社員でも社長でもない「取締役」という不気味な存在

著者： パソナ キャリアコーチ（経理担当）

へぇ、すごいじゃん。ヒカリのこと気に入ってくれたの？

いや、そうとも限らないよ。どっちかと言うと違う可能性の方が高いかも。

えーっと……。まず、株式会社には運営方針や会社の重要事項を決めたり、会社の業務執行を決定する機関である「取締役」を必ず置かなきゃいけないんだけど、その取締役の中の代表者として「代表取締役」がいるんだ。ほとんどの場合、代表取締役が「社長」になるね。

会社によってはね。

まぁ、そういうことかな。「取締役」や「代表取締役」は、公的・法的な効力を持つ「会社役員」。つまり法律が絡む契約や経営上の責任を負っている役職ということだね。ちなみに、取締役の執行内容に違法がないか確認したり、株主総会の会計書類が正しいかをチェックしたりする「監査役」も役員のひとつだよ。

そうなるね。これらの「役員」は、会社を運営する上で社会的責任を担ってるんだけど、実は「社長」とか「会長」とか「CEO」っていう肩書はそうじゃない。これらはただの呼び名に過ぎないんだよ。

極端なことを言えば、代表取締役が自分の肩書を「社長」と名乗ろうが、「CEO」と名乗ろうが自由ってこと。呼称に縛りはないからね。会社によっては扱いが違うことだってあるよ。

そういうことだね。

会社によって違うし、そこまでは知らないよ……。そもそも大前提として、役員は社員じゃないから、支給されるのは僕たち社員がもらってる「給料」ではなく「役員報酬」になるんだよ。

バイトでもないわ！役員は、社員じゃなくて「役員」。だから、従業員がもらうような「給料」じゃなくて、「役員報酬」を受け取るんだよ。役員報酬は一般的に会社の利益計画から算出して決定されるから、その計画によっては報酬額の少ない取締役もいるだろうね。

立ち上げたばかりの会社とかだったら、そういう人も結構いるかもしれないね。それに僕たち社員みたいに、残業代や各種手当は支給されないし。