決算整理の落とし穴「期ズレ」とは?起きがちな期ズレや注意点を解説!
該当する会計年度に計上すべき売上や経費を、前年度や翌年度のものとして計上してしまうのが「期ズレ」です。決算整理業務時の“落とし穴”でもあり、経理担当者は期ズレを発生させないよう、細心の注意を払う必要があります。
そこで今回は、経理の現場で起きがちな期ズレの注意点について、解説します。
決算整理は「期ズレ」に要注意!
決算整理にある重大な“落とし穴”、それが「期ズレ」です。期ズレを簡単に説明すると、該当する会計年度に計上すべき売上や経費を、前年度や翌年度のものとして計上してしまうこと。
決算整理における期ズレは、もはや「経理・会計あるある」とも言えるほど起きがちなミスですので、しっかりチェックしておきましょう。
起きがちな3つの「期ズレ」とは
1.締め後の売上計上
もっとも期ズレが起きやすいのが、決算をまたぐ売上の計上。売上をどの期に計上するかで、当然ながら法人税にも関係してくるので、ミスは禁物です。
特に間違えやすいのが、締めた後の売上計上。毎月20日を締め日にしている会社の場合、通常であれば21日から月末までの売上は、翌月分として処理します。
ですが決算月だけはこの法則には従わず、21日以降の売上も当月分として処理。つまり、3月を決算月にしている会社では、3月21~31日に売り上げた分は、3月の売上=当期の売上として計上しなければいけないのです。
ここで気をつけておきたいのが、「売上計上基準」。「何をもって売上として計上するか」を決めておかないと、ブレが出てしまうのです。
税法には以下の4つの基準があります。
・出荷基準
・検収基準
・使用収益開始基準
・検針基準
どこを基準にするかは、業態ごとで異なっていて構いませんが、一度決めた基準は必ず毎期継続するようにしましょう。
2.経費の計上
経費の計上も、期ズレが起きやすいもののひとつ。基本的に、経費は商品やサービスを受けた日に計上します。つまり、
・代金を支払っていても商品が届いていない
・当期に前払いしたもののサービスを受けるのは翌期
このような場合は、当期の経費になりません。間違えると期ズレになってしまいますので、ご注意ください。
ただし、中には例外もあります。それは、外注費など売上に対応する費用の場合。期内の売上に対応する費用は、売上の計上日に計上することになるため、間違えないように注意しましょう。
3.売上・仕入と在庫
決算をまたぐと、売上・仕入と在庫にも期ズレが起きることがあるため、注意が必要です。よくありがちなのが、
・締め日以降に仕入れた商品を在庫にしていなかった
・締め日以降に販売した商品を在庫にしていた
といったケース。どちらも税務調査で指摘されるポイントになりますので、十分に気をつけましょう。
重加算税もあり得るのでご注意を!
「期がズレても、結局そのうち計上するのだから良いのでは?」と思っていませんか?
決算とは、その会計年度にどのような売上や費用があったかを報告するもので、その内容によっては、支払う税金も変わります。だからこそ、正確に期間を区切り、定められた基準に正しく従って計上する必要があるのです。
期ズレが発生すると「重加算税」が課されることもありますので、経理担当として、くれぐれも確認を怠らないようにしましょう!
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