「ちょうは(帳端)」|経理用語解説

手書き時代の名残で生まれた「ちょうは(帳端)」

今回の経理用語は「ちょうは(帳端)」。

経理業務の中で「ちょうは」という言葉を聞いたことがありますか?パソコンなどでは変換できないため、疑問に思っている方も多いかと思います。「ちょうは」とは、締め日以降の売上や請求を次月にまわす処理方法のことです。

帳簿がすべて手書きだったころ、締めの都合で今月分を翌月に回すものが発生したときに、帳面の端に備忘録として書き込んでいたことから「帳(簿の)端」と呼ばれるようになったそうです。

たとえば、月末締めで月末に商品を出荷した場合、出荷した側は月末なので伝票を計上できますが、相手に商品が到着するのは翌月以降。月内に到着していない商品の分も請求金額に含めてしまうと、相手方が混乱してしまいます。そのようなときに「ちょうは(帳端)にする」と言うのです。

もうひとつの例として、毎月の仕入れ金額の上限が決まっているが「今買うといつもより安い」「普段は出回らない希少な材料がでている」などの理由で、今月中に仕入れたいときにも帳端を使います。仕入れの納品は今月中だが、伝票に起こすのは翌月に回す、という処理を行います。

経理用語ミニミニ豆知識
ちょうは(帳端)は、企業間取引はもちろんのこと、個人事業主の確定申告でも使われている市民権を得ている言葉です。しかし、国語辞典に載っていることは少ない用語です。(まれに、載っている辞書もあります)習慣から自然発生的に生まれ、長年使われている経理用語のひとつです。

税務調査で調査官が厳しくチェックするのが、売上です。売上を隠せば脱税になるため、原則のルールから少し外れている「帳端」は、税務調査でも重要な調査対象のひとつになっています。特に期末間際の帳端は、細かくチェックされます。意図的な脱税行為でなくても、帳端の見落としは売上計上の漏れになってしまうので注意しましょう。

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