派遣社員の「引継ぎマニュアル」作成方法が知りたい!分かりやすい引継ぎ資料って?
派遣のお仕事の満了時における最後の重要任務と言えば、後任者への引継ぎ業務。次にその業務を行う後任の方が、スムーズに業務を始められるよう、責任を持って上手に橋渡しをしてあげることが、前任者の大切な役目です。
そして、円滑な引継ぎを行うために欠かせないのが、「引継ぎ用の業務マニュアル」の作成です。口頭での説明だけでは分かりづらいことも、事前にマニュアルを用意しておけば安心ですよね。
しかし、いざ引継ぎマニュアルを作り始めてみると、どうやってまとめれば良いか悩んでしまう方も多いようです。
そこで今回は、派遣社員の方のための「引継ぎマニュアル作成方法」をステップ順にして、ご紹介します。引継ぎ業務を経験するときに焦らないよう、しっかりポイントを押さえておきましょう。
- 目次
- 引継ぎマニュアルの目的と必要な要素
- 【STEP1】読み手の業務レベルを想定し、内容のイメージを固める
- 【STEP2】フォーマットを決めて、全体の構成を考える
- 【STEP3】マニュアルに盛り込むべき、基本的な内容を押さえ、まとめていく
- 大切なのは、後任の担当者に寄り添ったマニュアルを作ること
引継ぎマニュアルの目的と必要な要素
まず、具体的な作成手順をご説明する前に、そもそも引継ぎマニュアルは何のために必要なのかについて考えてみましょう。たとえば、次のような目的が挙げられます。
・後任の担当者が、効率良く業務を覚えられるようにするため
・属人的になりがちな業務を標準化し、誰でも作業ができるようにするため
・レクチャーにかかる手間と時間を減らすため
・困ったときの手引きにするため
そして、このようなマニュアルの目的を果たすためには、以下の要素を盛り込む必要があります。
マニュアルに必要な3つの要素
①業務の目的
「なぜ、その仕事が必要なのか」「誰のために行うのか」「他の業務とどのように関わっているのか」など、業務の目的を説明します。相手に目的意識を持って仕事を進めてもらうためにも、必ず盛り込みましょう。
②業務のゴール
その作業の頻度や回数に加えて、「どこまでやるのか」「いつまでにやるのか」といった、業務のゴールを説明します。
③業務のフロー(作業手順)
①②をふまえ、詳しい手順を説明しましょう。特に、初心者が間違えやすい点をカバーし、不明点やトラブルがあったときに、どう対処すれば良いかが明示されていれば、後任の担当者も安心して業務を進められます。
これらの要素を「読みやすく」「分かりやすく」まとめたものが、理想的な引継ぎマニュアルです。それでは早速、まとめ方のヒントや作成方法について、順を追って解説します。
【STEP1】読み手の業務レベルを想定し、内容のイメージを固める
第一のポイントは、どんな人がその引継ぎマニュアルを読むのかしっかり考え、読み手の知識や業務経験のレベルに合わせて、内容をまとめていくことです。そのため、まずは、後任の担当者の経験値を把握し、内容のレベルや説明の範囲を決定しましょう。
初心者向け
専門知識がない方でも、マニュアルを読めば作業を進められるよう、丁寧な手順の説明はもちろんのこと、用語の解説やミスを防ぐための注意書きを充実させましょう。業務理解に役立つサイトリストや、情報の調べ方のヒント集、作業漏れを確認するチェックリストなども準備すると、より親切です。
経験者向け
一般的な用語の説明などは省き、社内の独自ルールや専用ツールの使い方、作業フローなどをシンプルに記載しましょう。ケアレスミスが起きやすい部分の解説も忘れずに!
