データサイエンティストってどんな人?
データを使ってインサイトや知識を得る仕事
POWER BI FORUMの読者の方の中には、「データサイエンティスト」という名称を最近よく耳にする、または「データサイエンティストになりたい!」という方がいらっしゃるかもしれません。
2014年の『ハーバードビジネスレビュー』に「21世紀においてもっともセクシーな職業」と書かれたことで、「データサイエンティスト」の知名度は世界中で一気に上がりました。実は日本においても、2013年7月に「ビッグデータ」というキーワードが注目された際、ビッグデータビジネスの鍵をにぎる将来不足する人材として紹介され、「データサイエンティスト」がとても注目されました。
データサイエンティストの仕事は、平たく言えば、さまざまな手法によって、データから洞察(インサイト)を得ることです。関連する言葉に「データマイニング」がありますが、データマイニング(データ分析)を行う人を、データサイエンティストと呼んでいます。以前はデータマイナーという名称もよく使われましたが、先のように「データサイエンティスト」が注目されたことで、データマイナーやデータアナリストといった名称よりも、データサイエンティストという名称が、広く一般に定着してきました。
人気の職業、しかし人材不足…
データサイエンティストは、データからインサイトを得るために、数学、分析、統計、情報科学、コンピュータサイエンス、機械学習、クラスター分析、データマイニング、データベース、そしてビジュアライゼーションといった知識やノウハウを複合的に用います。これらのどれを使うか定義はありませんが、どの手法で分析するとしても、数字に強くなければできない仕事です。分析にはプログラムや統計のスキルだけでなく、関与する業界やマーケットについてのビジネス知識も必要となります。
データサイエンティストが活躍する場面は、企業のストラテジスト、アドテクやEコマース、データビジュアライゼーションやIoT分野など、幅広い分野が予想されます。面白い例では、プロの野球やバスケットボールのチームでも、最近ではデータ分析によってメンバーの編成や打線が決められ、実際の勝率アップにつながっているそうです。
このように、これまでは想像できなかった分野を含め、IT分野の最先端で活躍できる人気の職業と言えます。しかし、スキル面でのハードルが高いことや、データサイエンティストを育成する機関が無いなどの理由から、人材不足が叫ばれています。たとえば、調査会社のガートナー社によれば、AIや機械学習を駆使したデータ活用を実施したいが、データサイエンティストが社内に不在のためプロジェクトに踏み出せない、というジレンマを抱える企業が増えているとのことです。(参考記事:ガートナー、データサイエンティストを雇用することなく機械学習を運用する方法を解説)
データサイエンティストの年収は?
データサイエンティストの仕事の内容や、求められるスキルはさまざまです。場合によっては、日本でも年収1,000万円以上の「データサイエンティスト」職が求人されていることもあります。アメリカでの統計では、日本円に換算すると年収1,500万円程度の人気職業になっています。
しかし、「データサイエンティスト」職とされる仕事には、データベースを扱えるエンジニア業務や、企業の戦略を顧客のために構築する上級なコンサルティング業務などのハイスキルなポジションも含まれています。一口に「データサイエンティスト」といっても仕事の幅も広く、実際には年収300万円~500万円以下程度の求人もあるようです。
今後のニーズはどうなる?
データサイエンティストの需要は、伸び続けており、雑誌などでも、10年後も残る仕事として、たびたび取り上げられています。
データサイエンティストがこうして注目される理由は、機械学習の実践やビッグデータを取り扱える人材がまだまだ少ないということや、企業内でダッシュボードの利用や分析手法が確立していないという現在の状況などがあります。そして将来も期待されるのは、どんなにAIや機械学習が進歩しても、データサイエンティストが仮説として立てるような「発見」や「インサイト」は、コンピュータが一朝一夕に行うのでなく、人間の役割と考えられているから、という理由が大きいでしょう。
ビッグデータ、AIの時代に強く求められるデータサイエンティスト。キャリアアップに役立つデータサイエンスやデータ分析のスキルを一緒に深めていきましょう。