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2017/05/09

【資格】リース取引の仕訳と会計処理|改訂版簿記2級のワンポイント

著者: パソナ キャリアコーチ(経理担当)

【資格】リース取引の仕訳と会計処理|改訂版簿記2級のワンポイント

2017年度(平成29年度)から、新たに簿記2級の出題範囲に一部が加えられている「リース取引」。これから簿記検定2級に挑戦するみなさんは、ポイントとして、ぜひ頭に入れておきましょう。

そこで今回は、リース取引の概要や、どのような部分が簿記2級の試験に出題されるのかなどについて、ご紹介します。ファイナンス・リース取引(利子込み法、利子抜き法)と、オペレーティング・リース取引の会計処理の違いや処理方法も分かりやすく解説します。

まずは、購入とリース取引の違いを正しく理解しよう

リース取引とは、物件を所有する貸手(リース会社)が借手(企業)に一定期間使用する権利を与え、借りた側がその分の使用料を支払う取引のこと。

リースしているコピー機や複合機は継続的に使うOA機器ですので、「固定資産になるのでは?」と考えてしまいがちですが、それは間違いです。

分割して代金を支払う点は購入と同じですが、リース取引は資産の所有権がリース会社にある、というところが大きく異なります。

リース取引を行う意味

リース取引の対象となるのは、事務用機械からIT関連機械、土木建設機械、車両など。つまり、ほとんどの機器や備品がリースの対象になっています。そこでまずは、リース取引を行うメリットとデメリットについて、正しく理解しておきましょう。

リース取引のメリット

リース取引の最大のメリットは、導入時の初期費用を抑えられる点です。頭金が不要、分割払いができるため、一括購入する資金がなくても購入可能。

所有者はリース会社になるので、固定資産税の計算や納付の手続きなど、事務処理を省略することができる点も大きなポイントです。

リース取引のデメリット

リース料の中には金利や保険料、リース会社の利益が上乗せされているので、支払総額は自社で購入するよりも高くなってしまいます。契約内容によっては、途中解約すると違約金が発生する場合も。

リース期間が終了しても、自社のものにはならないという点も気をつけるべきポイントです。

簿記2級で出題されるリース取引の処理

2016年までは、リース取引は簿記1級だけの出題範囲でしたが、一部が簿記2級に出題されるようになったのは、リース取引が大企業だけのものではなくなってきたという背景があります。

そこで、簿記2級で出題されることになった「ファイナンス・リース取引の借手側の処理(利子込み法、利子抜き法)」と「オペレーティング・リースの借手側の処理」についても解説します。

ファイナンス・リース取引

・契約の途中で解約できない
・借り手がリース物件の経済的収益を享受し、使用に関わるコストを実質的に負担する

この2つの条件を満たした取引がファイナンス・リース取引です。上記のどちらにも該当しない場合は、オペレーティング・リース取引になります。

・リース期間:5 年間
・リース料:年額1,000,000円(毎年 3 月末日払い)
・リース資産:見積現金購入価額 4,500,000円

と仮定した場合の各仕訳は、以下のとおりです。

ファイナンス・リース取引(利子込み法)

リース契約時にはリース資産の総額(見積現金購入価額)で借方にリース資産勘定を、貸方にリース債務勘定を記入しましょう。

借方 貸方
リース資産 5,000,000 リース債務 5,000,000

 

3月末日払い時のリース料支払いの際の仕訳はこちら。ファイナンス・リース取引の利子込み法を使う場合は、支払時の利息は発生しません。

借方 貸方
リース債務 1,000,000 現金 1,000,000

 

決算日の原価償却の決算整理仕訳は以下のとおり。減価償却費はリース資産の金額を使って、残存価額ゼロ、リース期間を耐用年数として計算します

借方 貸方
変化処理 1,000,000 リース資産減価償却累計額 1,000,000

ファイナンス・リース取引(利子抜き法)

リース契約時には、リース料の総額で借方にリース資産勘定を、貸方にリース債務勘定を記入します。

借方 貸方
リース資産 4,500,000 リース債務 4,500,000

 

3月末日払い時のリース料支払いの際の仕訳はこちら。リース料総額5,000,000円から、見積もり現金購入額4,500,000円を引いた500,000円をリースする年数で割ったものが利子相当額になります。

借方 貸方
リース債務 900,000 リース現金 1,000,000
支払利息 100,000

 

そして、決算日の原価償却の決算整理仕訳は以下のようになります。減価償却費はリース資産の金額を使って、残存価額ゼロ、リース期間を耐用年数として計算する点は利子込み法と同じです。

借方 貸方
減価償却費 900,000 リース資産減価償却累計額 900,000

オペレーティング・リース取引

上記のどちらにも該当しないオペレーティング・リース取引だった場合、リース契約時の仕訳は不要です。3月末日払い時のリース料支払いの際には、借方に支払いリース料勘定を、貸方に現金勘定を記入します。

借方 貸方
支払リース料 1,000,000 現金 1,000,000

簿記2級の出題範囲を理解して対策を立てよう!

まずは簿記2級の出題範囲であるファイナンス・リース取引(利子込み法・利子抜き法)と、オペレーティング・リース取引の会計処理を覚えることが大切です。

計算や仕訳の方法を学ぶだけでなく、リース取引を使うメリットを考えながら理解すると良いでしょう。

利子抜き法での利息法や級数法によった場合の処理、「セール・アンド・リースバック取引」などは、改訂前と変わらず簿記1級の出題範囲のまま。まずは簿記2級に必要な知識を勉強することから始めてみてくださいね。

 

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参考サイト:

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