【STEP2】フォーマットを決めて、全体の構成を考える
次に、引継ぎマニュアルの大枠のイメージを固めるため、フォーマットや構成を考えていきましょう。もし、既存のマニュアルがある場合は、フォーマットは変更せず、そこに新たな内容を追記すればOK。
プレゼン資料ではないので、そこまでビジュアルにこだわる必要はありませんが、簡潔で見やすく、かつ分かりやすい内容を記載することが大切です。それらを踏まえて、各項目を決めていきましょう。
新たに作成する場合は、まずフォーマットを決める
引継ぎマニュアルは、汎用性が高いWord・Excel・PowerPointなどのOffice系アプリケーションで作成すると良いでしょう。アプリケーションの種類によって使える機能が異なるため、作成したいマニュアルの内容に合わせて使うアプリケーションを選びます。
フォーマットが特に決まっていない場合は、Microsoftが無料で配布しているテンプレートを活用するのがオススメ。フォーマットが決まったら、ページのレイアウトや文字サイズなどの細かいルールを決めていきましょう。
マニュアルの構成を考える際に使える便利な機能もありますので、アプリケーションごとに試してみてくださいね。
・Word:「スタイル」と「アウトライン」機能
・Excel:「アウトライン」機能、関数機能
・PowerPoint:「スライドマスター」機能
また、既存のマニュアルや社内ルールがある場合は、そのフォーマットに合わせてください。
※関連記事:『思い通りに使いこなそう!Word上手になるための裏技【レイアウトの基本編】』『作業時短&クオリティアップに必要となる効率的なPowerPointの小ワザやテクニック』
構成を決める
フォーマットが作成できたら、次は全体の構成を決めましょう。マニュアルに記載する大まかな内容を洗い出し、どの順番で説明するのが分かりやすいか、内容に過不足はないかをチェックしながら作成します。
この作業をしっかりやることで内容に一貫性を持たせ、必要な作業ボリュームもある程度把握できます。なお、構成はそのまま目次として活用することもできます。
<構成例>
・表紙
・目次
・見出し1:業務項目
└ 項目1:業務の目的やポイント
└ 項目2:作業手順
・見出し2
└ 項目1
└ 項目2
└ 項目3
・見出し3
└ 項目1
└ 項目2
・トラブルシューティング
・関係者、担当先一覧
・参考サイト
見出しごとに業務の目的やポイント、作業手順など、記載する構成要素をまとめていきます。注意事項や間違えやすい点をマニュアルに記載しておくのも重要なポイント。
最後に、トラブルごとの解決策や、困ったときに相談できる担当者、参考サイトや資料の格納先などをまとめておくと親切です。
【STEP3】マニュアルに盛り込むべき、基本的な内容を押さえ、まとめていく
引継ぎマニュアルのフォーマットと構成が決まったら、作業リストや作業手順などを、具体的に記載していきましょう。業務を遂行するうえで必要な情報が、抜け漏れなく、手順に沿って、きちんと整理できているかが重要です。
下記のような基本的な項目が漏れていないか、チェックしながら、まとめていってくださいね
業務理解の促進に役立つ
・業務の目的
・業務の全体像
・担当する業務の作業リスト、作業フロー
・対応スケジュール、発生頻度、回数(繁忙期やイベント時期などもあれば記載)
・最終的なゴールや目標、KPI など
効率良く業務を進められる
・担当ごとの関係者、連絡先一覧
・使用するアプリケーション、専用システム
・参考サイト、参考資料、使用する備品の置き場所 など
困ったときの参考になる
・起こりやすいトラブルやミスの例
・トラブルやミスの回避術や起こってしまった場合の対処法
・困ったときの確認先、担当先一覧
フローチャートや図表を使って見やすく仕上げる
文章だけで構成されたマニュアルは、どうしても読みづらくなってしまいがち。適度に図や画像を入れて、分かりやすさと見やすさの工夫をしてみましょう。
図表の例
グラフ・表やイラスト → 構造を表す
グラフや表、イラストを使って、構造、時系列、変化などを説明します。組織図や業務の流れなど、ものごとの関係性を伝えたいときに使うと良いでしょう。
フローチャート → 作業の流れを示す
業務の流れはどうなっているのか、どんな人が関わるのかなど、作業をフローチャートで示すことで、業務の流れや全体像をわかりやすく理解できます。
画面のキャプチャ → PC操作の手順を説明する
画面上に表示されるダイアログや選択すべきボタンなど、実際の操作画面のキャプチャを見せることで手順を理解しやすくなります。
このように、適切な図表を入れると文章だけで説明する場合よりも、格段に分かりやすくなります。説明する内容に応じてどんな図表を入れると良いか、上の例を参考に、工夫してみてくださいね。
就業期間内に、後任の担当者と対面・口頭での引継ぎができないケースもありえるため、補足情報もマニュアルにしっかりと書き残しておきます。
また、一度作ったマニュアルも、書き漏らしがないよう、周囲の意見を取り入れながら、内容のブラッシュアップをしておくと良いでしょう。
補足として業務マニュアルとは別に、給湯室の使い方やゴミの収集場所など、オフィスで働く上で参考になる情報をまとめておくと、後任の方に喜ばれますよ。
大切なのは、後任の担当者に寄り添ったマニュアルを作ること
引継ぎマニュアルを作る際に一番大切なことは、読み手である後任の担当者にとってわかりやすい内容にすること。「自分目線」ではなく、「相手目線」に立って、初めて読む人でも理解できるような「引継ぎマニュアル」を目指しましょう。
業務の全体像から細かな業務までを「点」ではなく「線」でつながるような説明をイメージすると、相手も理解しやすくなりますよ。
次の新天地でのお仕事を気持ちよくスタートできるよう、わかりやすいマニュアルを作って、しっかりと引き継ぎを行ってくださいね。
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