用語

2018/01/15

輸入通関後のシップバック(再輸出)と関税戻し税のこと

こんにちは!貿易女子の円(まどか)です。以前「輸出者に貨物を返送するシップバック(積み戻し)手続きのこと」で、保税地区において、輸入した貨物が破損していた、あるいは輸入できない状態になっていたときのシップバック方法をご紹介しましたが、今回は輸入通関を終えてからの「シップバック」についてお話したいと思います。

※「シップバック」は聞いたことがあるけれど、あまりよくわかっていない…という方は、上記リンク先をお読みいただけると理解しやすいかと思います!

「シップバック」は輸入通関後に商品の破損・欠陥がわかった場合にもできる

以前ご紹介した記事では、輸入貨物が保税地域に入った直後、つまり輸入通関前に、以下のような事情で「シップバック(積み戻し)」を行うとお話しました。

① 輸送中に商品が壊れてしまい使いものにならない
② 塗料などの成分検査や食品検査などで基準をクリアできない
③ 法律上、商品を取り扱う許可が必要なものなのに輸入者がその承認を受けていない

しかし、コンテナ貨物は、保税地域でコンテナ内にある商品を取り出さずに輸入通関を行うことがよくあります。そして、輸入通関後、輸入者の倉庫などで初めてコンテナを開けて商品を確認し、商品が以下のような状態であることがわかることもあるのです。

④ 輸送中に商品が壊れてしまい商品価値がない
⑤ 商品の品質条件など輸出入者のあいだで交わした契約条件をクリアしていない

輸入者の立場で話をすると、通関後に④⑤がわかると、すでに関税や消費税も支払っているために(そして、通常は輸出者に商品代金も支払ってしまっていることが多いために)非常に頭を抱える事態となりますが、日本では、輸入者は輸出者に貨物を返送(シップバック)することができます。また、その際は通関時に支払った関税や消費税を返してもらうこともできます(「関税戻し税」といいます)。

輸入通関後の「シップバック」は法律上「再輸出」と位置づけられる

すでにお気づきの方もいらっしゃると思いますが、「シップバック」する事情として上に挙げた例、輸入通関前の①、通関後の④は同じ状況です。

ただ、輸入通関前と通関後では2つの大きな違いがあります。ひとつは、法律上、輸入通関前は外国貨物として扱われるのに対し、通関後は内国貨物として扱われるということ。もうひとつは、輸入通関前は関税や消費税を支払っていないけれど、通関後はすでに支払っているということです(原則、関税や消費税を支払わずに輸入通関できません)。

※関連記事:オトナ語ならぬ略語が多い貿易事務「ないか・がいか」

前回の記事で「シップバック(Ship Back)」という言葉は、貨物を船や飛行機などで返送するという意味で使われている現場の呼称だという話をしましたが、厳密にいえば、同じ「シップバック」といえども輸入通関前と後では手続きも若干異なり、法律上は言葉も異なります。

貿易に携わっている方、特に輸入業務に携わっている方にはぜひ覚えておいていただきたいのですが、法律上は、輸入通関前のシップバック=積み戻し※、輸入通関後のシップバック=再輸出となります。

※法律上は「積戻し」と記載されます。

輸入通関後の「シップバック(再輸出)」の流れを知ろう!

では、実際に、輸入者が輸入通関後に「シップバック(再輸出)」するときの流れ(すでに支払った関税や消費税の還付手続き)についてご紹介しましょう。

まず輸入者は輸出者に商品に欠陥があるなど事情を説明し、輸出者から合意を得ていることが「シップバック(再輸出)」を行う前提条件となります。また、輸入者が貨物を返送することもやむを得ないと税関が判断するだけの客観的条件も必要とされます。

つまり、輸入した貨物が、輸出入者の売買契約条件に該当しないものである(違約品である)ということを税関に証明する必要があるのです。たとえば、違約品である旨を報告する輸入者から輸出者への通知メール、違約品であることを証明する検査書、品質条件などが記載された売買契約書、そして、違約品のため返送を承諾する旨が記載された輸出者のメールや書類などが証明に使用されます。

こうした証明をもとに税関が「シップバック(再輸出)」を認めると、輸入者は支払済みの関税の還付を受けることができ(関税定率法第20条)、同時に、消費税の還付も受けることができます(輸入品に対する内国消費税の徴収に関する法律第17条)。

なお、上記条件に加え、輸入時から貨物の性質・形状が加工または変更されていないこと、また、原則として輸入許可日から6カ月以内に保税地域に入れることも条件となっています。(保税地域に入ってから再輸出までの期間について制限はありません。)

※細かい話をすると、再輸出する貨物を保税地域に入れるとき、関税の払戻しを行うときなど、そのときどきで税関が定める書類の提出が必要となります。ただ、輸入者の実務においては、通関業務を委託しているフォワーダーと連携して行い、書類の作成もフォワーダーから連絡を受けて対応することが多いため、今回は割愛します。

その他、再輸出の申告にあたって、輸入者が必ず作成しなければいけないのが、インボイスやパッキングリストなどの船積書類です。輸入申告の際に使用した、輸出者から入手した船積書類をもとに、輸入者は輸出者に向けて立場を逆転させた書類を新たに作成し、フォワーダーに提出します。その後、輸出者のもとへと貨物が発送されれば業務完了となります。

ここまで読んでいただくと、「シップバック(再輸出)」には時間も手間も費用もかかりそうだということがご理解いただけると思います。実務では、輸入者はこれらの業務に加え、本来なら輸入貨物を販売する予定だった相手先との調整、商品代金返済やシップバックの運賃はどちらが負担するかといった輸出者との調整なども同時に行わなければならず、なかなか骨の折れる業務となります…。

輸入者はもちろんのこと、輸出者にとっても、デメリットしかない「シップバック」ですが、実際に起きてしまったら、なるべく長引かせず、互いに譲るところは譲り合って解決を図るのがよいでしょう。

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