【会計】産業医の報酬はどうやって経理処理すればいい?
会社で働く社員の健康管理を行うため、産業医を選任するケースがあります。その場合、産業医の会計処理はどのように扱えば良いのかをご存知ですか?
勘定科目、報酬の課税や源泉徴収などについて、わかりにくい点を一問一答形式でご紹介いたします。
Q1.産業医報酬の勘定科目は?
産業医報酬の勘定科目は「福利厚生費」もしくは「給与」のどちらにすれば良いか。この答えは…「ケースバイケース」です。
産業医産業には大きく2種類あり、「医療法人の勤務医」と「個人事業者である医師(開業医)」があります。
一般的に、「医療法人の勤務医」の場合は「福利厚生費」を勘定科目にし、「個人事業者である医師」の場合は「給与」を勘定科目にすることが多いようです。
その理由については、以下の項目を読み進めていくことできっと理解できるでしょう。
Q2.産業医報酬の消費税の扱いは?
「報酬が消費税の課税対象になるかどうか」については、医療法人の勤務医の場合と、個人事業者である医師の場合で明確に扱いが異なります。
医療法人の勤務医の場合
勤務医の場合、産業医報酬は「医療法人のその他の医業収入」となります。そのため、消費税の課税対象になります。
開業医の場合
開業医の場合は、個人として報酬を受け取ることになるため、所得税法上、原則として報酬は「給与収入」。つまり、消費税は不課税になります。
ちなみに個人事業から法人化している場合は、給与扱いにはならないのでご注意ください。
Q3.報酬支払時に源泉徴収は必要?
源泉徴収も、産業医の種別によって扱いが異なります。
医療法人の勤務医の場合は、上記の通り法人への支払いになるので、源泉徴収は行いません。ということは、開業医へ支払うのは「給与」なので、源泉徴収を行うことになります。
勘定科目についての補足
最後に、勘定科目についての補足をします。
Q1.で「勤務医なら福利厚生費、開業医なら給与」と説明しましたが、ここまできちんと読まれた方なら、おそらくその真意に気づいたのではないでしょうか。
つまり、産業医が「個人事業者の医師」だった場合、勘定科目を「福利厚生費」にして処理すると、その報酬が税務上「給与」であることを忘れ、よく確かめないまま処理を行い、消費税や源泉所得税の取り扱いでミスすることが頻繁にあるのです。
ですから、医療法人の勤務医の場合は勘定科目を「福利厚生費」にし、産業医が個人事業者の場合は「給与」にするのが一般的です。
ちなみに、今回の内容を表にまとめると以下になりますので確認してみてくださいね。
医療法人の勤務医 | 個人事業者の医師 | |
勘定科目(推奨) | 福利厚生費 | 給与 |
消費税 | 課税 | 非課税 |
源泉徴収 | 行わない | 行う |
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