【資格】簿記2級のワンポイントレッスン~銀行勘定調整表の会計処理~
日商簿記2級は多くの企業が求める専門スキルであるため、経理としてステップアップを考える方はぜひ取得しておきたい資格のひとつ。今回は、簿記2級の試験でも出題されることの多い「銀行勘定調整表」の会計処理についてご紹介します。
「銀行勘定調整表」を作ってみよう
「銀行勘定調整表」とは、残高証明書の金額と帳簿上の当座預金の金額が一致しなかったときに作る調整用の資料のこと。まずは、この銀行勘定調整表の作成方法について解説します。
銀行勘定調整表を作る方法は3つ
銀行勘定調整表を作る方法は、①「両者区分調整法」②「企業残高基準法」③「銀行残高基準法」の3つ。では、さっそく以下で詳しく見ていきましょう。
①両者区分調整法
両者区分調整法は、企業の当座預金勘定の残高と、残高証明書の残高の両方に手を入れて、2つの金額を一致させる方法。T勘定の左側と右側で、以下のような処理を行います。最終的に、左右の「適正残高」が一致すればOKです。
左側の作業 |
・修正仕訳で借方に記入する当座預金の金額を当座預金勘定残高に加算 ・修正仕訳で貸方に記入する当座預金の金額を当座預金勘定残高から減算 |
右側の作業 |
・企業は処理しているが銀行が処理していない時間外預入や未取立小切手を残高証明書残高に加算 ・企業は処理しているが銀行が処理していない未取付小切手を残高証明書残高から減算 |
②企業残高基準法
企業残高基準法は、企業の当座預金勘定の残高にのみ手を入れ、残高証明書の残高と一致させる方法。
企業残高基準法で作成した表は上のようになり、①両者区分調整法の“企業側だけ”作成するイメージです。
簿記2級の試験で②企業残高基準法のやり方を求められたら、まずは①両者区分調整法で銀行勘定調整表を作ってしまうことをオススメします。
ただし、①両者区分調整法の調整表から作る場合は、両者区分調整法の銀行側で加算(減算)されていた金額が企業残高基準法だと減算(加算)になりますので、ご注意ください。
作業 |
・修正仕訳で借方に記入する当座預金の金額を加算 ・修正仕訳で貸方に記入する当座預金の金額を減算 ・時間外預入や未取立小切手を減算(両者区分調整法と逆!) ・未取付小切手を加算(両者区分調整法と逆!) |
③銀行残高基準法
最後の銀行残高基準法は企業残高基準法の反対で、銀行側の残高証明書残高にのみ手を入れ、当座預金勘定の残高に合わせるやり方。
①両者区分調整法で作った銀行勘定調整表の企業側の加算減算が逆になり、最終的には、企業側の当座預金勘定残高と金額が合います。
②企業残高基準法と同じように、両者区分調整法をベースに作成することが可能です。
作業 |
・時間外預入や未取立小切手を加算 ・未取付小切手を減算 ・修正仕訳で借方に記入する当座預金の金額を減算(両者区分調整法と逆!) ・修正仕訳で貸方に記入する当座預金の金額を加算(両者区分調整法と逆!) |
銀行勘定調整表で確実に点を取ろう
簿記2級の試験で「銀行勘定調整表を作成しましょう」といった問題は出ないかもしれませんが、修正仕訳は確実に行えるようにしておきましょう。数学の公式のように闇雲に暗記するよりも、今回ご紹介した理屈で覚えるほうが覚えやすいかもしれません。
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