【資格】「全経簿記上級」は役に立つのか?
経理・会計・財務の畑で成長していきたい、と考えている方にとって、スキルアップにつながる資格は重要ですよね。取得している資格によって、転職の成功率や待遇が変わることもあります。
そこで今回のテーマは「全経簿記上級は役に立つのか?」について取り上げます。まずは全経簿記について簡単に説明します。
全経簿記上級が役に立つケースとは?
全経簿記は公益社団法人全国経理教育協会(ZENKEI)が主催している簿記能力検定試験で、昭和31年10月から試験が実施されている、歴史がある資格です。受験級は「4級」「3級」「2級」「1級(会計)」「1級(工業簿記)」「上級」の6種類。試験は平成26年度から年4回(2月・5月・7月・11月)の実施となっていますが、上級だけは2月と7月の年2回の開催です。
簿記1級では科目合格制が採用されていて、1年以内に会計と工業簿記の両方の試験をクリアすると1級合格となります。90分の試験で、合格ラインは100点満点中70点以上。上級のみ足切り(4科目中1科目でも40点以下の場合)があるため、試験準備は入念に行う必要があるでしょう。
「全経簿記」と「日商簿記」の違い
では、全経簿記は日商簿記とどう違うのか、という点が疑問ですよね。全経簿記の4級から2級は「落とす試験」ではなく「合格させる試験」とも言われていて、平均合格率が50%~70%と全体的に高いのが特徴です。求められる知識のレベルで言えば、日商簿記のほうが上と言えるでしょう。
そういった事情から、就職活動や転職活動においては日商簿記のほうが重視・重宝される傾向があります。資格自体を武器にしたいのであれば、全経簿記2級より日商簿記3級、全経簿記1級より日商簿記2級のほうがおすすめ言えるかもしれません。
全経簿記上級試験を受ける2大メリット
ここまでの話だと、全経簿記の資格取得を目指すメリットがあまり見えないかもしれませんが、「4~1級」と「上級」は別物。詳しくは以下でご説明します。
税理士試験の受験資格が付与される
これが最大のメリットです。全経簿記上級は日商簿記1級と同等の試験だと見なされているため、日商簿記1級を取らなくても税理士試験の受験資格が与えられます。日商簿記1級の平均合格率はおよそ10%ですが、全経簿記上級の平均合格率は20%前後。つまり、単純計算で約2倍合格しやすいということになります。スキルアップして税理士を目指したいという、経理・会計職のみなさんには打って付けと言えるでしょう。
試験勉強のモチベーションを維持する
日商簿記1級の試験は6月と11月に行われますが、11月の試験が終わったら次の試験まで7ヶ月近くブランクができることになります。最終的な目標が日商簿記1級の合格にあったとしても、2月に全経簿記上級試験を受けることで試験へのモチベーションを維持しやすくなり、また実戦経験によって試験に対する感覚が鈍るのも防げるでしょう。試験内容が重複している部分もあるので、覚えたことも無駄になりませんよ。
資格の取得はゴールではなくスタート
「全経簿記上級は役に立つのか?」という問いについて、「役に立つかどうかはみなさん次第」ということになるかもしれません。大きな目標や目的を持ち、その目標や目的のために受験するのであれば、きっとスキルアップやキャリアアップの役に立ってくれるだろう。
資格試験で得られる一番大きなメリットは、「自信」を持てることにあります。ある領域における専門知識を資格に保証してもらうことで、さまざまなスキルがさらに花開くことになります。資格試験は「取って終わり」ではなく、むしろ学んだことを活かすためのスタートだと考え、試験勉強という名のスキルアップを目指しましょう。
資格を取得すれば、今よりレベルアップした経理のお仕事に就くことも可能になるかもしれませんよ。