日本には貿易港がいくつあるか知っていますか?
今回は、日本の輸出入の拠点となる貿易港についてご紹介します。貿易実務担当者にとって貿易港の知識は必須ですので、ぜひ知っておいてくださいね。
日本政府は国際海上輸送網の拠点となる港を定めている
日本は島国ということもあって、全国津々浦々に多くの港があります。その中でも、国際海上輸送の貨物が運ばれる貿易港として利用されている港は、一部の港に限定されています。
実は、日本政府は港湾法という法律において“国際海上輸送網または国内海上輸送網の拠点となる港湾、その他の国の利害に重大な関係を有する港湾”を「重要港湾」と定めていて(2条2項)、現在102港が指定されています。※2017年4月現在
そして、重要港湾の中でも国際海上輸送貨物を多く取り扱い、地域拠点となっている港湾を「国際拠点港湾」、さらにその上位ランクの国際ハブ港を「国際戦略港湾」と定めています。
貿易は国家の財政・経済に関わる重要事項ですから、日本政府も国際的に高規格な施設になるよう港湾の整備資金を補助するなど、その発展に力を入れています。
では、国際拠点港湾18港、国際戦略港湾5港をまとめた下図をご覧ください。
国際戦略港湾
関東:東京港☆、横浜港☆、川崎港☆
関西:大阪港☆、神戸港☆
国際拠点港湾
北海道:苫小牧(とまこまい)港、室蘭(むろらん)港
東北:仙台塩釜(しおがま)港
関東:千葉港
北陸:新潟港、伏木(ふしき)富山港
東海:清水港、名古屋港☆、四日市港☆
関西:堺泉北(せんほく)港、和歌山下津(しもつ)港、姫路港
中国:水島港、広島港、徳山下松(くだまつ)港、下関港
九州:北九州港、博多港
*上記の☆をつけた7港は、大規模高規格なコンテナターミナルの整備、港湾運送事業の規制緩和などハード・ソフトの両面の施策を官民連携で推進している港で、指定港湾またはスーパー中枢港湾と呼ばれます
国際拠点港湾18港については、「数港しか知らなかった…」という方もいらっしゃるでしょう。しかし最近は、国際戦略港湾に到着した輸入貨物を、国際拠点港湾に積み替えて輸送すること(逆もしかり)を視野に入れている企業も増えているようですので、ぜひ覚えておきましょう。
日本は港だらけの国!? 漁港を含めると約3,000近くの港が存在する
ここからは余談になりますが、日本の漁港についても少しご紹介しましょう。
日本には港町と呼ばれる場所がたくさんあり、港町と呼ばれている場所のほとんどが“漁港のある町”を指していますが、その港の数はなんと2,860港。
みなさんもご存じの、全国に地名をとどろかせている港の数十倍の港が日本にはあるのです(75%ほどは、近海の地元の漁業で利用されている小さな港)。
この数を知った時、みなさんは日本という国がいかに漁業とともに暮らしてきたか、を改めて感じたのではないでしょうか。
近年、アジア圏では日本の水産品を高値で取引していると聞きますし、今はまだスポットが当たっていない港が海外への働きかけによって海外販路を切り開く…など、新しく注目されることもあるかもしれません。
この機会に、みなさんがお住まいの地域や、訪れたことのある港町を調べてみてくださいね。
※関連記事:『アジアの主要な貿易港をまとめました』『ヨーロッパの主要な貿易港をまとめてみました』
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参考サイト
- 港湾法|e-Gov
- みなと一覧|国土交通省
- 港湾数一覧、 国際戦略港湾、国際拠点港湾及び重要港湾位置図国際拠点港湾|国土交通省
- 国際コンテナ戦略港湾政策について|国土交通省
- スーパー中枢港湾政策の総括と国際コンテナ戦略港湾の目指すべき姿|国土交通省
- 漁港漁場情報箱|水産庁
- 漁港一覧|水産庁
- 貿易を学ぶ|株式会社パソナ