キャリアアップ

2016/08/30

Excel(エクセル)との親和性がアップしたPower BI

著者: パソナ キャリアコーチ(事務担当)

Excel(エクセル)との親和性がアップしたPower BI

今回は、Excelを利用するビジネスユースの視点から、Power BIを語ってみたいと思います。

 

フリーミアムで進んだPower BI人気

Power BIがフリーミアムとして提供開始してから、1年が経過し、現在では42か国言語をサポートし、140の国と地域で利用可能になっています(https://products.office.com/ja-JP/business/international-availability)。日本でも、広く知られた存在となってきました。

日本のビジネスシーンでは、数字を使う業務でのExcel人気は高く、Excelを使いこなす達人や、すべての文書をExcelで作るといった猛者までいらっしゃり、たくさんの方がExcelを愛用されています。ですから、当初は、Power BIと競合することも予想されていました。

しかし、ありがたいことに日本でも、Power BIの利用者が非常に増えています。フリーミアム版の利用者がグンと増えてきていることから、無償で分析を始められるPower BIの魅力が、みなさんに伝わってきている現れだと思います。

無償版ということで、個人でも利用できますし、Office 365 のライセンス契約有無も問わないため、ユーザーの目的もさまざまです。たとえばExcelを業務で使っているOLの方のスキルアップや効率化のためにPower BI勉強会が開かれています。また、私の担当しているPower BIハンズオンセミナーも、経営やマーケティングのお仕事をされており、業績分析や集計データの利用をしたいビジネスマンの方で毎回盛況となっています。

ポイントは、IT技術者やサーバーサイドの技術者が導入を検討しているのではなく、Excelを業務でお使いだったビジネスユーザーが、Excelからの乗り換えやExcelと併用したいと考えているという点です。Power BIの利用を検討した理由をお伺いすると、「Excelだけで分析とチャート作成などのビジュアライズを実現しようとすると、データを取得し整形するのが面倒で…」といった声を聞きます。

つまり、Excelは今後もデータの入力元として使い続けたいけれど、分析・集計とプレゼンテーションとに関しては、むしろデータコピーや変更ができないPower BIのほうに魅力を感じている、という方が多いようです。

また、レポート画面もダッシュボードも、コンピュータ画面での表示に適しており、会議でもプレゼンテーションがしやすく、モバイルデバイスにも自動で最適化される、といった点も、Power BIの魅力ですね。

 

Excel版とPower BI Desktopのどちらを選ぶ?

社内へのPower BIの導入を決定した際、Excel版とPower BI Desktopのどちらを使っていくかを相談される場合があります。

その際、導入に向けた仕様などの複雑さもあるのでExcel 2010以下の場合は、Power BI Desktopをおすすめしています。

一方、2013/2016 ProPlus(企業ライセンス)であれば、Excelでの導入も容易なため、この場合、使い勝手の良さでどちらを利用するか選ぶのがよいと思います。ただし、両者の大きな違いとして、集計できる最大量、パフォーマンスがあります。行数の差と、パフォーマンスのそれぞれがExcelよりPower BIのほうが優れています。
Excelは仕様上最大100万行までしか扱えませんが、Power BI Desktopではお使いのパソコンのメモリが許す限り、行数制限なく使うことができます。

100万行というのはイメージしづらいですが、会社の出社記録に喩えてみると、1人1か月で30行使用するとして1年の記録では、3千人程度しか入りません。データを累積記録していると、あっという間に費やしてしまう行数なのです。

 

新たに使いたいときだけExcelでデータを利用することも

さて、これまで、Power BIにするかExcelでいくか、そんな二者択一のような話をしてきましたが、じつは、「Excelのピボットテーブルも捨てがたい」と考えている方には朗報があります。

それは、Power BIのモデルをそのまま、手元のExcelに読み込んで、ピボットテーブルが使えるようになる連携サービスがスタートしたからです。この「Excelで分析」という機能は、Power BI(オンラインサイト)のデータセットかレポートを直接手元のExcelに読み込み、ピボット分析ができる機能です。Excel 2013以降にアドオン(Power BI Publisher for Excel  https://powerbi.microsoft.com/ja-jp/documentation/powerbi-publisher-for-excel/)をインストールするだけですぐに利用でき、しかも集計スピードもぐっと軽快です。

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Power BI サービスに追加された「Excel で分析」ボタン

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「Excelで分析」で読み込み後、すぐにピボットテーブルが利用できます。

「Excel で分析」機能は、どうしてもピボットテーブルの機能が使いたいという方にこそ、ぜひ使っていただきたい機能といえるでしょう。

アドオンのPower BI Publisher for Excel には、Excelの分析結果をPower BI側に公開する逆方向の連携機能もあるので、どこまでをExcelで、どこからをPower BIでという切り分けについては、選択肢が増えました。

これらのExcelとPower BIの連携機能は、1つの使い方ではなく、ビジネス環境に合わせて、もっとも使いやすい形を選んでいただければと思います。

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