「オフバランス」|経理用語解説

アリ?ナシ?「オフバランス」

今回の経理用語は「オフバランス」。

オフバランスとは、貸借対照表(B/S・バランスシート)に記載されない取引の資産・負債のこと。「簿外取引」ともいいます。これは、そのまま計上すると何らかのリスクのある取引の資産や負債を、バランスシートからオフ(消す)することで、企業価値を高めるという目的があります。

もう少し細かく説明すると、オフバランスにすることで貸借対照表の資産と負債をすっきりさせることができて外部評価が高まり、借入や金利の負担を減らし、資産利益率を高めることができます。つまり、余計なものを省くことで、企業会計が健全なように見せることができるのです。

代表的なオフバランス化の方法は、まず資産の売却。保有している資産を売ってしまえば、その分貸借対照表はすっきりします。
そしてリース取引。以前はリース契約で使っている自動車やOA機器や機具類は、資産としては計上されず、使用料である「リース料」が損益計算書の費用として計上することができていました。しかし平成20年からは、国際会計基準にあわせてリース契約の資産も、資産計上されるようになってきています。

オフバランスは、かつて積極的に活用されてきた手法でした。ですが、貸借対照表に記載されないということは、見えない資産や負債があるということ。企業の取引実態がつかみにくくなり、決算書の「情報の公開」に反してしまうため、最近ではオフバランス化を見直す企業も増えています。

ただ、それでもバランスシートのスリム化で、財務指標の改善ができるというメリットは大きいもの。また、「経費処理などの業務の手間を省ける」といった間接的なメリットもあるので、健全なオフバランス化は今も行われています。適切な方法でオフバランス効果をねらうのであればアリですね!

経理用語ミニミニ豆知識
オフバランスの対義語になるのが「オンバランス」。その名の通り、バランスシートにオン(記載)するということです。オフバランスが粉飾決算のテクニックに使われることもあるので、最近はどんどんオンバランス(=情報開示)の動きが強まっています。

決算書は「事業取引のすべてを正確に載せるもの」と思っていた方にとっては、オフバランスという考え方や手法は驚きなのではないでしょうか。

もともとはアメリカで、株式の価値を上げるために使われていた方法です。メリット・デメリットや会計基準の移り変わりなどもありますが、これまでの歴史も含めて、できるだけ多くの経理知識を身につけておきましょう。

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