マーケティングの基本を知ろう!「セグメンテーション」

こんにちは!貿易女子の円(まどか)です。今回は久々にマーケティング用語について取り上げたいと思います。以前お話した、「マーケティングの基本構造を知ろう!」、「マーケティングの基礎知識 SWOT分析・STP分析」 の記事でも少し触れた「セグメンテーション(市場の細分化)」についてご紹介します♪国際ビジネスの現場で働く方、働きたいと思っている方はぜひ知っておきたい内容です。それでは、始めましょう!
※今回は以前ご紹介した内容を踏まえて書いています。マーケティングについてあまり詳しくない、基本から知りたい!という方は、「マーケティングに関する記事一覧」にある、日付の古い記事からご覧ください。
マーケティング戦略の基本のプロセスを知ろう!
「セグメンテーション」についてお話する前に、まず、マーケティング※の基本となるプロセスについて、少しおさらいしましょう。セグメンテーションは、マーケティングのプロセスにおけるひとつのステージです。
※商品を販売するために、商品の特徴や市場のニーズなどを分析し、戦略を立て、実行していくこと。
みなさんもご存じのように、現代社会は情報社会といわれるほどモノやサービスに関する情報があふれていて、市場のニーズ(消費者の要望)も多様化しています。こうした状況のなかで、商品やサービスをヒットさせていくことはなかなか難しいのですが、マーケティングでは、より効率的に市場に売り出すためのプロセスが確立されています。
それが、マーケティングの基本構造を知ろう!でもご紹介した下図の流れです。
セグメンテーション=有望なターゲットを決定するために市場・消費者を分類すること
「セグメンテーション」は、英語のSegmentation(分類すること、区分の意)が意味する通り、市場・消費者を細分化することを指します。マーケティングにおけるセグメンテーションは、商品を販売するために、市場・消費者を細分化して“有望なターゲット(想定顧客)と市場機会を発見する※”ことを目的としています。
※前者を消費者セグメンテーション、後者をマーケット(市場)セグメンテーションと区別することもあります。
セグメンテーションには、男性向け・女性向け、20代向け・70代向け、夏向け・冬向け、一人暮らし向け・ファミリー向け、初心者向け・上級者向けなど、実にさまざまな分類がありますが、売り出したい商品を求める消費者の特徴を考えたり、購入したいと思うのはどんな場合かを考えたりして分類します。
たとえば、みなさんもお馴染みのドラッグストアには、同じ目的で使われる類似商品がずらりと並んでいますが、そのなかでも思わず宣伝文句に目を止めて、商品を手に取ってしまった経験はありませんか?(例:○○でお悩みの方へ、○○なときにぴったり!など)
これは、セグメンテーションが活用されている好例で、同じようなニーズを持つ消費者を分類することで他商品との差別化ができ、商品価値がより明確になることを示しています。セグメンテーションはそれだけ商品の販売戦略にも大きな影響を与えるのですが、実際にどのように分類されるのか、その代表的な基準を見ていきましょう。
「セグメンテーション」の代表的な4つの分類基準を知ろう!
セグメンテーションには、さまざまな切り口がありますが、ここでは代表的な4つの基準(変数)をご紹介します。
① 地理的変数(ジオグラフィック変数)
国、都道府県、都市、街の規模、人口密度、沿線、気候など地理的な要素で分類する方法です。たとえば、コンビニエンスストアでは店舗を「オフィス街」と「住宅街」に分類し、それぞれのニーズに合わせて品揃えを変えていると聞きますが、これは地理的変数のセグメンテーションにあたります。
② 人口動態変数(デモグラフィック変数)
年齢、性別、職業、未既婚、子どもの有無、年収、可処分所得(所得から生活費などを差し引いた、自由に使えるお金)、家族構成など、人や家庭の属性を切り口にして分類する方法です。
③ 心理的変数(サイコグラフィック変数)
消費者のパーソナリティ、生活様式、購買動機などを軸にした分類方法で、価値観、趣向といった感性の分野に強く結びつく要素で分類します。たとえば、同じ25歳の女性でもブランド化粧品を好む人と、オーガニック化粧品を好む人に分かれることがありますが、こうした価値観の分類は心理的変数のセグメンテーションです。
この基準は、上の①②とは異なり、一般に公表されている資料がなく定性的な分類であることから、もともと市場規模を推定するのが難しいといわれていましたが、インターネットの世界では行動履歴などのデータベースから特徴を読み取ることができるようになっています。
④ 行動変数
消費者の購買状況や商品知識、商品に対する態度(スタンス)などで分類する方法です。この変数では、過去の購買状況や、使用・購買の頻度や日時、商品に求めている利点(コストパフォーマンスなど)などで分類を行います。
良いセグメントは「4つの条件」を満たしていることが目安となる!
セグメンテーションは、分類するというシンプルな作業なので一見簡単にできそうですが、単に細かく分類すれば良いというものではなく、細分化することで自社へのメリットや新たな発見につながるセグメントでなければならないため、実際はなかなか難しいものです。
ちなみに、良いセグメントを導き出すためには、以下、4Rと呼ばれる4つの条件を満たしているかどうかが目安になります。
・Rank(優先順位):優先度や重要度に応じて各顧客層をランク付けできているか?
・Realistic(有効規模):そのセグメントの規模は売上や利益が確保できるのか?
・Reach(到達可能性):セグメントの顧客層に商品を的確かつ、効果的に提供できるか?
・Response(測定可能性):セグメントの顧客層からの反応を測定できるか?
これらの4条件は、自分では良いセグメンテーションができたと思っても、条件と照らし合わせたときに、「あまりにもニッチな(狭い)切り口だと、売り上げや利益が確保できない…」「届けたい顧客層がいても、その顧客層が集まる場所がなければ的確に届けられない…」「反応を測定できなければ、その分析が正しいのかを示すことができない(マーケティングにならない)…」といった気づきを与えてくれます。セグメンテーションを実践するときに、非常に役立つのがこの4つの条件なのです。