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2015/06/25

【資格】公認会計士と税理士、どっちになるべき?

著者: パソナ キャリアコーチ(経理担当)

【資格】公認会計士と税理士、どっちになるべき?

公認会計士と税理士の違いについて聞かれたときに、みなさんは答えられますでしょうか?今回は、会計系資格の難関として知られている「公認会計士」と「税理士」の違いについてご説明します。

公認会計士と税理士の違い

公認会計士・税理士といえば、簿記・会計系資格の最難関として双璧をなす国家資格です。職業としての公認会計士と税理士も、ともに会計を専門とした業務を行います。しかし、具体的に何が違うかと言われると、意外と分からないことが多いですよね。というわけで、今回はこの2つの違いについてご紹介していきましょう。

難易度を比較!

まずは資格取得の難易度について比較してみましょう。難易度と言っても、単純に比べることは困難なので、合格率や勉強時間という観点から比較していきます。

公認会計士

公認会計士試験では、「短答式試験」と「論文式試験」の2つが行われます。短答式では「財務会計論」「管理会計論」「監査論」「企業法」に関して出題され、総得点の70%を基準として合格となります。論文試験では、「会計学」「監査論」「企業法」「租税法」の4つの科目プラス、「経営学」「経済学」「民法」「統計学」のうちの1科目を選択して試験を行い、総得点の52%を基準として合格となります。

合格率は例年10%前後。総勉強時間は3,000時間とも5,000時間とも言われています。これは、1日5時間勉強に費やしたとしても、早くて2年弱かかる計算です。

税理士

税理士試験の科目は、必修科目である「簿記論」「財務諸表論」、選択必修科目(どちらかひとつ以上を必ず選択)である「法人税」「所得税」、選択科目(2科目または、1科目+「選択必修科目」の1科目を選択)である「相続税法」「消費税法または酒税法」「国税徴収法」「事業税または住民税」「固定資産税」のなかから5科目を受験します。

科目合格率は、それぞれ10~20%ほどですが、5課目すべての合格率は例年2%前後と非常に低く、「一発合格はほとんど不可能」とまで言われている資格です。ただし、科目合格は、税理士になるまで有効なため、少しずつ時間をかけて資格取得に挑むことができます。税理士試験の合格にかかる時間は2,500時間から5,000時間と言われており、公認会計士試験と大差ないことが分かります。

職務領域を比較!

次に、職務領域について比較していきましょう。実際、職に就いたあとはどのような業務を行うのでしょうか。

公認会計士

公認会計士は、主に上場企業など大企業での会計業務を行います。担当する代表的な業務は、以下の2つです。

1.監査証明
上場会社などは金融商品取引法の規定によって、「損益計算書や貸借対照表など、財務に関する書類を、利害関係を有しない公認会計士や監査法人の証明を受けなければならない」とされています。この規定に基づき、企業が作成した書類が会計の基準に則っているか、重大な問題点がないかをチェックし、意見を表明するのです。いわば、監査証明とは企業が作成した財務書類が信用に足るものかどうかを保証する証明、と言い換えることができるのです。この業務は、公認会計士しか行えません。

2.コンサルティング
上記業務のほか、企業の経営戦略に関するコンサルティングも公認会計士の重要な業務です。大局を把握しながら、次の一手を経営陣とともに考え、アドバイスをしていきます。

税理士

税理士は主に個人(個人事業主含む)や中小企業を相手に業務を行います。担当する代表的な業務は以下の3つ。これらは、税理士のみに許されている業務です。

1.税務代理
納税者に代わって、確定申告や青色申告の承認申請、税務調査の立ち会いなど、税務に関する事務作業を代行する業務です。

2.税務書類作成
納税者に代わって、各種税務書類の作成と提出業務です。

3.税務相談
税務署への税金の過不足についてなど、税務に関する不明点についての相談に答える業務です。

公認会計士は税理士にもなれる!?

実は税理士法では、公認会計士の資格取得者は、同時に税理士の資格も付与されることが規定されています。つまり、税理士試験を受けたり実務を積んだりすることなく、税理士会へ登録すれば税理士の資格も取得できるのです。

この規定に「税務に関する専門的な勉強をしていないのに、資格が付与されるのはおかしいのではないか」と、異を唱えたのが税理士業界。これに対して、会計士協会は「監査・会計・税務は不可分であり、“国際基準”として、公認会計士はこれらすべての専門家である」と表明。結果として、2014年に可決された改正法案で以下のように定められました。

“十一 税理士法の一部改正(第11条関係)
1 税理士となる資格を有する者について、公認会計士は、公認会計士法第 16 条に規定する実務補習団体等が実施する研修のうち、一定の税法に関する研修を修了した公認会計士とすることとする。(税理士法第3条関係)
(注)上記の改正は、平成 29 年4月1日以後に公認会計士試験に合格した者について適用する。(附則第 136 条関係)”

この改正により、税理士になるためには、所定の研修を受けることが義務づけられました。

いずれの資格も取得できた日には、独立の道もひらけてくるため、公認会計士や税理士の仕事に興味がある方は、覚悟をもってチャレンジしてみてくださいね。

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