EUの化学品にまつわる規則「REACH（リーチ）規則」を知ろう！
今回は、EU（欧州連合）の化学品にまつわる規則「REACH（リーチ）規則」についてご紹介します。
EUの環境規制については、電気・電子機器に関する規制である「RoHS（ローズ）指令」、「WEEE（ウィー）指令」など、さまざまな化学物質規制、リサイクル、省エネ規制がありますが、「REACH規則」は化学品の規制です。
化学は不得意で…という方もいらっしゃると思いますが、身近な商品にも関係があるので、ぜひこの機会に覚えておきましょう。
「REACH（リーチ）規則」って何？
「REACH規則」とは、EUにおける化学品の登録、評価、認可、制限に関する内容について定められた規則です。
2007年6月に発効されたこの規則の名称（英語）は、「Registration, Evaluation, Authorisation and Restriction of Chemicals 」と、まさに規則の内容を表しています。その頭文字をとって、「REACH規則」と呼ばれているのです。
＊「REACH規則」は、EUの法体系における「Regulation（規則）」であり、加盟国にそのまま適用される共通の法律です。前出の「RoHS指令」や「WEEE指令」は、加盟国がそれぞれ国内法を定めて運用する「Directive（指令）」で、法的拘束力に違いがあります。
「REACH規則」が誕生したのは、それまで化学品の使用により環境や人体に悪影響を及ぼしてきたという社会的背景があり、EUは化学品の悪影響を減らすためこの制度をつくりました。
化学品は身近な商品で使用されている！
ひょっとすると、皆さんの中には「化学品は自分たちの生活とは縁遠いものだ」と思っている方がいるかもしれません。
しかし、ペンキ、インク、洗剤などは一種の化学品ですし、皆さんが着ている服も化学繊維や化学染料で染めた布が使われているかもしれません。雑貨やアクセサリーを作る工程で使用される塗料、接着剤、防湿剤なども化学品に該当します。
おそらく、皆さんが思っている以上に、私たちの身のまわりのものには化学品が使用されています。そして、化学物質の生産量（製造量）の多さに伴って、膨大な量の貿易取引がされているのです。
ちなみに、日本で認可されている化学品がEU域内で許可されているかどうかは、別問題です。しかし、EUで認可されてないものは市場で流通させることができないため、「REACH規則」は世界各国の輸出産業に大きな影響があるのです。
化学品を取扱うEU域内の事業者は申請する義務がある
「REACH規則」は、EU域内にある化学物質を製造する製造者や化学品の輸入者などに対して、特定の物質を使用する場合に、欧州化学庁へのデータの提出を義務化しています。そのため、該当者は、登録→評価→認可→制限と一連の手続きを行う必要があります。
物質登録の対象となるのは、原則として、既存・新規を問わず、1社あたりの製造量・輸入量が1トン以上のもの（ただし、放射性物質、保税地域内の物質、単離されない中間体および危険物質の輸送は対象外）。
そのすべての物質に関する性状、特定される用途などのデータとして技術書類一式を欧州化学庁に提出し、申請する必要があるのです。
＊10トン以上の場合は化学物質安全性報告書も提出する必要があります。
この物質登録はEU事業者の義務であって、EU域外の輸出企業に課されたものではありません。
しかし、輸出した商品に使用されている化学品が認可申請の必要なものだった場合には、通関できない（EU市場に輸出できない）ということもあり、そのような事態になれば輸出者も損害を受けます。
ですから、輸出者は輸入者に一存するのではなく、輸出者自身も輸出品に使用されている化学品を分析、情報提供をする必要があり、物質登録する必要の有無などの確認をしてもらうといった対応も必要になります。貿易実務に携わる皆さんはぜひ知識として覚えておいてくださいね。
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