働き方

2022/08/08

派遣とは?派遣の種類や特徴、メリット・デメリットについて解説

著者: パソナ キャリアコーチ

派遣とは?派遣の種類や特徴、メリット・デメリットについて解説

人々のライフスタイルや働き方が多様化するなか、派遣という形での就業を考えている方も多いのではないでしょうか。その一方で、派遣社員は正社員や契約社員、アルバイトと具体的に何が違うのか、派遣の働き方の特徴や実際に働くにはどうしたらいいのかなど、わからないこともあるでしょう。

今回は、多様化する働き方の選択肢のひとつとして、派遣社員を考えている方に向けて、派遣のメリットやデメリットも含め詳しく解説していきます。

目次
派遣とは
派遣の特徴とは
派遣のメリット・デメリット
派遣で働くには
自分に合った働き方を見つけよう

派遣とは

派遣とは

派遣という働き方を考えているなら、まずは派遣の概要を知っておきましょう。派遣の種類や、アルバイトや正社員などとの違いも紹介します。

派遣社員とは

派遣社員は、派遣会社と雇用契約を結び、就業先企業(派遣会社から紹介された会社)で勤務する働き方です。雇用主は派遣会社ですが、実際のお仕事に関する指揮命令は就業先企業が行います。派遣会社は、給与の支払いや社会保険加入、福利厚生の適用などを実施します。

派遣の種類

派遣には「登録型派遣」「常用型派遣」「紹介予定派遣」の3種類の働き方があります。

登録型派遣

労働者があらかじめ派遣会社に登録しておき、就業先企業が決まった段階で派遣会社と雇用契約を結ぶ働き方です。有期雇用派遣とも呼ばれます。契約は期間を定めて行われ、派遣期間が終了した時点で派遣会社との雇用契約も終了します。

常用型派遣

派遣会社と期間を設けずに契約を結ぶ働き方です。無期雇用派遣とも呼ばれます。なかには正社員で契約されることもあり、就業先企業の有無にかかわらず一定の給与が支払われます。

紹介予定派遣

派遣社員から始めて、派遣期間終了時に就業先企業と労働者の合意があれば、正社員もしくは契約社員として採用される働き方です。派遣期間は3~6ヶ月に設定されることが多く、就業先企業と労働者のミスマッチが少なくなるメリットがあります。

アルバイト・正社員・契約社員との違い

雇用形態には、アルバイトや契約社員などもあります。では、これらは派遣社員とどのように違うのでしょうか。正社員との違いもあわせて見てみましょう。

アルバイト

アルバイトは、就業先企業が雇用主となります。雇用主が派遣会社となる派遣社員とは、この点で大きく違います。派遣社員はお仕事をする就業先企業の指揮命令を受けて働きますが、月々のお給料は雇用主である派遣会社が支払います。アルバイトは指揮命令もお給料も就業先企業から支払われます。なお、給与(時給)は派遣社員に比べると低い傾向です。

また、アルバイトも福利厚生を利用することは可能です。ただし、住宅手当や資格取得補助といったいわゆる企業が独自に定めている「法定外福利厚生」はあまり充実していないこともあります。

正社員

正社員は就業先の企業と直接雇用契約を結ぶ働き方です。雇用期間に期限はありません。正社員は「フルタイムで働かなければならない」というイメージもあるでしょう。しかし、正社員はあくまでも雇用形態のことを指すため、労働時間や労働日数が限られていても正社員として働ける企業もあります。

また、アルバイトと比較しても福利厚生は充実しており、法定福利厚生はもちろんのこと、特別休暇や自社製品・サービス利用割引などが充実している企業も少なくありません。

契約社員

契約社員も就業先企業が雇用主となる働き方です。労働者と就業先企業の合意により契約期間を定め、契約期間が満了すると労働契約は自動的に終了します。1回当たりの契約期間の上限は、一定の場合を除いて3年とされています。なお、福利厚生はアルバイトと同じく、限定的であるケースが少なくありません。

