【資格】平成30年度、日商簿記検定2級の改訂部分のまとめ
簿記の王道と呼ばれる「日商簿記」は、就活や転職の際にも役立つ人気の資格。その検定内容が平成28年～29年の2年をかけて大きく変更され、さらに平成30年にも改訂が加わりました。ではどんな部分が変更されたのか、詳しくご紹介します。
平成30年度の日商簿記2級の改訂部分はここ！
日商簿記検定の範囲が大きく変更されたのは平成29年度。簿記2級に関しては、平成30年にも改訂が加えられました。追加項目は以下の3つです。
・税効果会計
・連結会計（アップストリーム）
・製造業を営む会社の決算処理
これらの内容について、加えられることになった時代背景なども交えながら解説します。
税効果会計
「税効果会計」はこれまで簿記1級の範囲でしたが、上場企業だけでなく中小企業でも推奨されるようになったため、簿記2級の範囲になりました。
会計上、法人税などは「損益計算書」の末尾において「税引前当期純利益」から控除しますが、法人税は税法上の利益にあたります。いわゆる、課税所得です。
利益は収益から費用を差し引いて算出しますが、課税所得は益金から損金を差し引くことになります。会計上の収益と費用、法人税法上の益金と損金の範囲はほぼ同じですが、会計上は経費でも、税法上は損金として認められないものもあります。つまり、会計上の利益と税法上の課税所得が一致しなくなることがあるのです。
そこで、会計上と税法上の一時的な違いを調整して、税引前当期純利益と法人税を対応させる処理をする必要があります。これを「税効果会計」と呼びますが、少々複雑ですね。
ちなみに、税効果会計の対象となるズレには「一時差異」と「永久差異」があります。ただし税効果会計が適用されるのは一時差異のみなので、注意が必要です。
連結会計（アップストリーム）
平成29年度の改訂範囲であった「ダウンストリーム」とは、親会社から子会社に何かを売ること。「アップストリーム」とは、子会社から親会社に商品や資産を売ることを指します。
ダウンストリームと同様に、親会社の期末商品棚卸高に含まれる未実現利益は、全額消去されます。ですが、子会社が出した利益のうち、親会社につくのは親会社の持ち分にあたる分のみ。よって、消した未実現利益の中から被支配株主の分については、被支配株主が負担することになります。これを「被支配株主に帰属する当期純損益」として記入するのです。
大規模な会社の多くは連結会計を行っているので、アップストリームとダウンストリームも、時代に合わせて簿記2級の範囲に加わったようです。
製造業を営む会社の決算処理
製造業の簿記については、これまでは工業簿記で出題されるのが一般的でしたが、平成30年度からは、商業簿記と工業簿記を混ぜたものに近い内容が出題範囲に加わりました。
製造業会計の全体像を把握するため、仕入れた商品をそのまま売る「商品売買業」と、材料を仕入れて加工して出荷する「製造業」の2つは覚えておきましょう。
製造業では、材料の仕入れや加工にかかった費用の計算が必要です。この費用を「原価」、その計算を「原価計算」と言います。また、材料から製品になるまでの途中の段階の未完成品を「仕掛品」と言います。これらの知識を元に行うのが、製造業を営む会社の決算処理です。
今までの商業簿記とは違った分野の知識が必要になりますので、しっかりと頭に入れておきましょう。詳しくは下記の記事も参考にしてくださいね。
※関連記事：『【経理用語】「直接費」「間接費」って何？製造業の原価計算について』『【経理用語】原価計算の基本を改めて理解しよう！』
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参考サイト：
- 【資格】改定版簿記2級のワンポイントレッスン～売上原価対立法～｜シゴ・ラボ
- 【資格】改定版簿記2級のワンポイントレッスン～有形固定資産の圧縮記帳～｜シゴ・ラボ
- 【資格】改定版簿記2級のワンポイントレッスン～有価証券の分類と評価①～｜シゴ・ラボ
- 経理を学ぶ｜株式会社パソナ
