【会計】4種類の「経過勘定」を正しく理解しよう
経理・会計・財務のお仕事は、なんといっても正確性が命。そのためにも、しっかりとした業務知識を身につけることが大事です。そこで今回は、会計の基本である、4種類の「経過勘定」について、分かりやすくご紹介します。
会計処理の原則を守るために欠かせない「経過勘定」とは?
「経過勘定」とは、一定の契約下で、あるサービスの提供を継続的に受ける場合、あるいはサービスの提供を行う場合において、正しい損益計算を実現するために使われる勘定項目のこと。
時間の経過によって発生する費用や収益の中には、現金が出入りするタイミングと損益計算上の認識時期がずれることで、損益の計算が合わなくなってしまうケースがあります。
たとえば、みなさんの会社がサービスを継続的に受けたり提供したりするシーンを、期末の場面でイメージしてみてください。状況によっては、次の期に計上すべきお金を受け取ったり支払ったりする可能性もあれば、逆に当期に計上すべきなのに、受け取りや支払いが翌期になるというパターンもありますよね。
ただ、「発生主義」の観点から言えば、取引があった時点で費用と収益は計上しなければなりません。そうしたケースで活躍するのが、「経過勘定」なのです。
4種類の「経過勘定」って何のこと?
会計処理を行う際にすべての企業が従わなければならない指標である「企業会計原則」では、「経過勘定」の項目について、以下の4つが規定されています。
なお、経過勘定は、発生分を見越して計上する「見越勘定」と、未発生分を繰延べて計上する「繰延勘定」の2種類に分けることができます。以下4つのうちの未払費用と未収収益は「見越勘定」、前払費用と前受収益は「繰延勘定」に該当します。それぞれの項目について、詳しく説明していきます。
未払費用(見越勘定・収益)
すでに提供されたサービスに対して、まだその対価を支払っていないものが未払費用。こういった場合では、対価は時間の経過にともなって、すでに当期の費用として発生しています。そのため、当期の損益計算書に計上するとともに、貸借対照表の負債の部に記載しなければなりません。
未収収益(見越勘定・費用)
すでに提供したサービスに対して、まだその対価が支払われていないものが未収収益。サービスの対価は当期の収益として発生しているので、この場合は貸借対照表の資産の部に計上しつつ、当期の損益計算書に計上することを忘れないようにしましょう。
前受収益(繰延勘定・収益)
前受収益は、まだ提供していないサービスに対して、すでに支払われた対価を指す勘定科目。サービス提供が次期以降になる場合、「当期の損益計算から除外する」「貸借対照表の負債の部に計上する」という会計処理が必要になってきます。
前払費用(繰延勘定・費用)
最後は前払費用。まだ提供されていないサービスに対し、すでに支払われている対価を指す勘定科目のことです。こちらは「当期の損益計算から除外する」「貸借対照表の資産の部に計上する」という処理が必要です。
紛らわしい「未決済項目」はセットで覚えよう
先ほどご紹介した4つの「経過勘定」に似た勘定科目に、「未払金」「未収金」「前受金」「前払金」というものがあります。
これらは「未決済項目」と呼ばれるもの。紛らわしいかもしれませんが、「未決済項目」は「経過勘定」と違って、「時間の経過とは無関係」「サービス提供契約以外からも発生する」「サービスの提供もしくは受領がすべて完了したものを指す」ということを覚えておくと良いでしょう。
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