派遣の特徴とは

派遣の特徴とは

派遣の働き方にはどのような特徴があるのでしょうか。ここでは、お仕事の種類やお給料などの他、派遣で働く人の傾向も紹介します。

派遣のお仕事の種類

派遣会社で求人募集をしている職種にはさまざまなものがあります。その一例を紹介します。

事務職・オフィスワーク系

事務職やオフィスワーク系には、一般事務、OA事務、総務事務、営業事務、経理事務、貿易事務、金融事務、秘書、案内・受付、ファイリング、事務用機器操作などがあります。資格経験不問のものから、高度な知識を必要とするものまで多種多様です。

営業・販売系

営業職や販売サービスは、商品やサービスを売ったり、専門性の高いコンサルティングを行ったりするお仕事です。営業職の業務内容は、飛び込み営業やルート営業などの「訪問型」と、テレアポやメルマガ配信などの「非訪問型」に分けられます。業界未経験歓迎の募集もあり、ブランクがある方でも応募しやすいことが特徴です。

コールセンター系

予約受付、顧客対応窓口などの受信業務などのほか、各種案内やアフターフォローなどの発信業務も行います。電話の声だけで案内するため、相手に対する配慮や対応力などが必要です。

IT/WEBエンジニア系

システムエンジニアやプログラマー、ネットワークエンジニア、WEBデザイナー、WEBオペレーターなどのお仕事です。印刷や不動産、建築、自動車業界など、活躍の場は幅広いことが特徴です。いずれも専門的なスキルが必要になります。

医療系

医療事務や看護師業務、薬剤師業務など、医療機関や薬局などで活躍するお仕事です。基本的には経験者が求められますが、なかには未経験でも簡単なデータ入力から始められるお仕事もあります。

研究・開発系

製薬、化学、食品業界などにおける分析、検査などの業務から、開発・バイオ研究などのラボワークなどもあります。臨床開発などの専門的知識が必要となる業務が多い傾向にあります。

製造・物流・軽作業

製造オペレーションや単純作業、専門業務までさまざまです。工場の生産製造業務、管理、点検、メンテナンスと、実際の作業内容も幅広いことが特徴です。そのほか、シール貼りやラベル付けなどの単純作業も行うことがあります。

派遣のお給料

派遣社員として働く際に気になるところと言えば、お給料ではないでしょうか。エン・ジャパン株式会社が2022年6月に発表した資料によると、2022年5月度の東京都・愛知県・大阪府の平均時給は【1,596円】(賃金形態が時給の方が対象)。全国の調査では【1,250~1,500円未満】の時給額が最も多く、全体の約4割という結果が出ています。

※参照元:エン・ジャパン株式会社『2022年5月度の派遣平均時給は1,596円前年同月比プラスを記録。
2022年6月15日 NEWS RELEASE

派遣で働く人の傾向

では、派遣社員として働く人たちは、どのような人が多いのでしょうか。ここでは、一般社団法人日本人材派遣協会のWEBアンケート調査(2021年度)の結果をもとに紹介します。

まずは、男女比を見てみましょう。2021年度調査では、全体の91.6%を女性が占めています。一方、男性は7.8%と少数です。年齢層で最も多いのは45~50代未満で21.6%、年代でいうと40代が36.6%を占めています。全体の平均年齢は45.7歳です。

次に、業務の傾向を見てみましょう。2021年度の派遣社員の主な業務は「OA事務」となっています。割合は31.2%と、昨年の22.4%から8.8ポイントの増加です。以降は、「その他オフィス業務(11.4%)」「庶務事務(8.1%)」「営業事務(5.0%)」「データ入力(4.3%)」と続いており、事務系のお仕事が多いことがわかります。

※参照元:一般社団法人日本人材派遣協会『派遣社員WEBアンケート調査結果2021年度

派遣のメリット・デメリット

派遣のメリット・デメリット

実際に派遣社員として働こうと考えているなら、メリットやデメリットの把握も大切です。

派遣のメリットとは

派遣社員として働く大きなメリットは、自分のライフスタイルに合わせて働ける点です。あらかじめ自分が就労可能な日数や時間帯、勤務地などを派遣会社に伝えることで、自分の都合に合った就業先企業の選択が可能になります。また、得意分野や生かしたいスキルを中心にお仕事を探す方法もあります。

