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2016/10/20

節税に欠かせない「損金」って?損金算入のメリットとは

著者: パソナ キャリアコーチ(経理担当)

節税に欠かせない「損金」って?損金算入のメリットとは

損金は税務で使う言葉!

経理としての経験がある方なら「損金算入」や「損金不算入」という言葉を聞いたことがあるのではないでしょうか。しかし、「損金は、費用と同じようなものでしょ?」と思っている方も多いようです。今回は、「損金」について費用との違いも踏まえて、ご説明します。

費用と損金の違い

「費用」とは、「企業の営業活動で、収益を得るために使った労務費や材料費などのお金」を指します。そして、「損金」とは、その費用の一部である「法人税を計算する際に、収益(益金)から差し引くことのできる費用」のことを指します。

使うシーンが違う!

会計上の「利益」は、収益から費用を引いて求めます。しかし税務上、法人税の課税対象になるのは、利益ではなく「所得」です。そして、所得を求める際には、費用ではなく損金が必要になってきます。

つまり、「費用は会計上で用いられる言葉」、「損金は税務上で用いられる言葉」という区別となり、使うシーンが異なることがわかります。

利益の求め方(会計) 利益=収益-費用
所得の求め方(税務) 所得=益金-損金

上記のように、費用は「利益(=会社の儲け)」を求めるために、損金は「所得(=課税対象となる金額)」を求めるために用いるというわけです。

※関連記事:『「費用」「経費」「損金」の違いを教えて!

所得が減ると、税金が減る!

先ほど所得は「課税対象となるお金」とご説明しましたが、損金を適正に計上し、所得額を減らすことができれば、法人税の支払い額が減らせるというわけです。ここで重要になってくるのが、費用を「損金算入」できるか(損金にできるか)否かということです。

損金不算入になるケース

法人税法上、損金として算入されるのは、「原価」「費用」「損失」の3つ。ただし、これらすべてが損金になるわけではありません。なかには損金として認められない(損金不算入)ものもあります。損金不算入になる代表的なケースをご紹介しましょう。

損益不算入になるケース

過大な役員報酬

役員報酬は意図的に金額を操作することが可能で、損金を多く計上できてしまうため、原則的には損金算入が認められていません。ただし、従業員と同様に毎月同じ額で、かつそれが相当な額である場合は、「定期同額給与」として損金算入することができます。また「利益連動給与」や、支払う前に時期と額を届け出て支払う「事前確定届出給与」も算入可能です。

交際費等

交際費、接待費などの費用は、法人税法上、原則として損金不算入となります。役員報酬と同様、接待や贈答品などによって意図的に損金の額を操作することができるからでございます。

ただし、資本金1億円以下の法人では、平成25年4月1日以降に開始する事業年度から、年間800万円までの交際費等が全額損金算入できるようになったほか、平成26年4月1日からは、資本金1億円を超える法人も50%まで損金算入できるようになっています。

寄付金

寄付金は一定の額までは損金算入として認められていますが、所定の額を超えるものについては、損金目当てに利用されることもあるため、認められていません。

同族経営者間の取引

グループ企業が同族で経営されており、その間で不当に高額な取引がなされた場合、取引自体がないものとなる「同族会社の行為計算否認」となり、損金算入が認められません。

法人税・法人住民税

法人税や法人住民税のほか、源泉所得税や延滞税、加算税なども損金不算入となります。

※関連記事:『協賛金の損金算入と消費税の取り扱いについて知りたい!

税務のことを知り、一歩先行く経理に

損金という概念を知ることで、経理・会計としての幅が広がったのではないでしょうか。今回ご紹介したのは基本的な部分ですが、損金や税務は奥が深い分野です。興味があれば、キャリアアップのためにも、ぜひ勉強してみることをオススメします。

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