【経理用語】原価計算の基本を改めて理解しよう!
皆さんは「会社を経営していく上で、絶対に必要なこと」は何だか分かりますか?それは、利益をあげることです。
しかし「100円で仕入れて150円で売ったら50円の利益が出る」とは単純にはいきませんよね。利益をあげるためには「原価計算」について、知っておかなければなりません。
今回は「原価計算」の目的や基礎知識について、ご紹介します!
そもそも「原価」って何?
卸売業・小売業の場合
まずは、卸売業や小売業を例として、必要になる経費について考えてみましょう。
100円で仕入れたものを150円で売るとき、かかる費用は仕入れ代だけではありません。店舗を構える、販売員を雇う、広告を打つ…。さらに、皆さんのような経理スタッフも必要になります。
このときの仕入れ代金が「仕入原価」、それ以外の金額が「販売費および一般管理費」で、その合計額がその商品の「原価」ということになります。
なお、「販売費」は広告などの製品販売のためにかかる費用、「一般管理費」は社員を雇ったり事務所を構えたりするのに必要な会社の維持にかかる費用のことを指します。
製造業(メーカー)の場合
一方、自社で製品を作っている製造業(メーカー)の場合は、考え方が変わってきます。
商品を仕入れて売るわけではないので、仕入原価は必要ありませんが、かわりに製品を作るために必要な「製造原価」を求める必要があります。
製造原価には、材料費や工場の運転に必要な資金、外注費などが含まれますが、販売および一般管理費に関しては、卸売業とほとんど変わりありません。
サービス業の場合
最後にサービス業ですが、目に見える商品を売るわけではないので、「仕入原価」も「製造原価」も必要ありません。つまり、販売費および一般管理費がそのまま原価になるのです。
皆さんの働いている会社の原価がどんな構成になってるのか、意識したことはありますでしょうか。原価計算をする前に、まず、自分の会社の原価がどうなっているのかについて改めて考えてみると良いでしょう。
原価計算を行う目的
原価計算の具体的な目的がわからないと、業務で「なぜその計算が必要なのか」もわかりませんよね。そこで、原価計算の目的について、5つのポイントをご紹介します。
1.販売価格を決めるため
原価を正確に把握していなければ、「いくらで売るのが適切か」もわかりません。販売価格は、原価に利益を上乗せして、決定します。
2.予算を管理するため
例えば「自社の製品を1,000個用意するために、どのくらい費用がかかるのか」がわからないと、今後の予算計画も立てられないですよね。1,000個発注が来たのに資金不足で製品が途中までしか作れなかった!なんてことになれば、会社の信用もガタ落ちです。そうならないよう、正確な予算計画策定のためにも、原価を知っておく必要があるのです。
3.会社の経営基本計画を立てるため
予算計画は、月間や年間で立てるものですが、会社を長期的に運営していくためには、経営に関する長期計画も立てる必要があります。今後の経済動向の変化まで意識した「経営基本計画」を立てておくことは、会社の長期的な見通しを立てるためには必須です。現在の原価を知らなければ、現状を把握することも、将来の計画や見通しを立てることもできなくなってしまうでしょう。
4.原価を管理するため
原価を100円から90円に抑えることができれば、それだけ会社の利益があがりやすくなります。ところが、反対に原価100円と見込んでいた製品の原価が、実際には110円だった場合、会社の利益は予測を下回ってしまいます。このようなケースに対応するためにも、原価計算はとても重要です。原価を把握・管理することで、原価が見込みと異なった場合でも、原因の特定や改善もやりやすくなるでしょう。
5.財務諸表を作成するため
損益計算書には、原価を集計して記入する欄が決められています。つまり、原価がわかっていなければ、損益計算書も作ることができません。決算は経理の一大イベント。抜け漏れがないよう、準備しておきましょう。
原価計算で会社の状況を把握する
帳簿上の数字がそれぞれどんな性質を持っているものなのか判断し、それに応じて分けていくのが、企業における経理の役割。
原価を理解して計算することは、会社の現状把握と将来の計画立案にも、大いに役立ちます。
「原価計算」の目的をしっかり理解して、日々の業務にも取り組んでみてくださいね。