貨物が運ばれているケースと、“ひとりの荷主が船の一部、または全部を借り切り”、その荷主の貨物のみが運ばれているケースがあります。

一般的に、荷主が船を所有しているということはないので、荷主は船会社と契約して借りるのですが、このことを「用船」または「チャーター」、その輸送方法を「用船輸送」「チャーター輸送」と言います。

*貿易の現場では、「用船」という言葉よりも「船をチャーターする」「チャーター便をお願いする」など、「チャーター」という言葉の方がよく使われますが、どちらも覚えておきましょう。

船をチャーターして輸送される代表的な貨物には、原油・LNG(液化天然ガス)・鉄鉱石などの天然資源、自動車や木材などがあり、タンカーやバルカーなどの専用船を利用するものが多いのも特徴です。

荷主や船会社のタイミングに合わせて貨物船を走行させるので、決まったスケジュールがあるわけではなく、不定期に運航されています。逆に言えば、定期的に運航されている貨物船は、チャーターすることができません。

ちなみに、船会社がスケジュールを組んで運航される定期船をライナー(Liner)、チャーター便のように定期船以外で走行している不定期船をトランパー(Tramper)と呼んでいます。

※関連記事:『タンカー、バルカーって何?コンテナ船以外の貨物船の種類

チャーター便では海上運賃の条件を決める必要がある

ではここで本題となる、「チャーター便の海上運賃」について考えてみましょう。

海上輸送では、船積港から揚港までの海上を走行する費用とともに、輸出地で“船積作業の費用”や、輸入地で“陸揚げ作業の費用”が発生します。

定期的に運航される貨物船(ライナー)では、船会社はすべての荷主に対して一律で海上運賃の条件を定めています。一般的には、海上運賃に船積作業の費用も陸への荷降ろし費用が含まれていて、これをバースターム(Berth Term)と呼んでいます。

しかしチャーター便では、その“船積作業の費用”と“陸揚げ作業の費用”について都度決定する必要があり、海上運賃に何を含んでいるのかを明確にしなければなりません。

その条件は全部で4つのパターン(バースターム、FI、FO、FIO)があり、表にまとめると以下のようになります。

海上運賃の条件、海上運賃に含まれる範囲

船積作業の費用 陸揚げ作業の費用
バースターム
(Berth Term)
FI
(Free In)
×
FO
(Free Out)
×
FIO
(Free In Out)
× ×

○:海上運賃に含まれている ×:海上運賃に含まれていない

貿易事務の仕事を長年していても、「FI」「FO」「FIO」という条件は、チャーター便を依頼するとき以外はあまり目にする機会がありません。

ただ海上運賃とひとくちに言っても、このように船積作業や陸揚げ作業の費用を含むのか含まないのか、という細かい条件設定されているということを覚えておきましょう。

 

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参考サイト:

 

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