派遣の求人は基本的に即戦力が原則ですが、なかには未経験OKの求人もあります。未経験OKの求人には事務職・オフィスワークなどが多い傾向です。

派遣会社のフォローやサポートを受けられる点も大きなメリットです。派遣は複数応募が可能ですが、派遣会社に一度登録すれば、応募後の交渉や調整は派遣会社が行うため、面接の日程の調整などで悩む心配がありません。さらに、勤務期間や勤務日数などの条件を満たせば健康保険、厚生年金、雇用保険などに加入できます。産前産後、育児中の休業制度や介護休業制度もあり、ライフステージの変化に合わせた働き方が可能です。各種研修やキャリアコンサルティングなどの福利厚生が充実しているのも特長です。

※関連ページ:充実と安心!イチオシのパソナ福利厚生サービスをご紹介

派遣のデメリットとは

派遣でのデメリットのひとつは、雇用期間があることです。派遣ではひとつの就業先企業で最長3年までしか働けません。そのため、登録型派遣の場合は、派遣契約の終了時に次の就業先企業が決まっていなければ収入は途絶えてしまいます。

また、派遣社員は就業先の指揮命令に従って業務を行うため、判断業務や管理業務などを行なうポジションに就きづらいこともデメリットと言えるかも知れません。業務に裁量を持たないという観点では、物足りなさを感じる方もいるでしょう。

派遣で働くには

派遣で働くには

派遣で働く場合、どのような流れで勤務開始となるのでしょうか。詳しく見ていきましょう。

派遣会社へ登録

まず、個人情報や希望の職種などを派遣会社に登録するところから始めます。以前は職務経歴書を持参することが一般的でしたが、最近ではWEBサイトから必要情報を入力し登録するケースも多く、書類を用意する機会も少なくなりました。また、登録だけでなく面談も電話やインターネットを介して行うことも多くなっています。

派遣会社からの求人紹介

登録が完了すると、希望条件や経験、スキルなどがマッチした企業が紹介されます。紹介されたなかから希望する求人に応募します。同一の会社で複数の案件にエントリーできますが、実際にお仕事が決まって就業できるのはひとつだけです。

また、派遣会社のサイトから希望条件に合う求人を自分で検索して、応募することもできます。

就業先企業への事業所訪問

次に、必要であれば就業先企業への訪問を行います。ここでは、就業先企業の見学や、担当する可能性のある業務の内容、必要なスキルの説明、質疑応答などを行います。就業先企業には、登録時の情報をもとにした過去の経験・スキルなどをまとめたスキルシートが派遣会社から提示されています。スキルシートの内容について補足すべき点やアピールポイントがあれば積極的に伝えましょう。

ただし、労働者派遣法により、就業先企業は選考目的とした面接をすることはできないとされています。そのため、就業先企業は採否につながるようなやりとりを行うことはできません。

派遣契約を結び勤務開始

就業の意思がある場合、派遣会社に伝えましょう。派遣社員、就業先企業とも合意すれば派遣契約を結んで勤務開始です。就業初日は派遣会社の担当者が基本的には同行します。

自分に合った働き方を見つけよう

働き方の形態はさまざまで、正社員・派遣社員・アルバイトなどそれぞれに特徴があります。自分のライフスタイルやキャリアプランに合わせた働き方を選ぶことが大切です。派遣の特徴やメリットを生かしてより充実したワークスタイルを確立してみてはいかがでしょうか。

参考サイト:

みんなの仕事ラボ(シゴ・ラボ)は、働くすべての方々に向けたキャリアアップ、スキルアップのためのお役立ちサイトです。
「仕事はずっと続けるつもりだけど、このままでいいの…?」「何かスキルを身に着けたいけど自分には何が向いているか分からない」「職場でこんなことがあったけど、これって普通?」など、お仕事をする上でのお悩みや困ったをお助けするヒントやちょっとしたアイデアをお届けします。